会社が放り出したい人 1億積んでもほしい人 (PHP文庫)
著者:堀 紘一
販売元:PHP研究所
発売日:2006-07
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元BCG日本社長で、BCGを辞めてドリームインキュベーターを創設し、2年弱で上場した経営コンサルタント堀紘一さんの2004年の本。
どういう人が成功するのかを考える上で役立つ。
堀さんは1億円の年収を目指せと檄を飛ばす。堀さん自身BCGでは年収2億円だったという。
PHPの本なので、アマゾンのなか見、検索に対応している。是非目次をチェックして欲しい。
まずは「取締役になれる人、けっしてなれない人」という切り口で、日本の会社の「社内力学」を説明している。
部長になったとたん「サナギ」に変身する人(一番出世で部長になったあと、役員になるために動かなくなる)、「ヒラメ」になる人、上司の引っ越しの手伝いには奥さんと一緒に出かけるといった処世術を紹介している。
あなたの会社のお偉いさんは、こういう涙ぐましい努力をして出世してきたのだと。
しかし、こういった社内力学ではこれからは通用しない。これから会社が求める人材は「アントレプルニアルな人材」だという。
アントレプルニアルな人材
アントレプルニアルな人材とは次の3つを兼ね備える。
1.仮説が構築出来る人
2.実行力がある人
3.みんなと力をあわせて仕事ができる人
優先順位は1→2→3だ。1.を持つ人は会社にせいぜい一人か二人。2.を持つ人は全体の1−2割。3は8割方の人だ。
逆に会社が放り出したい人
逆に会社が放り出したい人は次のタイプだ。
1.マイナス思考の人
2.デマを飛ばす人
3.やる気のない人
1億円プレーヤーになれる人
これから出世する人、1億円プレーヤーになれる人の基本条件は次の通りだ。
大前提 : 何か一芸に秀でている
1.強烈な目的意識を持っている
2.常に原因自分論で生きている
3.絶対に諦めない
4.表現力が身に付いている
5.信用がある
6.真の仲間がいる
一流の人は本をよく読む
表現力で最も重要なのは、国語力であり、国語力をつける一番たしかな方法は読書だ。洋の東西を問わず、一流といわれる人の共通点は、本を良く読んでいることだ。
今は出版不況だが、多くの人が本を読んでいないので、逆にチャンスだと。
筆者もこの堀さんの意見には賛成だ。電車に乗って、座席に座っている人を見て欲しい。筆者の観察では電車に乗っている一般人のせいぜい2割しか本を読んでいない。
本の内容は小説とか、ノンフィクションとか、歴史物とか、内容はわからないが、ともかく本を読んでいるだけで全体の2割のグループに入れるのだ。
こんなたしかな、他人に差をつける方法はない。
筆者が好きなジム・ローンの言葉に次がある。
*20万ドル以上の高級住宅には必ずライブラリーがついている。それは何を意味するのか?(Any home over 200,000 dollars have library.What does that mean?)
ジム・ローンは本を読んで学ぶことが自己開発の道、成功への道だと力説する。
「図書館に行こう!図書館カードをつくろう!図書館は無料なのだから」と。
それでも図書館カードを持っている人は、米国では人口の3%しかいない。今からすぐにその他大勢の97%から抜け出して、選ばれた3%になろうと。
日本も同じことだ。
若手社員に学んで欲しいこと
堀さんは若手社員には次の3つを学んで欲しいと。
1.人を信じる力
2.考える力
3.人の力を借りられる力
他に参考になったことを記しておく。
★リクルートは人材輩出企業と言われるが、社員には2タイプいる。Aタイプは社員を動かす仕組みをつくり、新規事業を考える作戦参謀。Bタイプは方向が決まったら実行する実戦部隊の営業マン。Bタイプが全体の8割だという。
リクルートの社長の柏木さんは、筆者の大学の保健体育寮の後輩だ。もっとも学生時代にはオーバーラップしていないので、後から自転車部出身の柏木さんが、同じ戸田寮で寮委員をやっていたことを知ったわけだが、柏木さんはまさに新規事業を考える作戦参謀タイプだったようだ。
リクルートの江副さんの本にも、「カッシー」として登場する。
★人材輩出企業としてはこれまでは野村證券、日本IBM,ソニーが有名だった。
しかしソニーは学歴不問で長年採用してきたら、早慶の出身者ばかりになっているという。早慶出身者は適度に努力もし、適度に劣等感も持っている。サークル活動やアルバイトに熱中するタイプが多く、そのなかで社会性や協調性を身につけていく。結果的に試験官受けする。
積み重ねで「成功の復讐」となってしまう可能性があるのだと。
面白く読めて、自分の考えをまとめる上で参考になる本だった。
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