2009年11月05日

超凡思考 伊藤塾の伊藤塾長とハーバードMBA岩瀬さんの本

超凡思考超凡思考
著者:岩瀬 大輔
販売元:幻冬舎
発売日:2009-02-10
おすすめ度:3.0
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「ハーバードMBA留学記」で有名になった現ライフネット生命保険副社長の岩瀬大輔さんと、岩瀬さんが東大法学部在学中に通った伊藤塾の伊藤真塾長の本。

岩瀬さんは開成高校出身、東大法学部在学中に司法試験に合格したが、法曹職になることをやめ、新卒は3人しか採らないBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)に就職、リップルウッドへの転職後、自費でハーバードビジネススクールを卒業し、優秀な成績で日本人として4人目となるべーカー・スカラーとなる。(元BCG日本代表、現ドリームインキュベーターの堀紘一さんが日本人初めてのべーカースカラーだそうだ)

留学当時書いていたブログを本として出版した「ハーバードMBA留学記」は大変参考になったので大学生の息子に渡した。

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にてハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて
著者:岩瀬 大輔
販売元:日経BP社
発売日:2006-11-16
おすすめ度:4.0
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国籍のみならず、エンジニアや金融業界、メーカーなど、いろいろなバックグラウンドの学生が寄り集まって小グループをつくって勉強しているという話は、あの本で初めて聞いたが、なるほどと思った。

企業派遣のハーバードMBAは結構いるが、べーカースカラー(金時計組)という全体の5%の優等生になったという話も聞いたことがないし、新浪さんなど日本人が集まっての小グループはともかく、インターナショナルチームでの学習という話も聞いたことがない。

あるいは企業派遣留学生も当たり前に小グループで学習していたのかもしれないが、同じ授業を聞いてもバックグラウンドが異なる人が集まれば理解がより深まるだろう。

MBAのケーススタディは答えを出すことが目的ではない。答えよりも、一つのケースを様々な角度から分析して、いろいろな見方を知り、考え抜くことが重要であり、その意味では岩瀬さんが参加していた小グループでの勉強は、密度の濃い勉強をするために最適の方法だと思う。

岩瀬さんの本は最近文庫版が出たようだ。

金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記 (文春文庫)金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記 (文春文庫)
著者:岩瀬 大輔
販売元:文藝春秋
発売日:2009-05-08
おすすめ度:3.5
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岩瀬さんは帰国後、インターネットで募集する生命保険会社のライフネット生命保険副社長となる。これからの保険の主流はインターネット募集となるという信念があるという。

その岩瀬さんが東大在学中に司法試験の予備校として通っていた伊藤塾の伊藤真塾長と一緒に書いた本だ。

開成高校、東大法学部、在学中の司法試験合格、BCGに新卒入社、ハーバードビジネススクールでトップ5%の優等生;と岩瀬さんの経歴を書いていくと、いかにも超秀才の様に思えるが、岩瀬さんがこの本で書いていることは実に基本的なことだ。

ひとことで言うと、ストレッチしてワンランク上の目標を設定して、それを目指してあきらめずにコツコツとにかくやり続けるということだ。

岩瀬さんも伊藤さんも読書の重要性を語っている

時間はすべての人に平等に与えられている。勉強でも何でも、やり続けることが出来る人が成功するのだ。

この本の帯にも書いてあるが、当たり前を愚直にやりぬくと、平凡は非凡に変わる。それがこの本の提言だ。

司法試験などの資格試験専門の伊藤塾の伊藤真塾長については、今まで本も読んだことないし、筆者とは年代がだぶらないので、名前しか知らなかったが、この本でカリスマ講師としての片鱗が伺えて参考になった。


伊藤さんの講師としてのテクニックを披露

伊藤さんが紹介している講師としてのテクニックは次の通りだ。

・何を伝えたいのか。強い意識があってこそ、技術が生きる。

伊藤さんは何百回という講演をこなしているが、相手が聞きたいと思うことしか伝わらないと実感していると語る。

コミニュケーションの本質は、「相手が聞きたいこと、知りたいこと、欲しているものしか伝わらない」という点にある。

・ロゴスとパトス、理性と情念、頭と心のバランスを取ることが重要。

話をするとは、役を演じることと似ている。相手の求めているものを与えるために、学者、易者、医者、役者、芸者、父母という具体的に6つの役割が話し手には求められている。

