2009年09月09日

心にとどく英語 日本人の英語 第3弾 今度は言葉のニュアンス

心にとどく英語 (岩波新書)心にとどく英語 (岩波新書)
著者:マーク ピーターセン
販売元:岩波書店
発売日:1999-03
おすすめ度:4.5
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「日本人の英語」の著者マーク・ピーターセンさんの英語の使い方指南第3弾。今度は言葉のニュアンスだ。

最初に目次を紹介しておく。

I.英語の発想
 1.マラソンが彼にチャレンジする
 2.時制はドラマをつくる
 3.willではないがmightではある

II.日常もドラマだ
 1.頼れるレトリック
 2.宿題は「haveの世界」
 3.getをモノにして
 4.「微妙なこころ」を添える

III.会話にスパイスを
 1.excuseで世渡り上手
 2.youはyouでも「あなた」じゃない
 3.「入場券でも売ったっていうのか」

IV.意思貫徹の会話術
 1.隠された「つもり」
 2.女を侮辱する表現あれこれ
 3.去る者は日々に疎し
 4.careは人間関係の要

190ページあまりの本で、簡単に読める。いくつか参考になった点を紹介しておこう。


チャレンジ=挑戦という意味の確率は1/4

最初にチャレンジが出てくる。

チャレンジというと難しいことに挑戦するというイメージだが、そういった使い方は1/4程度で、大半は挑発とか呼びかけという意味だ。

象徴的な例として、「マラソンが彼にチャレンジする。」という例を挙げている。

The marathon challenged the runners.

アメリカンフットボールでもルールが変わってチャレンジを1試合に3回までできるようになったが、これは審判の判定に不服があるときに言い出すものだ。

この例としては、

U.S. may seek to challenge East German Medals.

という例が紹介されている。

東独は今は統一ドイツの一部だが、旧共産圏のスポーツ選手はドーピングをやっていたとの疑惑があり、さかのぼって1968年から1988年の間の東独のメダルを無効にする審判を米国が要求したというものだ。


ネイティブ並の会話は至難の業だがネイティブ並のレターなら努力すれば書ける

以下は筆者の意見だ。筆者はTOEIC945点だが、最も自信を持っているのは英文のレターだ。

TOEIC何百点とかいっても、本当の英語力はTOEICでは計れない。文脈にあった適切な単語を使って格調高いレターを書けるかどうかが本当の英語力だ。

日本人が英語会話でネイティブと間違えられるまでになるのは至難の業で、米国駐在9年の筆者でも不可能だろう。しかしネイティブ並のレターは努力すれば書ける。

このブログでも紹介してきた「日本人の英語」などの英語本を読んでも、断片的な知識はつくが、本当の意味でネイティブ並のレターが書けるようになるには、英語本を読むだけでは不十分だ。英語の原書を読んだり、英語のオーディオブックを聞くことでも不十分だろう。

ネイティブ並のレターを書こうと思ったら、筆者がおすすめするのはタイム誌を読むことだ。それも単に1年とか読むのではない。5−10年くらいの単位で読み続けるのだ。

英文週刊ニュース誌 TIME アジア版 定期購読1年分 (英語版)英文週刊ニュース誌 TIME アジア版 定期購読1年分 (英語版)
販売元:Time Inc.
発売日:2006-03-01
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さらに単に読む続けるだけではダメだ。何年読み続けても1ページにいくつも知らない単語が出てくると思うが、辛抱強く分からない単語は辞書を引くことだ。

辞書を引くといかにタイム誌の英語が文脈にぴったりの洗練された単語を使っているかわかるだろう。

偉そうなことを言っているが、実は筆者がネイティブ並のレターを書けるようになったのは、「タイムインテンシブコース」という通信教育のおかげだ。

毎週タイム誌を読み、2週間に1回レポートを書くということを6年続けた。その後米国に駐在した時に通信教育はやめたが、タイム誌を読むことはずっと続け、結局20年以上継続してタイムを読んでいた。

この「タイムインテンシブコース」はアルクの通信教育だが、現在は同じコースはない様だ。

メールが中心となり、英文でレターを書くことが少なくなってきているので、「タイムインテンシブコース」も止めたのかもしれないが、やはりきちんとしたビジネス提案をして受け入れられるためには、今でもレターが最も効果的だ。

