2010年02月20日

成功の法則92ヶ条 三木谷楽天教の教典

+++今回のあらすじは長いです+++

成功の法則92ヶ条成功の法則92ヶ条
著者:三木谷 浩史
販売元:幻冬舎
発売日:2009-06
おすすめ度:4.5
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楽天グループを率いる三木谷さんの仕事哲学92ヶ条。

アマゾンの表紙写真だと味気ないが、本屋に並んでいる本は三木谷さんの顔写真入りカバーがついて、こんな感じになる。
三木谷本












筆者が読んでから買った2010年最初の本である。

三木谷楽天教というのは、決して悪い意味ではない。楽天は三木谷さんの同志で主要なメンバーはほとんど去っており、三木谷色がいよいよ強い会社となっているので、そう呼んでいるだけだ。

以前の「成功のコンセプト」のあらすじは別ブログで再掲しているので、こちらも参照願いたいが、その最後でもコメントした通り、三木谷さんのワガママぶりは相変わらずだ。楽天の仲間が一人としてこの本に登場することはなく、謝辞もなにもない。こんなところが傍目には傲慢に見える。

同じ努力をしても最後の0.5%が大きな差になって現れるという「三木谷曲線」と呼ぶグラフを紹介している。曲線以外にも他にもいろいろ「三木谷○○」があるのでだろう。

三木谷曲線












出典:本書280ページ


楽天で唯一の「経営者」なのだろう。


出だしが強烈だ。

「夢を見るのは若者の特権だという。

美しい言葉ではあるけれど、僕は間違っていると思う。」


夢を抱くだけでは意味がない。夢を具体的な目標に組み立て直し、達成するためには具体的に何をしなければならないかを考え抜き、自分の能力、才能、体力、忍耐力をすべてをかけて実際にひとつずつ成し遂げる。

何年かかるかは別として、それで実現できない夢はないし、そこまでやってはじめて、夢を見る意味があるのだ。

夢と現実とは違うなどとは、夢を現実に変える努力を怠った人間の苦し紛れの言い訳に過ぎないと三木谷さんは語る。


夢を実現するための技術を書いた本

夢を実現するためには技術が必要だ。だから三木谷さんは自分の夢や目標を実現する方法を楽天グループ5,000人はじめ、日本のビジネスマンに伝えるためにこの本を書いたのだと。

三木谷さんの「成功のコンセプト」のあらすじは詳細にわたって紹介したが、「成功のコンセプト」はいわば総論で、この本はそれで示した三木谷経営の神髄を92の具体的テーマについて語った各論だ。

成功のコンセプト (幻冬舎文庫)成功のコンセプト (幻冬舎文庫)
著者:三木谷 浩史
販売元:幻冬舎
発売日:2009-12
おすすめ度:4.5
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なぜ92ヶ条なのか?

この本にはなんで92ヶ条なのか書いていないが、筆者の推測では、三木谷さんは読者が座右の書として毎日1ヶ条づつ、3ヶ月で1冊すべて、1年に4回繰り返して読むように、この本を92ヶ条にしたのではないかと思う。

つまり92 x 4 ≒ 365 だ。

ハードカバーのゴツい本だが、座右の書とするという意味では松下幸之助の「道をひらく」のようなビニールのソフトカバーが最適だと思う。

道をひらく道をひらく
著者:松下 幸之助
販売元:PHP研究所
発売日:1968-05
おすすめ度:5.0
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体育会系経営

リッツカールトンホテルでは”モーニングラインアップ”と呼んで職場全員が集まって15分ほどその日の順番に当たった人からの発表と、ミーティングを行っているという。

楽天の月曜日の全体朝会は有名だが、各部署でも毎日朝会をやっているという。この本は、その朝会で毎回発表者をきめ、一つのテーマについて発表させたりして、三木谷流経営を社員5,000人となった楽天グループに浸透させるために書かれたのではないかと思う。

