2009年06月19日

何で今、蟹工船ブームなの? プロレタリア文学をオーディオブックで聞く 

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)蟹工船・党生活者 (新潮文庫)
著者:小林 多喜二
販売元:新潮社
発売日:1954-06
おすすめ度:4.0
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今なぜかベストセラーとなっているプロレタリア文学の代表作小林多喜二の「蟹工船」をオーディオブックで聞いた。

図書館でカセットを借りて、アナデジ転換ソフトでiTunesに取り込んで聞いたが、現在同じオーディオブックは売っていない様なので、アマゾンで載っている最近のものを紹介する。

[オーディオブックCD] 蟹工船[オーディオブックCD] 蟹工船
著者:小林 多喜二
販売元:パンローリング
発売日:2008-08-15
おすすめ度:4.0
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もう一つは低音の魅力の声優の若山弦蔵さんが吹き込んでいる。

蟹工船 (新潮CD)
著者:小林 多喜二
販売元:新潮社
発売日:2008-08-29
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筆者が聞いたオーディオブックは北海道帯広市出身の仁内達之さんが、吹き込んでおり、東北弁のセリフが本当にリアルで、労働歌なども良い。

アマゾンで売っているオーディオブックは聞いていないが、たぶん東北弁が話せる俳優が吹き込み、労働歌を歌わせていると思うので、本を読むよりも臨場感があって記憶に残ると思う。

ただ正直、本だったら最後まで読み通したかどうかわからない。それほど暗い内容で、読む者の気分を落ち込ませる。

小説のあらすじは筆者のポリシーとして詳しく紹介しないが、昭和初期、カムチャッカの海で蟹を捕っては缶詰に加工する、作業環境劣悪のいわゆる「たこ部屋」蟹工船を描いたものだ。

小説の中では、水産会社は儲かって、社長は代議士に立候補するほどいい生活をしているのに、労働者は最低の生活を強いられ、命の危険と隣り合わせの生活をしていることが描かれている。

老朽船の蟹工船が難破すると、むしろ保険料が入ってきて会社は儲かるので、SOSを聞いても助けに行かないごうつくばりの監督が労働者の敵として描かれている。

昭和初期の話だが、この本を読んで白洲次郎は戦前に日本水産の取締役を務めていたことを思い出した。白洲次郎はさしずめこの本で出てくる資産家の代表となるのだと思う。


余談になるが、筆者はロシアに2度出張したことがあり、毎回蟹缶詰をおみやげに買って帰った。

もう20年近く前の話だが、タラバガニの缶詰が5ドル程度だったと思う。

ロシアではキャビアも安いので(といってもワンオーダー30ドルくらいはしたが)、出張中は結構キャビアも食べていた。

ボルシチもおいしいし、アルゼンチンで”エンサラダ・ルサ”、ロシアンサラダというビーツ(赤大根)とポテトのサラダを本場で食べた。

ロシアの食事は安くておいしかった記憶がある。

もっともあれから20年近く経っているので、今やモスクワは車が増えすぎて飛行場に行くのもどれだけ時間が掛かるか読めないほどの大渋滞らしい。

閑話休題。

プロレタリア文学なので、資本家への反発が根本にあるが、ソ連に親近感を持っているのかどうかははっきりしない。

「赤化」という言葉が頻繁に出てきて、ソ連への好意と思えるところもあるし、工場監督の言葉ながら、「ロスケ」と呼んで共産主義をバカにした部分もある。

いずれにせよ、何で今、「蟹工船」がリバイバルしているのか、理由が分からない。

最後に労働者が立ち上がる場面があるが、それも単に集団サボタージュであり、別に労働者が良い労働条件を勝ち取る訳ではない。

蟹工船労働者の日常という以外に、ストーリーらしいストーリーはなく、気分が滅入るほど悲惨な蟹工船での労働者の生活を冷酷に描いた作品なので、あまりおすすめはしないが、話題の本という意味では一度読んでもよいかもしれない。

既に著作権が切れ、青空文庫で公開されているので、一度どんなものか、ざっと見る手もある。

テキストファイルと、XHTMLファイルの2種類があるが、XHTMLファイルの方が読みやすいと思う。


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Posted by yaori at 12:52│Comments(0)TrackBack(0) 小説 | オーディオブック

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