2009年12月02日

抜擢される人の人脈力 ヘッドハンターが語る戦略的人脈作り

抜擢される人の人脈力  早回しで成長する人のセオリー抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー
著者:岡島悦子
販売元:東洋経済新報社
発売日:2008-12-12
おすすめ度:4.5
クチコミを見る

著者の岡島悦子さんは昭和41年生まれ。三菱商事に総合職として入社、ハーバード大学でMBAを取った後、マッキンゼーを経てグロービスに入り、グロービス・マネジメント・バンクというヘッドハンティング会社の社長を勤める。

2007年に独立してプロノバを設立した。プロノバは”プロの場”のことだと。あまり更新していないようだが、ブログでも情報発信している。

ダボス会議(世界経済フォーラム)により"Young Global Leader 2007"に選出されている。


人脈スパイラルモデル

岡島さんがつきあっている経営のプロ達は、みんな一様に「抜擢される機会に恵まれた」と語るというが、実は抜擢されるには戦略的な人脈構築法、次の5ステップの「人脈スパイラルモデル」があるのだと。

1.自分にタグをつける(自分が何屋なのか訴求ポイントをはっきりさせる)
2.コンテンツを作る(「お、こいつは」と思わせる実績事例をつくる)
3.仲間を広げる(コンテンツを試しあい、お互いに切磋琢磨して、次のステップを共創する)
4.自分情報を流通させる(何かの時に自分のことを思い出してもらえるよう、種をまく)
5.チャンスを積極的に取りに行く(実力以上のことに挑戦し、人脈レイヤーを上げる)


ハーバードで人脈構築の大切さを学ぶ

岡島さんはそれまでは「プロと言われる人材になれば、人脈は後からついてくる」と思っていたが、ハーバードのMBAのスタディグループで、人脈構築の大切さを学んだという。

ハーバードでは自然と5人前後のスタディグループが形成される。まずは1年生全員(880人)が一堂に会して、誰と組むかの”ショッピング”がある。100人くらいに分かれて30秒づつ自己アピールするのだ。

スタディグループの鉄則は"Commit or die"(貢献しなければ去れ)なので、自分と補完関係のあるスキル・経験を持つ人とグループを組むのが鉄則だ。自分のポジションを明確にし、ユニークさをアピールしながら、相手は自分の何を貢献と見なすのか探ることだ。

岡島さんの場合は、当時32歳だったが三菱商事で一番高いマネジメントレベルの女性であることがキャッチーで、これが岡島さんのタグとなったという。

タグがつくと、周りから推薦・抜擢が生まれてきたという。

そして自分を売り込む際には、「私はこれができます」という「自分目線」でなく、「自分はあなたにどう貢献できるか」という「相手目線」の「購買支援型」のモデルとなることが重要だと説く。

「あなたにどう貢献できるか」というのは、カーネギーの「人を動かす」にある、ニューヨークからアリゾナに引っ越して、10以上の銀行からオッファーがあった女性元支店長の話を思い出させる。


岩瀬大輔さんの話

岡島さんはいくつか具体的例を取り上げている。

最初の事例はライフネット生命保険副社長の岩瀬大輔さんだ。このブログで「超凡思考」を紹介したが、岩瀬さんは東大法学部在学中に司法試験に受かったにもかかわらず、法曹職になることをやめ、BCGに就職し、リップルウッド、ハーバードMBAを経てネット生命保険会社を立ち上げた。

岩瀬さんはハーバードMBA留学時代にブログを書いて、「ハーバードMBA留学記」として出版したが、ブログを読んでいたあすかアッセットマネジメントのCEO谷家さんが「君がベンチャーをやったら絶対に成功する。僕がお金を出すよ」と言ってくれたという。