ソフトボールの宇津木妙子さんの本のあらすじでも紹介した通り、重要なことは毎日リマインドして覚えることが、ベタではあるが間違いなく最も効果的だ。

だから野球やソフトボールなどのスポーツでは最も重要な走守攻は毎日練習する。そして統率が取れたチームは毎日練習の前にやるべき事と目標をみんなで確認する。

そんな体育会系の反復練習を思い起こさせる。

全部で92の三木谷教の教えの内容を一つ3ページにまとめ、初めにその章のタイトルページをつけて、4ページセットとして、ひとつひとつがあたかも本の一つの章のような体裁となっている。

松下幸之助の「道をひらく」は、全てのテーマが見開き2ページに収まっているので読みやすく、筆者は1テーマ見開き2ページの方が良いのではないかと思うが、本文3ページ+タイトルページというのは、三木谷さんなりの考えがあっての構成なのかもしれない。


この本の目次 なんちゃって中見!検索

アマゾンの中見!検索のように目次を紹介しておく。

成功の法則目次2成功の法則目次1













成功の法則目次4成功の法則目次3













成功の法則5













なにせ92もあるので、いっぺんに全部頭に入れるのは難しいが、毎日1ヶ条づつ、年4回繰り返し読んで少しずつ覚えれば良い。その意味でも、この本は教典である。

この本を読むと三木谷さんが自分の考えをどのように部下に伝えているのか、よく分かる。自分の教えを簡潔な言葉でまとめて、強い印象を与える本だ。

いくつか参考になったものを紹介しておく。

15.人生一生勉強。すべて勉強。
大学時代の恩師の言葉だという。なによりも自分自身への戒めであると。たしかに、この言葉は筆者の戒めでもある。

プロのスポーツ選手で、自分はプロになれたからもう練習しないなどという人はいない。

成長こそが人生の喜びだ。人は何かを学ぶために、この世に生まれてくるのだと。

26.精神的エネルギーレベルを下げるな。
スティーブン・スピルバーグは、自分が撮影に入る前に黒沢明監督の「七人の侍」を見るという。スピルバーグは「七人の侍」を初めて見たとき、これが映画だと思ったそうだ。その感動を思い出しているのだろう。



七人の侍(2枚組)<普及版> [DVD]七人の侍(2枚組)<普及版> [DVD]
出演:三船敏郎;志村喬;稲葉義男;宮口精二;千秋実
販売元:東宝
発売日:2007-11-09
おすすめ度:5.0
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精神的なエネルギーレベルをいつも高く保ち、前向きな気持ちで仕事に取り組むために、三木谷さんは週2〜3回ジムに行くという。。テンションが下がったまま仕事をするのは、敗北への道を進むのと同じだと知るべきだと。

28.他人の立場になって考える。
これは小学校4年生の時におばあさんに言われたことだと。ものすごく大きな衝撃を受けて、それ以来、ずっと心の底に秘めている教訓だという。

他人の立場になって考えるというのは、カーネギーの「人を動かす」の最も重要な教訓である。

サイバーエージェントの藤田さんは「渋谷ではたらく社長の告白」でカーネギーの本について書いているが、三木谷さんも「カーネギー信者」かもしれない。

29.物事の本質を見極めろ。(なぜ人はものを買うのか?)
これの答は、ショッピングはエンターテイメントだからというものだ。

遠回りのようだけど、結局は物事の本質を見極める作業を繰り返すことが、問題の本当の解決法へと辿り着く、最善にして唯一の方法なのだと。

全く同感だ。しかしこれは筆者の意見だが、eコマースシステムサービスを提供する楽天なら、その答えで良いかもしれないが、消費者相手の小売り業ではそれだけでは不十分だろう。

なぜ人はそのものを買うのか?

これを経験を使ったり、科学的に割り出したりして、同じパターンを再現させるために、日夜世界中の商人が研究している訳だ。

その一つの方向性は、このブログでも紹介した世界第3位の小売業英国のスーパーマーケットTESCOのポイントカード(クラブカード)による徹底的な購買履歴分析、属性・類型分析に基づく割引クーポン付きのパーソナライズされたダイレクトメールであり、もう一つは、こちらもブログで紹介したアマゾンの”この本を買った人はこちらも買っています”というリコメンドだ。

「なぜ」がわかれば、無敵の小売業になれる。

楽天が取扱高を公表しているので、なんとなく小売業のように勘違いしていたが、この章の答えで楽天は小売業ではなく、小売業向けサービス提供者であることがはっきりわかった。

