2009年07月15日

シャープなリンゴとルーズなトマト 英語でストリートスマートになる手引き

シャープなリンゴとルーズなトマト―イギリス英語散歩シャープなリンゴとルーズなトマト―イギリス英語散歩
著者:多賀 敏行
販売元:小学館
発売日:1999-07
おすすめ度:4.0
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本日付でチュニジア大使に発令された多賀敏行さんが、英国生活で気が付いた英語の用法をまとめたエッセー。

大前研一さんの「マネー力」などでは資産を増やし、守るために日本人よ"Street smart"になれ、というようなことを書いているが、この本はいわば"英語版Street smart"のすすめだ。

多賀さんはイギリス公使を勤めた外交官であり、ケンブリッジ大学に留学したほどの英語の使い手だが、それでもわからなかった町中での英語の用法が紹介されていて参考になる。

この本で紹介されている英語の用法は大まかに整理すると、次の4パターンとなる。


1.よく使う英単語だが、イギリスでの用法はあまり知られていないもの

たとえば本のタイトルとなっているシャープな(すっぱい)リンゴ、ルーズな(バラ売りの)トマトだ。「よく旅をする"travel extremely well"菓子パン」など、このパターンは結構多い。

信号機のアンバーも知らなかった。日本語だと青、黄、赤だが、英国だとRed, Green, Amberなのだ。

多賀さんも苦労したそうだが、英国の運転免許試験は30分ほどの市中運転の実技と、停車して10問ほどの口頭試問ということなので、これは難しいと思う。

米国、特にピッツバーグなどの田舎は車が運転できないと死活問題にもなるので、運転免許は高校生から取れるし、問題も易しい。

筆者の最初の駐在の時は、日本の免許は他州の免許扱いだったので、領事館で作ってもらった日本の免許の証明付き翻訳を持って行くと、実技は免除で、画面がスライドになっているテスト機で25問だったかの試験にパスするとその場で仮免許をもらえた。

スライド式のテスト機は、たしか合格点が8割とか決まっており、25問中5問以上間違えるとその場でストップという形式だった。

日本の学校の標識はいかにも子どもが歩いている感じだが、アメリカのSchool Zoneの標識は、大人が歩いているので、唯一これを間違えたが他は問題なかったので、事前勉強もせずに一発で合格したが、そのうち日本で免許を持っていても、実地試験が免除されなくなり、後の駐在員は数ヶ月は国際免許で運転していた人が多かった。

また文盲の人は付添人が認められていたので、スライドの設問を他の人に読んでもらっている人もいたが、本当に文盲なのか、あるいは知人に教えてもらうカンニングの一種なのかよくわからない。

School-Zone








日本と違うので注意が必要なのは"No turn on Red"と"Yield"のサインだ。

"No turn on Red"は米国は車は右側通行なので、このサインがない交差点では赤信号でも左から車が来なければ右折して良い。

noturnonread









ニューヨークなどの大都市や、カリフォルニア州などをのぞいて多くの州ではこのサインを取り入れているが、州によってはそもそも"No turn on Red"を認めていないので、レンタカーカウンターなどでチェックが必要だ。

もう一つの三角形のサインは"Yield"つまり、道をゆずれ、向こうの車の方が優先というサインだ。

yield








2度目の駐在の時は、前回の駐在から5年経っていたが、とっくに失効している前の免許を持っていったら、その場で新しい免許を発行してくれた。アメリカは車社会なので、免許は生活に不可欠なのだということがよくわかった。

日本人の多いニュージャージーとかは(カリフォルニアも?)、日本語で運転免許の試験が受けられるという話だった。

それに比べて英国の運転免許試験は難しい。国によってずいぶん違いを感じる。

たぶん外国人にとって日本の運転免許を取るというのも、非常にハードルが高いことなのではないかと思う。

閑話休題。

巻末に「こんなに違うイギリス英語とアメリカ英語」という付録が付いているので大変参考になる。


2.英国ではよく使われているが、日本で目にすることはあまりない単語

筆者もこの本で初めて知った単語に"alight"がある。乗り物から降りるという意味だ。地下鉄のストリートパフォーマーの"busking"という単語も知らなかった。