同じコースがないので、代替案は次の通りだ。

1)タイム誌を読んで、分からない単語が出てきたら印をつけ、後で辞書を引く。

2)英文添削が含まれている通信教育を受ける。

3)タイム誌で新しく覚えた単語を使って英文を書いたり、会話に使ったりしてみる。

4)(可能であれば)英語でタイム誌の記事のあらすじを書く。

継続は力なりである。一般の通信教育の問題点は何年も継続して続けるようなコース設計となっていないことだが、上記の4つを続ければ英文力が比較的に向上することは間違いない。


「分からない」のニュアンス

文脈にぴったりの英語という意味では、この本では良い例が多く載っている。たとえば次のような「分からない」が紹介されている。

I don't know where she went last night.

日本語の「知らない」に近い。

I don't understand why she's been so cold to me lately.

「考えても分からない」という意味。

I never realized that she was getting tired of me and had started seeing someone else.

「気が付かなかった」という意味。

I couldn't tell that she was getting tired of me and

「まったく気が付かなかった」という意味。


映画の名セリフ

★映画卒業の一場面で、ミセスロビンソンが、娘の学友のベンを誘惑する場面でのセリフだ。

What do you drink? Bourbon?

これが現在形であるところが意味がある。「いつも何を飲んでるの?バーボン?」という風に、大人の雰囲気を作ろうとしているのだ。



YouTubeでは、このセリフの後の場面が載っている。


★カサブランカのセリフ

カサブランカのDVDを借りてきて一晩で2回見てしまった。本当に良い映画だ。

カサブランカ [DVD] FRT-017カサブランカ [DVD] FRT-017
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カサブランカの最も有名なセリフ(筆者が思うに)は次の通りだ。

Ybonne: Were you last night ?

きのうの夜はどこにいたの?

Rick: That's so long ago, I don't remember.

そんな昔のことは思い出せない。

Ybonne: Will I see you tonight ?

今晩会えるかしら

Rick: I never make plans that far ahead.

そんな先のことはわからない。

YouTubeにはこの映像はないが、カサブランカの名セリフを紹介しているサイトで紹介されているので、参照して欲しい。


この本「心にとどく英語」で紹介されているのは、カサブランカの次の場面だ。短いセリフに絶妙のメッセージが詰め込まれている素晴らしい例だ。

ブルガリア人の若妻アンニナがリックにルノー署長の約束は信頼して良いのか聞く。(ルノー署長が自分と寝たら出国許可を出すと言ったのだ)

Will he keep his words?

He always has.

ルノー署長は今まで約束を守っている。(つまり同じような取引を違う女と何度もやって約束通り出国許可を発給しているという意味だ。現在完了を使って絶妙の意味を出している)

これを聞いたアンニナはため息をつく。


これ以外のカサブランカの名セリフが取り上げられているブログもあるので紹介しておく。作者の松本亨さんがつくった英語字幕付きのビデオがYouTubeにもアップされている。一見の価値があると思う。



このほかに映画で英語(カサブランカ)というサイトもある。カサブランカの英語好きの人も多い様だ。


英語をブラッシュアップするヒント

この本ではちょっとした心配りで、英語がブラッシュアップできるヒントが紹介されている。印象に残った例を紹介しておく。

★willとam going toの違い。willは思いつきの感じがあるが、am going toは予定に入っているという感じがある。


★goとgetのニュアンス

Do you think you can go to the party tonight?

パーティにそもそも行けるかどうか。

Do you think you can get to the party tonight?

パーティ会場にたどり着けるかどうか

だから駅に行く道を聞くにも、How can I go to the station?はおかしく、How can I get to the station?と言うべきだ。


★Youをあたかもoneの様に使う例

大リーグの名選手のインタビューという設定で。

It's important to remember that everything you do and say is being watched by a lot of different people. You have to think about what you're doing, and especially how children are looking at you.


★kiss-and-tell bookというのはいわゆる暴露本のこと。

★「知らねえよ」の英語は"I wouldn't know"だ。"I don't know"だと単に「分からない」になってしまう。

★「彼がかわいそう」を英訳すると"I felt sorry for him when he got laid off."というような感じになり、英語の主語はIとなる。


この本を読んだだけで英語力が向上するわけではないが、いわゆる「うまい言い方」の大事さを教えてくれるという意味で良い本だと思う。

簡単に読めるので、図書館などで借りて一読をおすすめする。


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Posted by yaori at 00:11│Comments(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 英語