31.身近なベストプラクティスを探せ。
三木谷さんが考案したという「2ミニッツ・コール」が紹介されている。インターネットで資料請求したら、楽天の担当者が2分以内に電話を掛けることだ。コンピューターのプログラムが自動的に動いているだけでなく、しっかり人間がサポートしていることを実感してもらえるという。

楽天の他の子会社ではあまり広がらなかったが、アメリカの楽天子会社では広がっているという。たしかに新鮮なサプライズを与え差別化できる良いプラクティスだと思う。

43.リーダーとは指揮官であり、教育者であり、戦略家である。
バッティングのコツを聞かれて、「来たボールを、ひっぱたくだけです」と言った人がいるが、これはまさに天才の言葉で、凡人に理解できる単位にまで分解しなければならない。直感の内容を言語化しなければ他人に伝わらない。

三木谷さんがこの本を書いている最大の理由がそこにあるという。

能力のある個人が集まるだけでは、いい会社はつくれない。個人が辞めたら会社からその能力が失われるからだ。能力を伝える仕組みを構築する必要がある。社員の能力を高める社内教育のシステムがなければ、会社は長続きしない。

リーダーは自分がやると、なぜ上手くいくのかそれを徹底的に分析し、もう一度自分で理解した上で、部下に伝えることのできる教育者でなければならない。

チームを成長させ、目標を達成し、さらに高い目標に挑む。この幸福のスパイラルを作り上げることができるのがが、真のリーダーなのだと。

44.組織を生かし、物事を達成せよ。やる気になれば、10倍のスピードで組織は動く。
個人にはできないことをするために組織はある。組織は道具だ。その道具を使いこなせないでどうすると言いたいと。

組織は複雑な道具なので、組織を動かす工夫や努力を怠ったら、動かなくなるのは当たり前だ。だからいつも組織を動かす工夫と努力を続けよう。

三木谷さんは、どんな組織でも現在の10倍の速度で動かせると思っていると語る。

楽天では2時間の会議を12分にしたという。事前に紙の説明を配っておいて、参加者はそれを読み込んで質疑応答で5分、判断に5分で2分余るという。

45.競争原理を働かせる。
楽天はかなり厳しい競争社会だという。優れた業績には賞を与え、マイナス評価もする。しかしチャレンジして失敗することにはマイナス評価はつかない。

肉体をベストのコンディションに保ち、学習翌・向上心を満たすための環境整備として本社内に学習スペースのある図書館、社員教育のための「学校」、ジムを作った。どんなに忙しくても専門書を調べ、トレーニングできるのだ。

成長の努力を続けた人としなかった人との差は残酷なくらいはっきりしている。

与えられた問題を解くことしか知らない現代の多くの若者には厳しい環境だろが、そういう厳しい環境で自分の成長を実感できることが、人生の喜びだと三木谷さんは鼓舞する。

49.朝会がしっかりしている部署は成功する。
楽天ではそれぞれの部署で毎日朝会をやっている。一日の始まりに、今日の仕事のテーマを具体的に明確にするのだ。これが上手くできている部署は例外なく成功しているという。

人間は怠惰な生き物だ。僕自身がそうだからよくわかるという。隙あらば楽をしようとする。その隙を作らないためにも毎日の始まりに節目を作って、仕事をする意欲をかき立てることが必要なのだ。