谷家さんの紹介で日本生命出身で生命保険のプロの出口治明氏と一緒に創業し、三井物産やリクルートなどから資金を1年半で130億円の集め起業した。

岩瀬さんは人脈スパイラルモデルの典型的なモデルだ。


白馬の王子はやってこない

岡島さんは「白馬の王子はやってこない」と語る。抜擢されるのは「自薦」でなく、「他薦」が必要だ。逆に言うと、「他薦」されるために積極的に仕掛けていくのだ。

マッキンゼーの仕事でも人材のパラダイムシフトが起こり、プレゼンテーション制作専門の代替可能なルーティン・ワーカーと、重要な経営職のクリティカル・ワーカーに2分された。

ルーティン・ワーカーはそれこそインドや中国など人件費の安いところにアウトソーシングできる。しかしクリティカル・ワーカーは欠くことのできない人材なのだ。

言い換えると、"I am nobody"から脱却するのだと。


元楽天の吉田敬さんの例

次の事例は東大法学部出身ながらリクルートと楽天でプログラマーとして活躍した吉田敬さんだ。32歳で楽天にプログラマーとして入社し、プロデューサーのトップとして常務、CTOを歴任し、2007年に退社した。

吉田さんは「楽天の何でも屋」と言っていたという。実際22枚の異なる肩書きを持つ、スーパーマンだったという。

筆者は吉田さん自身には会ったことがないが、吉田さんのスタッフを通して吉田さんがプロデュースした楽天スーパーポイントの誕生に間接的に関わった。

筆者は楽天スーパーポイントは日本で一番良くできたポイント制度だと思っている。

その理由は、楽天スーパーポイントは色分けができるように設計されているのだ。

自社購買で得たポイントと、ポイント交換したポイントが色分けされており、ポイント交換で得た楽天スーパーポイントはANAマイルなどには交換出来ない設計となっている。

また楽天イーグルスが勝った時のポイント2倍とか3倍のボーナスポイントは、有効期限が1ヶ月程度で、1ヶ月以内に購買して使わないと消滅してしまうのだ。

ポイント交換した楽天スーパーポイントがANAマイルに交換できないようにするという設計は、ポイントマニアの筆者の意見を参考にしたものだと思っているが、本当のところはわからない。


ビジネスの心肺機能

ビジネスの心肺機能とは、集中力、根気、粘りだという。心肺機能を鍛えるには、1.脳に汗をかくくらい頭を使う。2.ビジネス上の修羅場を経験する、3.自分の名前で仕事をするの3点が重要だ。

実は一番評価されやすいのは「がんばる」姿勢なのだと。


マッキンゼーでの経験

マッキンゼーでは会議で発言しない人は「透明人間」と呼ばれ、いてもいなくても同じだから出席しなくても良いと言われる。マッキンゼーで"So What?"と追求されるたびに、自分が物事の表層しか捉えていないことを痛感したという。

マッキンゼーでは「ちょっと頭を借りたい」というのがフレーズとして定着していたという。ちょっとブレストに参加してくれということだ。プロジェクトメンバーの脳の特性が分散していると、議論が生産的になり、誰もが思いつかなかったアイデアが自然と出てくることが多いという。

マッキンゼーにはアルムナイ・ギャザリングという同窓会があり、会社が積極的に支援しているという。


勉強会では幹事をやれ

岡島さんはハーバードの先輩のグロービス堀義人さんから、勉強会開催を通じた人脈作りを学んだという。

堀さんは「勉強会をやるときは、幹事という面倒なことをひきうけたほうがいい。ノウハウや情報、人とのつながりはすべて幹事に集まってくるものだから。それにメンバーが困ったら必ず幹事のところにくるはずだよ」と言っていたという。

勉強会では自分が何をわかっていないか「メタ認知力」がつくという。優秀なコンサルタントほど自分が何がわかっていないかを常に考えているという。

岡島さんは異業種交流会などはあまりおすすめしないという。既に知っている人と頻繁に会うことの方がはるかに効率的だという。


その他、リマインド効果、自分情報を流通させるためのブログやメルマガの活用も勧めている。


「人脈スパイラルモデル」は参考になる。心構えの面でも「スパイラルアップ」を常に頭に入れておくことは、キャリアディベロプメント上も役立つと思う。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。




Posted by yaori at 22:29│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | 趣味・生活に役立つ情報

この記事へのトラックバックURL