2010年05月12日

柳井正 わがドラッカー流経営論

柳井正 わがドラッカー流経営論柳井正 わがドラッカー流経営論
販売元:日本放送出版協会
発売日:2010-01
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


NHK教育テレビで2009年6月に放送された「仕事学のすすめ わがドラッカー流経営論」をまとめた本。

番組では勝間和代さんが、”トランスレーター”になり、柳井さんにインタビューした。日経BPネットでも内容が公開されている

柳井さんはドラッカーの本は20冊以上読んだという。ユニクロの東京支社の本棚にもドラッカーの著書が置いてある。

柳井さんは元ITT社長のハロルド・ジェニーンさんの「プロフェッショナル・マネージャー」や、マクドナルドのレイ・クロックの「成功はゴミ箱の中に」も「私の教科書」としてエンドースしているが、ドラッカーからも大いに影響を受けたと語る。

経営者が本を読んで影響を受けるということは、どういう事なのかわかって参考になる。


柳井さんが影響を受けたドラッカーの教え

柳井さんはドラッカーの説く最も重要なポイント2点を、自らの経営に生かしている。

1.企業の目的は顧客の創造である

「企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、企業は社会の機関でかり、その目的は社会にある。

企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。(中略)

顧客が企業の土台として企業の存在を支える。顧客だけが雇用を創出する。社会が企業に資源を託しているのは、その顧客に財とサービスを供給させるためである」(現代の経営)

ドラッカー名著集2 現代の経営[上]ドラッカー名著集2 現代の経営[上]
著者:P.F.ドラッカー
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2006-11-10
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


これに対する柳井さんの解釈は次の通りだ。

1.社会に貢献するために企業は存在する
2.付加価値のある商品を提供せよ

柳井さんはユニクロの社員全員にドラッカーの「プロフェッショナルの条件」を配ったこともあるという。

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
著者:P・F. ドラッカー
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2000-07
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


ドラッカーの本は読んだだけではダメで、自分の成長につれ何度も読み返す必要があるという。「ドラッカーはこういっているけど、自分にとってはどうなのか?」と問いかけながら読み、自分の頭で考え、行動するのが大切なのだと。


2.知識労働者とは新種の資本家である

柳井さんが経営の根本に置く、もう一つのドラッカーの教えは次の言葉だ。

「知識労働者とは新種の資本家である。なぜならば、知識こそが知識社会と知識経済における主たる生産手段、すなわち資本だからである。(中略)

組織とは、多分野の知識労働者を糾合し、彼らの専門知識を共通の目標に向けて動員するための人の集合体である。」(ネクスト・ソサエティ)

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまるネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
著者:P・F・ドラッカー
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2002-05-24
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


柳井さんは「サラリーマン意識を捨てろ」と呼びかける。ユニクロでは、他社のようなヒエラルキーは存在せず、店長が組織内で一番偉いのだと。知識労働者が増えれば、経営が変わる。松下幸之助の言う「全員経営」なのだ。

この考え方から、ユニクロではパートタイマー2,000人を地域限定正社員として採用した。人の定着率が上がり、人件費比率も驚いたことに下がったという。結局た一番大切なのは「知識労働者」なのだと。


時間は無限ではない

仕事のやり方でも柳井さんは、ドラッカーの言葉を引用する。

「成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする、計画からもスタートしない。時間が何にとらえているかを明らかにすることからスタートする。」(経営者の条件)

時間は無限ではない。自分の潜在能力を生かすために集中せよと語る。

ドラッカー名著集1 経営者の条件ドラッカー名著集1 経営者の条件
著者:P.F.ドラッカー
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2006-11-10
おすすめ度:5.0
クチコミを見る



ユニクロのユニークなCSR的活動

最後にユニクロのやっているユニークな活動が紹介されている。

★難民キャンプにリユース商品を寄贈
2009年末までに寄贈した商品は200万点を越え、対象国もミャンマー、グルジア、ウガンダなど8カ国に上るという。

★障がい者雇用
ユニクロの障がい者雇用率は8%だ。障がい者をチームに加えることによって、チーム全員の助け合いの精神が高まり、顧客に対する意識も高まり、売り上げアップにつながったという。

この積極姿勢は多くの日本企業が見習うべきだと思う。


★匠プロジェクト
日本の繊維業界で長年働いてきた50代、60代の技術者を社員として雇い、中国などの工場で技術指導を担当させる。g.u.の990円ジーンズは、この匠プロジェクトでカンボジアで生産したものだと。

現地の人を教えるほうが、「日本人に教えるよりも、よっぽど教えがいがある」という。

欧米アパレルメーカーでも技術指導をしているが、欧米は出張型で、ユニクロの場合は「駐在型」である。つきっきりで指導するのだ。


最近のドラッカーブーム

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本が売れているので、ドラッカーブームが再来している。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだらもし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
著者:岩崎 夏海
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2009-12-04
おすすめ度:4.0
クチコミを見る


ドラッカーは決して奇をてらったことを言っているのではない。あくまで経営や社会の原則を説いているのであり、ユニクロの柳井さんのように、その原則を経営に生かすと、成功例となれる。

ユニクロはSPAというビジネスモデルが優れている他に、柳井さんという常に学び続ける経営者がいたことが成功の要因だということがわかる。

ドラッカーの教えを多く紹介しているわけではないが、最も重要な教えを、ユニクロの経営に生かしている。

簡単に読めて参考になる。

筆者もドラッカーの本を買ったが、実は「積ん読」になっている。息子が買った「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」も積ん読だ。

まずは積ん読を解消して、近々あらすじを掲載する。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。









Posted by yaori at 01:43│Comments(1)TrackBack(0) ビジネス | 柳井正

この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
ピータードラッカーの本は読んだことがありますが、本質的な内容でとても参考になることが多いと感じています。こちらの、「ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる」は、まだ読んだことがありませんので、さっそく、読んでみたいと思います。
Posted by ベンジャミンフランクリン大好き人間 at 2013年04月26日 19:46