3.アクセントや発音が違うので通じにくい単語

マクドナルドがこの手の単語で有名だが、(「まくーな」という感じだ)、この本では、コストレル、ーモグロビン、ウディアム(塩分)などが紹介されている。アクセントが違うと全く通じないことがあるので、要注意だ。

この本の付録でも紹介されているが、ロンドンの中心地のピカデリーも日本語風に発音すると通じないと思う。ピカディリーなのだと。

筆者は米国でレンタカーを電話で予約しようとして、Arkansasアーカンソー)で苦労した覚えがある。アーカンサスではないのだ。


4.なんと読むのかわからない地名

なんと読むのか分からない地名が多いのもイギリスの特徴だ。ウィンストン・チャーチルが生まれたブレナム宮殿はBlenheim Palaceだ。

実はこのBlenheimは元々ドイツの町で、チャーチルの先祖のJohn Churchill、Marlborough(モールボラ)卿が勝利を勝ち取った戦いの場所で、ブレナム宮殿は時のアン女王から初代Marlborough卿に与えられたものだという。

現在「21世紀イギリス文化を知る事典」を読んでいるが、実はチャーチルの祖先の話は、この事典に載っていたので紹介したものだ。

800ページの大作だが、イギリス文化の奥深さがわかる話が多く参考になる事典だ。

21世紀 イギリス文化を知る事典21世紀 イギリス文化を知る事典
著者:出口保夫
販売元:東京書籍
発売日:2009-04-04
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Marlboroughもタバコなら日本語ではマールボロと言っているが、チャーチルの場合はモールボラだ。魚のボラを皿に盛ると覚えると良いと多賀さんはコメントしている。

読めない地名はいくらでもあるので、この本では付録にまとめられている。

例えばReadingなどはアメリカのペンシルバニア州にもあり(発音も同じ)、筆者は何度も行ったので忘れないが、初めての人ではディングとは読めないだろう。


英語のなまりから出身がわかる

最後に英語のなまりから出身地、出身階級がわかる話が紹介されており、多賀さんは1.有名パブリックスクールからオックスフォード大学・ケンブリッジ大学に行った人、2.パブリックスクール出身ではないが、オックスフォード大学・ケンブリッジ大学を卒業した人、3.どちらでもない人、の3パターンを聞き分けられるという。

サッチャー元首相は、2.で、メージャー元首相は3.だ。

マイ・ファア・レイディのヘップバーンのコックニー(ロンドンの下町のスラング)を直すヒギンズ教授の話も出てくる。YouTubeでも英語矯正のシーンがある。



ヒギンズ教授は6マイル内の誤差で、その人の出身地を当てることができ、ロンドンでは2マイル以内、時には通り2本の精度で言い当てることができると言っている。

多賀さんは、自らの経験からして、この「通り2本」というのもあながち誇張ではないと語っている。

筆者は仕事で昨年ロンドンに行ったが、そのとき個人情報の話になり、英国の郵便番号(アメリカではZip code、英国ではPostal code)の精度の話を聞いた。

日本の郵便番号は7桁にもかかわらず、一つの町で一つの郵便番号というように全く有効利用されていないが、英国の郵便番号は建物、ビルディング?ごとについているので、その人の郵便番号がわかれば社会的階級までわかるという話をしていた。

さすが階級社会イギリスだと思う。


詳しく紹介すると本を読んだ時に興ざめなので、あらすじはこの程度にしておくが、12チャンネルのワールド・ビジネス・サテライトの小谷真生子(こたにまおこ)さんが推薦していると本の帯に写真入りで紹介されている。

簡単に読めて役に立つ。是非一読をおすすめする。


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Posted by yaori at 01:43│Comments(0) 多賀敏行 | 英語