一日の仕事の始めに、今日の行動目標をきちんと整理する。そして、その目標を達成するための段取りをする。

そういう毎日の積み重ねが大きな成功につながる。

52.社内での信頼を勝ち取れ
「どうせ僕が話しても、みんな聞いてくれないんです」そういうことを言う人がいる。それは誰のせいでもない、自分のせいなのだ。

周囲の人間が話しを聞かないのは、話を聞かないだけの理由があるはずだ。

仲間に信頼されなければ、いい仕事はできない。

「あいつに任せておけば間違いない。あいつがやって駄目ならもう仕方がない」と思われるような存在になることを目指すべきだと。

53.象徴的な儀式を作れ。
人間は弱くて、忘れやすい。だから、誓いや目標を立てる。しかしその熱い気持ちもそのままではいつか冷めてしまう。

どんなに高い志や、理想を胸に抱いていても、それを繰り返し胸に刻む努力を怠れば、いつかは忘れてしまう。

だから楽天は創業時から続けている月曜日の全社朝会と社員全員による掃除を、儀式として、そして全員の心を一つにするために、いつまでも続けていくのだと。

58.仮説を立て、「仕組み化」する。
仮説を立て、仕組み化する。ビジネスでも何でも成長のすべては、これだけのことで成し遂げられる。

三木谷さんは最近週2回10階分階段を歩いて上がるという。そして万歩計機能付きの携帯電話を使っている。

この仕組み化によって、トレーニングを日常生活の習慣として組み込めば、確実に効果が出る。

きちんとした仕組み化が大切だ。

59.世の中には2つのタイプの人間しかいない。できる方策を探す人と、できない言い訳を考える人。

これは読んで字の如くだ。「成功のコンセプト」でも三木谷さんが繰り返し説いていることである。

英語だと、"Get things done"と、"Best effort basis"となる。

筆者が常々思っていることだが、人生は無為に過ごすには短すぎる。つねにthings doneをめざそう。

自戒の言葉として常に覚えておく必要のある言葉だ。

72.数字からトレンドを読む。
数字に強いことは、経営者の絶対条件だ。数字を正しく読むには、その数字と現実を結びつける能力が必要だ。

数字を読む能力を鍛えるには数字の変化を追いかけるといい。

楽天には日報がある。それぞれのセクションからの日報で、1日の厚さが5センチ以上になるという。数字を見ているだけで、仕事の現場で今何が起きていて、世の中がどいう動いているかまで、ある程度想像することができる。

79.圧倒的なコスト差を創造した企業は必ず勝利する。
コストリダクションは新しいビジネスモデルを作るのに匹敵する創造的な作業だ。

楽天では月15億円、年間180億円のコスト削減を出来る見通しだという。開発コストやコーポレート費用削減のみでなく、文書を縮小してA3一枚にA4を8ページコピーするとかもやっている。

新規参入案件も、実験フェーズでは投入資金をできるだけ少なくする。英語のagile(アジャイル)は俊敏なという意味だが、鈍重な恐竜は亡び、すばしこいねずみのようなほ乳類は生き残った。

体重は軽い方がよい。一つの実験フェーズにかける資金を減らして、実験の回数を多くする。実験が成功すれば、一気にスピードを上げる。

コストリダクションは企業にとって、さなぎから蝶への脱皮だという。圧倒的なコスト差を創造した企業は必ず勝利するのだ。

81.インターネットショップは自動販売機ではない。コミュニケーションこそが、最大のエンターテインメントである。

これも読んで字のごとしだ。楽天市場の最大の特徴は、それがインターネットというツールを使った、対面販売だということだと。

90.過去の成功例を徹底的に分析せよ。
意味もない自己顕示欲や、思い上がりは捨てた方が良い。

結局のところ、最終的に成功するのは謙虚に学べる人だ。それもまた歴史が僕に教えてくれたことだという。

92.Never too late.
ファーストムーバーになれなければ、ベスト・ムーバーを目指せばよい。Never to late. 人生に遅すぎるということはない。

今この瞬間から始めれば、この世に不可能ということはない。僕は心の底からそう思っているという言葉で締めくくっている。


次に紹介する稲盛和夫さんの「働き方」など、他の経営者の書いた本との共通点も多い。稲盛さんは”ベンチャー経営者”で、三木谷さんの大先輩となる。

具体例が多く、大変参考になる本だ。冒頭で記したように、筆者が読んでから買った今年最初の本である。

ハードカバーでは、毎日1ヶ条づつ読むのにはかさばる。座右の書として毎日読むのに適したハンディな文庫版にして欲しいものだ。


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Posted by yaori at 22:41│Comments(1)TrackBack(0) ビジネス | 楽天

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この記事へのコメント
5
どんな内容だろうと考えた本のあらすじがそのまま書いてありました。
大助かり。
Posted by koda at 2013年07月16日 22:15