理性と情念のミックスで求められた役をこなすのだ。

・具体例と「3」の使い方。相手に合わせて記憶に残す。

講演などで話をするときの目的は、「理解」、「納得」、「満足・共感」そして究極は「感動」してもらうことだ。

「理解」してもらうための方法は、

1.受け手の思考のスピードに合わせて話すスピードを変える

2.聞き手が理解しやすいように「予測可能性」を演出する。
「今日いちばんお話したいのは○○です」、「みなさんに伝えたいことは3つあります」という様な具合だ。

話し終えたら、ポイントをおさらいして、次のテーマに移る工夫もしている。

3.具体例を多用する。

「こんなことって、ありますよね」という具体例で、聴衆の想像力をいかに刺激できるかが勝負だ。

「3」は安定した数字の一つなのだと。

・欲張らない。10のうち2伝われば十分。

欲張らずに、情報の優先順位をつけておくこと、そして大切なのは繰り返すことだ。

演説のうまかったヒットラーは「労働者の皆さん、仕事を与えます」と1時間の演説の中で何十回も繰り返したという。


・信頼を得る5要素。積極性・社交性・専門性・個人的魅力、そして客観性。

これらが「納得」してもらう5要素だ。少数派への配慮も怠ってはならないと。


・四隅と真ん中へのアイコンタクト。「1対1」で共感と親近感を。

「笑顔」とアイコンタクト、途中で上着を脱ぐのも効果的だ。「私も数年前まではわかりませんでした」とか「たしかにこれは難しいですね」と一緒に悩んでみせる。

「みなさん」という言葉の代わりに「あなた」という言葉を使ってみる。

オーケストラのように、会場のいちばん後ろの「あの人に伝わるように」という意識を持つことが重要だ。

・スピード、リズム、ジェスチャーと意外性で、集中力を維持。

緊張と弛緩を繰り返すために、話すスピードとリズムを変える。「間」をつくる。「何ページを見てください」と具体的な作業を促す。「みなさん、これはどう思いますか?」と質問する。

「これは試験に出ますよ」と言うと一瞬にして緊張感が高まるという。


筆者は仕事で10月に3回講演をしたばかりだが、この本を先に読んでいれば、もっと工夫できたのにと残念に思う。

伊藤さんは「続ける力」という本を出しているので、今度読んでみる。

続ける力―仕事・勉強で成功する王道 (幻冬舎新書)続ける力―仕事・勉強で成功する王道 (幻冬舎新書)
著者:伊藤 真
販売元:幻冬舎
発売日:2008-03
おすすめ度:4.0
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伊藤さんのパートでは、大学卒業以来ひさしぶりに「リーガルマインド」という言葉を聞いた。

実は筆者が就職活動をしていた時に、今の会社の役員面接で、「大学で何を学びましたか」という質問があり、筆者は「リーガルマインド」であると答えた。

そのとき副社長(その人は経済学部の卒業生)から突っ込みがあり、リーガルマインドとはどういうものか自分なりの理解を説明した。

結構冷や汗ものだったが、伊藤さんはこの本の中でリーガルマインドを「複眼的にものを見る手法」であり、「物事を多角的に見るのがリーガルマインド」だと説明している。

岩瀬さんは、「一つの物事を見るとき、ある一つの見方を絶対視しないで、多角的に検討するということ。見方や考え方には違う価値観がいろいろ内在していて、それを比較し考慮したうえで、そうした思考のプロセスを過不足なく、相手に伝えること」と説明している。

筆者はたしか「物事を様々な面から見て、いろいろな見方を比較考量して結論を下すという考え方が、リーガルマインドです」だと答えたような記憶がある。

どうやらほぼ正解のようだ。


岩瀬さんのパート

岩瀬さんのパートのなかで世界中のブログを調べて何語で書かれているブログが多いか調査したところ、一番多いのは中国語でも英語でもなく、日本語だったという。

世界で発信されているブログの3−4割が日本語なのだと。岩瀬さんの率直な感想は、「日本人はそれだけ溜めているのか」ということだと。

たぶん元データはTechnoratiのレポートだと思う。

blog post by language





出典:http://www.sifry.com/alerts/archives/000433.html

もっと新しいデータがないか探してみたが、今のところ2006年第4四半期のものしかみつからないが、これでも依然として日本語がブログ言語では第1位だ。

Slide0013-tm





出典:同じSifryさんのブログ

自分の思いを外に伝えたい、発表したくてうずうずしている人は潜在的に大勢いたのだ。


間違いやすい英単語

ちなみにどうでも良い話だが、最後の岩瀬・伊藤対談で、岩瀬さんがハーバード時代は、みんな青臭いことを語っていた、「生きる上でのお前のプリンシパルは何かとか、理想の人生は?…」という部分があるが、これは「プリンシプル」の間違いだ。

「プリンシパル」と「プリンシプル」は間違えやすいので、「プリンシパル」は「パル」=友達だから校長だと、アメリカ人は覚えるようにしている。

「校長=パル=友達」という発想は日本人にはないが、アメリカの学校の先生は校長先生でも子どもと友達のように親しくしている。

ピッツバーグに駐在している時代に、長男の小学校に行ったら、子どもが気軽に校長室に遊びに来ていることには驚いた。

アメリカの小学校には職員室はなく、先生は自分の教室に机をもっており、そこが先生のオフィスだ。だから子どもと先生は常に一緒なのだ。

ファカルティルーム(Faculty room)というのがある学校もあるが、学校の事務員が働くオフィスであり、到底教師全員が入れる日本のような職員室ではない。

大学は多分小中学校や高校とは異なるだろうし、全米の学校のことを知っている訳ではないので、あるいは日本風の職員室のある学校もあるのかもしれないが、アメリカでは先生=師ではなく、先生=パル=友達という発想がなりたつ教室の設定なのだ。


200ページ余りの本だが、奇をてらったところのない基本に忠実な提言ばかりなので、通勤途上で1時間もかからず読み終えた。

簡単に読めて参考になることも多いので、本屋で手に取ってパラパラめくってみるこをおすすめする。


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Posted by yaori at 01:34│Comments(0)TrackBack(0)趣味・生活に役立つ情報 | 勉強法

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