2009年06月01日

報道されない近現代史 田母神論文を選んだアパグループCEOの本

報道されない近現代史―戦後歴史は核を廻る鬩ぎ合い報道されない近現代史―戦後歴史は核を廻る鬩ぎ合い
著者:元谷 外志雄
販売元:産経新聞出版
発売日:2008-04
おすすめ度:4.5
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渡部昇一さんの本で紹介されていたアパグループCEOの元谷外志雄さんの本。

アパグループは昨年田母神元航空幕僚長が書いた「日本は侵略国家であったのか」を最優秀に選んだ「真の近現代史観」懸賞論文の主催社で、田母神さんが辞める直接の原因となったことは記憶に新しい。

本の帯に佐藤優氏が絶賛と書いてあり、佐藤さんの写真まで載っているが、推薦の言葉などは書かれていない。

アントニオ猪木と一緒にキューバのカストロ議長に会ったり、台湾の李登輝元総統、韓国の金泳三元大統領、モンゴル大統領、森喜朗元首相などと対談するなど、その交友範囲は一介の経営者の域を超えている。なにやら得体の知れない人だ。


報道されない真実

次のような真相が明かされたと語っている。

*北朝鮮の金正日は核武装主義者で、父の金日成が1994年のカーター元大統領との面談後、核開発断念に傾いていたので、父を排除して(正式には心筋梗塞で死亡したことになっている)トップの座に着いた。

昨今の北朝鮮の核実験や連続ミサイル発射実験など、核武装主義者の金正日であれば、さもありなんと思う。

*江沢民は中国の説得にも応ぜず核開発を続けた金正日を暗殺しようとして2004年龍川駅で列車を爆発させたが失敗し、表舞台から去った。

*北朝鮮は10発程度の核爆弾を保有しているとみられ、一旦手にした核は絶対に手放さない。

*アメリカの核開発は1939年アインシュタインがドイツが核兵器を開発するおそれがあるので、アメリカも急ぐべきだという書簡をルーズベルト大統領に送ったことがきっかけ。

核分裂を1938年に発見したオットー・ハーンや、物理学の最高権威だったハイゼンベルグがドイツにいたからだが、戦後ハイゼンベルグはヒトラーの手に原爆がわたったときの結果を憂慮して、原爆開発を遅らせたことがわかった。

アインシュタインは「このことがわかっていれば、アメリカに原爆を作らせようなどとはしなかった」と自らの行動を深く後悔していたという。

*ソ連の核兵器開発がアメリカに遅れることわずか四年で完成したのは、アメリカの核独占を憂慮した科学者が、アメリカが核兵器を使えないようにソ連にも核兵器を持たせるために技術をリークした。死刑となったローゼンバーグ夫妻が情報を流したという。

*ハルノートはソ連の謀略だった。ハルノートは元々ハルの穏健案と、ハリー・ホワイト財務省次官補が作成した強硬案の2つあり、ルーズベルトは強硬案を採用した。

戦後ハリー・ホワイトは、1948年にソ連(コミンテルン)のスパイだった疑惑が米国下院で暴露された直後、不可解な死を遂げる。最近公開されたソ連暗号解読史料「ベノナファイル」によって、ホワイトがソ連のスパイであることが明らかになった。

*「真珠湾の真実」で明かされたとおり、ルーズベルトは1941年11月末には日本艦隊が択捉島に集結していたことをつかんで、奇襲を予測していた。しかし欧州戦争には参戦しないと公約して選挙に勝ったために、アメリカを参戦に導くためにあえて日本の奇襲攻撃を利用した。

真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々真珠湾の真実 ― ルーズベルト欺瞞の日々
著者:ロバート・B・スティネット
販売元:文藝春秋
発売日:2001-06-26
おすすめ度:3.0
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*韓国では有害図書の指定を受けている「親日派のための弁明」によると、韓国人の半日感情が強いのは、米国の意図によるものだ。

1910年の日韓併合以来、朝鮮の人口は30数年で一千万人から倍となり、未開の農業社会だった朝鮮が、日本からのインフラ投資により短期間のうちに近代的な資本主義社会へと変貌し、特に教育投資が重視された。

親日派のための弁明親日派のための弁明
著者:金 完燮
販売元:草思社
発売日:2002-07
おすすめ度:4.0
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*アメリカはユダヤ人が支配している。主なメディアや金融機関はユダヤ系だ。共和党がキリスト教政党なので、ユダヤ人は民主党寄りである。


