2009年12月20日

日本米国中国 団塊の世代

日本 米国 中国 団塊の世代日本 米国 中国 団塊の世代
著者:堺屋 太一
販売元:出版文化社
発売日:2009-03-29
おすすめ度:4.5
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堺屋太一さんが監修する日本、米国、中国の団塊世代の特徴を説明した本。


米国のベビーブーマー

米国のベビーブームは1947年から20年間くらい続いたが、1950年前後に生まれた団塊の世代の多くはベトナム戦争に従軍した。唯一の戦勝国ともいえる米国が初めて敗戦を経験したのだ。

米国の出生数と人口の推移

USA population2 P27





出典:本書27ページ

次がベトナム戦争で戦死したアメリカ軍人の年齢統計だ。

Vietnam death toll P70







出典:本書 70ページ

「19」という歌で歌われている通り、ベトナム戦争では徴兵されたばかりの19歳から21歳の若者が最も多く戦死した。ケネディ暗殺、アポロ計画、1969年のウッドストックのコンサートが1960年代の出来事だ。



1970年代には、ベトナム戦争は終結したものの、ウォーターゲート事件、石油ショックや環境汚染問題で、近代工業社会はゆらぎ、アメリカの団塊世代は、堺屋太一さんが「知価革命」と呼ぶ「人間の幸せは物財の豊かさではなく、満足の大きさである」というパラダイムシフトを経験する。

1980年代のレーガンの貿易・経済自由化政策のために、米国の製造業は衰退し、製造業の中間管理職が軒並み失業し、低賃金の時間給で働くサービス業に転職を余儀なくされた。

その結果、刹那主義的な「欲しいときに買って、後で払う」というライフスタイルが定着し、1982年に10%あった貯蓄率が2007年には0.5%にまで低下してしまう。

そして起こったのがサブプライム問題をきっかけとする2008年の金融危機だ。アメリカの金融危機脱出の道筋はまだ見えない。

アメリカの社会保険(Social Security)は、このまま行くとベビーブーマー世代が続々リタイアする2010年頃から収支が悪化し、2020年には赤字になることが予想されている。

筆者も米国で合計9年間働いていたので、社会保険の受給資格がある。米国ではこのような通知が社会保険受給資格者には毎年来る。

SS1











筆者の場合は、66歳から毎月1,000ドル程度もらえるが、前倒しで62歳からもらう場合には800ドルに減額される。

SS2











この予想額は毎年変わるので、もし米国の社会保険制度が赤字となったら、当然支給額は減額されるのだろう。


米国のもう一つの特徴は人種による出生率の差だ。

US population growth by race







出典:本書63ページ

白人・黒人の出生率は低下が著しいが、ラテン系の出生率は依然として2.5〜3と高いままである。


中国の団塊世代

中国の出生率、死亡率と人口推移は次のとおりだ。

Chinese population P43






出典:本書43ページ

中国の出生率は1959〜1961年に天災により急激に低下するが、その前1949年から1958年頃までが第1ベビーブーム、1962年から1970年頃までが第2次ベビーブームだ。

中国の団塊世代の大部分は1966年からの文化大革命を経験した。まともな教育を受けられず、都市部の若者は地方に下放された。毛沢東が死ぬとすぐに「4人組」は逮捕され、死刑となり、ようやく文化大革命の大波は収まる。

この本でモデルとなっているベビーブーマーは内モンゴルに下放され、遊牧民とパオで暮らしたという。

1980年代からは小平の「白猫でも黒猫でも鼠を捕る猫は良い猫だ」という発言に象徴される自由化・工業化が推進される。

1990年代からは高い貯蓄率に裏打ちされた高度成長モードに入り、2000年代にさらに成長は加速している。

モデルとなっているベビーブーマー一家は北京で住んでいた古い社宅がオリンピックのため取り壊されたため、十分な補償金が支給され、150M2の広いマンションを買ったという。

2008年の金融危機により中国も影響を受けたが、政府がGDPの2割弱の4兆元(54兆円)という巨額の景気対策を2年間にわたり実施することで、景気は立ち直ったかに見える。

中国の出生率は低下しているが、進学熱はさらに高まっており、中学生の3/4は高校に進み、高校生の3/4は大学を目指している。元々教育熱心な民族なので、今後も中国の教育ブームは続くだろう。

Chinese education








日本の団塊世代

1968年は「坂の上の雲」の連載が産経新聞で始まった年だが、西ドイツを抜いて日本が世界第2位の経済大国になった歴史的な年でもある。

1968年は団塊の親の世代が目指してたどり着いた「坂の上」だったが、団塊世代には学園紛争の時代でもあった。

日本の団塊世代も世界金融危機の影響は受けているが、若者に比べてダメージは少ない。むしろタクシー運転手のような職業では、安い賃金でも働く団塊世代が若い世代を追い出した業界もある。

堺屋太一さんは、これからは「高齢者が働いて、高齢者が費う(「購う=あがなう」の間違いか?)時代」だという。

最後に昭和10年生まれの堺屋太一さんは団塊世代に、「団塊世代よ、決して諦めるな!君たちにはまだ未来がある。君たちが諦めずに働き、働こうとすることで、新しい文化がこの地球に育つのである」とエールを送っている。


日米中の団塊の世代が生きてきた時代を振り返ることで、それぞれの国のここ60年間の動きがよくわかる。思えばいろいろなことが起こったものだ。グラフや表も多く、参考なる本である。


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Posted by yaori at 00:52│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 経済

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