モデル失格 ?幸せになるためのアティチュード? (小学館101新書 24)
著者:押切 もえ
販売元:小学館
発売日:2009-02-03
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ティーン誌"CanCam"のお姉さん版"AneCan"の専属モデルとして活躍する一方、テレビの英語番組、”英語でしゃべらナイト”のパーソナリティを務めるなど、積極的に才能を磨いているトップモデル押切もえさんの本。
「おっさんがこんな本読むな!」と言うことなかれ。いわゆる「タレント本」と思ってはいけない。
アマゾンのなか見、検索に対応しているので、是非目次のところを見て欲しい。
共感出来る点も多く、もえちゃんの芯の強さ、そしてなによりも生きることすべてにポジティブな性格には敬意を表する次第である。
もえちゃんはNHKの英語番組にレギュラー出演しているので、他のモデルとは違うなと以前から思っていたことが、この本を読んだきっかけだ。
この本を読んで、プロダクションが倒産して、仕事のない時は日雇いアルバイトをしていた不遇の時代があったり、CanCamの専属モデルとなってからもハワイで首を複雑骨折したり、コンプレックスと苦労を乗り越えて、もえちゃんの現在の姿があることを初めて知った。
この本の主題をもえちゃんは、第1章第3節のタイトルとしている。いわく:
「最大の長所は、コンプレックスです」
コンプレックスは人間を伸ばすバネとなる良い実例だと思う。
次がもえちゃんのコンプレックスだ。今では克服し、逆に特徴と転じて、現在のもえちゃんがある。
★顔がファニーフェイス
★モデルとしては身長が低い(といっても169センチ)
★読者モデルというスタート
★ティーンを過ぎた20歳になってからのティーン誌モデルスタート
★ティーン誌出身モデルというハンディ
★「臆病、あきらめが早い、人見知り」という三重苦の性格
★字が汚い、新聞が読めないというハンディ
筆者もコンプレックス克服が発端
余談になるが、筆者はあらすじブログを5年近く書いているので、先日知人から、昔からあらすじをまとめるのが得意だったのだろうと言われた。
実は全然そうではない。
むしろあらすじをまとめることは不得手だった。
恥ずかしい思い出だが、大学1年生の時に政治学の大森 彌(おおもり わたる)先生の教養のゼミを取った。
タイトルは「組織と人間」だったか、外国人の学者の論文の抄訳をまとめた本が教材で、学生2人が一組となり、それぞれが担当する章の要約を発表するというゼミだった。
自分の番が来たときに発表したあらすじは、本の引用をコピペしたようなもので、「○○教授は”○○である”と語り、その理由については”△△である”と語っている」というような、コピペあらすじだった。
一方、たしか開成出身のいかにもスマートな学生は、きちんと自分の言葉で担当の章を要約しており、自分の頭が整理されていないことを痛感させられた。
筆者は学生時代は1日1冊本を読むことをノルマにしており、それこそ漱石や芥川の小説から、政治学、哲学の本まで幅広く読んだ。
しかし、これまたページをめくり、字を追っていただけで、ゼミでの要約と同様に、本を読んでも自分の頭で理解していないものだから、単に「読んだ」というだけで、内容はほとんど憶えていなかった。
この度重なる「自分の頭が整理されていない」という発見は、強烈なコンプレックスを自分に抱かせることになった。
それから人の話や、本のあらすじを要領よくまとめることを目標としてきた。いまだに満足していないが、このブログを書くことで、自分の頭の中を整理するトレーニングをコンスタントに続けているのだ。
英語にしてもそうだ。会社に入った時は社内検定3級で、TOEICでいえば700点台だったが、米国駐在の時も含めてコツコツ向上を心がけ、TOEIC945点にまでなった。
これも、最初の海外駐在の時にパンナム機でスチュワーデスに"milk"を頼んだら、ビールを持ってこられたという屈辱があったから、発憤して英語能力アップに取り組んだのだ。
だからもえちゃんの「コンプレックスが最大の長所」というのは、まさに実感できる。
押切流、幸せになるための処方箋
押切流、幸せになるための処方箋として、「こころ」をポジティブにする方法、「からだ」をポジティブにする方法、「仕事」をポジティブにする方法、幸せをつかむ「姿勢=アティチュード」のつくり方を、それぞれいくつかの項目に分けて説明している。
なか見、検索で目次を見て欲しいが、いくつか抜き出すと、次のような処方箋を書いている。
★自分を好きになれないとき
★ここぞの勇気が欲しいとき
★どうしようもなく落ち込んだとき
★きれいになりたいとき
★ダイエットについて
★評価してもらいたいとき
★何をしていいかわからないとき
★行き詰まったとき
★どんなときでも「夢」に向かえ
★常に負けず嫌いたれ
★幸せに向かって、走れ
「『幸せになりたい』が、すべての原動力」で締めくくっており、「おばあちゃんになっても、現役モデルを続けていること」が将来の夢だという。
もえちゃんは太宰治の「人間失格」を繰り返し読んでいるので、この本のタイトルも「モデル失格」となっている。
人間失格 (集英社文庫)
著者:太宰 治
販売元:集英社
発売日:1990-11
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「私はモデル失格だ」、そしてそれを認めたときから、私のモデル人生は始まったのだと。
もえちゃんも図書館でパワーアップ
この本のなかで、もえちゃんは参考になることを数多く書いているので、是非読んで欲しいが、そのなかでも筆者が注目したのは図書館についてだ。
仕事のモチベーションは家族だともえちゃんは語るが、仕事が無いときも、ただ家にいることを両親は許さなかったという。「働かざる者食うべからず」の精神だ。
そのおかげでもえちゃんは図書館に足を運ぶことになった。現状打破の方法が見つからないなら、先人に聞けということで、モデルや俳優で活躍している人の本を読み漁るようになったという。
前半は自分のコンプレックス克服法、後半は人生相談のような内容だ。筆者がいわゆる「タレント本」とは違うというゆえんである。
図書館について書いていることも好感を持った。「タレント本」とバカにせず、是非一度手にとって見て欲しい本である。
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