ニュークリアシェアリング

この本で参考になったことはニュークリアシェアリングという考えだ。アメリカはNATO加盟国のドイツ、ベルギー、イタリア、オランダ、トルコに、戦時にはアメリカの核兵器を使えるというオプションを与えるというものだ。これによって核の拡散を防止しながら、バランスオブパワーを維持するというものだ。

元谷さんも言っているが、ニュークリアシェアリングについては日本のマスコミは一切報道していない。田母神論文ではこのニュークリアシェアリングを主張しているという。

日本に適するのかどうかわからないが、少なくとも自前の核兵器を開発して、2流の核保有国になるよりは、よほど妥当な考え方ではないかと思う。

特に北朝鮮が核兵器保有を切り札に難局を乗り切ろうとしている現状では、たとえば韓国と日本がアメリカとニュークリアシェアリングを導入するとかは実際検討すべきアイデアだと思う。

北朝鮮に対抗上、韓国も日本も独自に核兵器開発をするようなことになっては、それこそ核拡散が進んでしまう。「日本は原子爆弾をつくれるのか?」でも紹介したが、核兵器開発はそもそもやるべきでないと思う。

その意味ではニュークリアシェアリングは代替案として検討する価値があると思う。


福岡の飲酒運転の追突事故

それともう一点は、福岡の飲酒運転の追突事故で幼い兄弟三人が亡くなった事故があったが、あれは欄干の強度が問題だと語る。

金沢(アパグループの本社がある)でも車がスリップして橋から落ちるという事故があって分かったということだが、車道に面している橋の欄干は、総重量25トンの車両の衝突にも堪えられるように設計されている。

ところが車道との間に歩道が入ると、幅一メートルに体重60キロの大人四人が寄りかかっても壊れない程度の欄干強度と全然建築基準が違うという。

建築基準が、車が歩道を乗り上げて欄干に激突するいう想定では作られていないのだ。あくまで自転車や歩行者が欄干にぶつかる程度の強度しか求められていないという。


その他の提言として、日本再建のため大家族制復活に政治が動けとか、40年体制の清算をすべきだと主張し、不公平税制を直し、贈与税・相続税を廃止すべきだと言う。


ユダヤ陰謀説

この本で筆者の忘れたい過去の失敗を思い出させられた。

新婚時代の約20年前に、ピッツバーグに初めて駐在した時にアパートの前の部屋のアメリカ人若夫婦が引っ越しするので、彼らを招いて送別会を自宅でやったが、その当時日本で、はやっていたユダヤ陰謀説の本を話題にしてしまったのだ。

人の良い旦那は話を合わせて、自分もその本を読みたいと言ったが、奥さんは明らかに何を言うんだという雰囲気になり、彼らが自室に戻ったら、たぶん深刻な夫婦げんかが起こったと思う。

レイシストと言われてもやむをえない事態である。全く汗顔というか恥である。それからは絶対に人種とか宗教とかユダヤ人の話とかは一切しないと誓ったものだ。

当時ベストセラーになっていたユダヤ陰謀説の本は今は絶版となっているが、アマゾンで検索すると中古は売っているようだ。

ユダヤが解ると世界が見えてくる―1990年「終年経済戦争」へのシナリオ (トクマブックス)
著者:宇野 正美
販売元:徳間書店
発売日:1986-05
おすすめ度:2.5
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ともかく決して人種の話とか不用意にしてはならない。それを深く記憶に刻み込んだ経験だった。


世界でイスラエルに次いでユダヤ人人口の多いのは米国で、アルゼンチンは南米で最もユダヤ人人口が多く、世界では7番目である。

筆者はその米国に9年、アルゼンチンに2年間駐在した経験があり、ユダヤ人の友人や取引先も多い。その経験のある筆者は、ユダヤ人の陰謀なんてありえないと思う。

その意味では元谷さんとは考え方が違う。

未確認情報、憶測ばかりではないかという気がするが、”報道されない”というタイトル通り、たとえばニュークリアシェアリングなどは、興味ある考え方だし、英米によるソ連暗号解読研究の「ベノナファイル」というのがあることを初めて知った。

上記の通り、「ユダヤ陰謀説」では筆者は苦い失敗があり、この本も決しておすすめしないが、元谷さん(と一部の関係者)がある意味、筋が通った考え方をしているのは間違いないと思う。


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Posted by yaori at 12:59│Comments(0)TrackBack(0) 歴史 

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