2010年08月10日

リーダーシップ・チャレンジ リーダーシップの教科書

リーダーシップ・チャレンジリーダーシップ・チャレンジ
著者:ジェームズ・M・クーゼス
販売元:海と月社
発売日:2010-02-19
おすすめ度:3.5
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2010年2月に出たばかりのリーダーシップ論ということで、東洋経済だったろうか、書評で紹介されていたので読んでみた。

筆者のジェームズ・M・クーゼス教授とバリー・Z・ポズナー教授は、いずれもサンタクララ大学リービーMBAスクールの先生だ。本の帯には「世界各国で刊行。180万部突破!最も信頼され、最も読まれているリーダーシップ実践テキストの最高峰、待望の邦訳。トム・ピーターズ激賞」と書いてある。

トム・ピーターズは名著エクセレント・カンパニーの著者として有名だ。彼の推薦文は「本書が20年以上読まれているのには理由がある。膨大なデータ研究に基づいている、極めて実用的である、そしてなにより読む者の魂をゆさぶるからだ」となっている。

エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics)エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics)
著者:トム・ピーターズ
販売元:英治出版
発売日:2003-07-26
おすすめ度:4.5
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監訳は神戸大学の金井壽宏教授で、金井教授は次に紹介する「ハイ・フライヤー」の監訳も務めている。

最初に「リーダーシップ育成に最適の指南書」と題する金井教授の推薦文がある。

「もしも、英語が分かる人で10年以上リーダーシップの研究や研修に携わっていながらこの本を知らない人がいたら、その人は『もぐり』だ。」と金井教授は語る。

この本を知らなかった筆者はまさに「もぐり」にあたるが、かくいう金井教授も2004ー5年頃にこの本(1987年発刊)のオーディオブックで知ったようなので、ここまで言い切るのが不思議に思え、正直、半信半疑で読んでみた。


内容はまさに「教科書」

ともあれ、内容はまさに「教科書」である。大学とかのリーダーシップ論で使うテキストとして最適だと思う。本の構成も活字が大きく、スペースを空けているので、読みやすい。

翻訳を読んで、気に入ったので、オーディブルで原著を購入してダウンロードした。具体例が多く、実戦的なのでオーディオブックでもわかりやすいと思う。また著者自身が交代で吹き込んでいるので、講義の「臨場感」が楽しめる。

Leadership Challenge: The Most Trusted Source on Becoming a Better Leader (J-B Leadership Challenge: Kouzes/Posner)Leadership Challenge: The Most Trusted Source on Becoming a Better Leader (J-B Leadership Challenge: Kouzes/Posner)
著者:James M. Kouzes
販売元:Your Coach Digital
発売日:2007-09-04
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リーダーには信頼が不可欠

メンバーが求めるリーダー像として、75,000人以上からのアンケート結果から、次の4つの特質を挙げている。

1.正直である=honest

2.先見の明がある=forward-looking

3.わくわくさせてくれる=inspiring

4.有能である=competent

この本の初めの部分で「リーダーシップは関係である」と語っており、リーダーシップの第1法則、第2法則を次の通り紹介している。

第1法則:自分が信頼されていなければ、自分が伝えるメッセージも信頼されない。

第2法則:やるといったことは、必ずやり遂げる

すべての基礎は「信頼にあり」、信頼がなければ始まらない、「言行が一致しているリーダーは信頼される」。まさにその通りだと思う。


リーダーの5つの実践指針

この本は模範的リーダーの「5つの実践指針=Practice」として次を挙げている。コミュニケーションに関するものが多いことに気づくと思う。

1.模範となる=model the way

2.共通のビジョンで鼓舞する=inspire a shared vision

3.現状を改革する=challenge the process

4.行動できる環境をつくる=enable others to act

5.心から励ます=encourage the heart


リーダーシップ資質体系表

上記5つの実践指針にそれぞれ2つ、合計10のコミットメントを結びつけ、さらにそれぞれのコミットメント(実践)に2つずつ、合計20のエッセンシャル(具体的行動)を結びつけ、リーダーシップを体系づけている。

それをまとめたものが本書巻末にある一覧表だ。

リーダシップ・チャレンジ











出典:本書425ページ

この表だけ見ても、内容は分からないと思うが、400ページあまりの本書のなかで、これらの5,10,20のポイントを米国企業での具体例を多く挙げて説明しており、わかりやすい。


「コミットメント>具体的行動+実践のためのステップ」という構造

10のコミットメントには「実践のためのステップ」というセクションがついており、具体的な行動を示唆して、まさに実践的な教科書だ。

例として、2つの章から成る第3部の「共通のビジョンで鼓舞する」の目次構成を紹介しておく。

「5.未来を思い描く」がコミットメント、「(5)可能性を探る」が具体的行動、★が具体的行動のアクション例、そして最後に「実践のためのステップ」が付くという構造だ。


5.未来を思い描く(まずはゴールを想像します。何を達成しようとしているのかを明確にしてから、実現の方法を考えるのです。)

(5)可能性を探る
 ★ 過去を振り返る
 ★ 現在に注意を払う
 ★ 未来を予想する
 ★ 自分の中の情熱を感じる

(6)共通の目的を見つける
 ★ 話をじっくりと聞く
 ★ 仕事の意義に注目する
 ★ 大義を与える
 ★ 先見の明を持つ

<実践のためのステップ>
 ★ 自分のしたいことを明確にする
 ★ 常に先を考えて行動する
 ★ メンバーが求めているものをたずねる

6.メンバーの協力を得る
(7)共通の理想に訴える
 ★ メンバーの共感を得る
 ★ ”ちがい”に誇りを持つ
 ★ 夢はひとつに
   ここではマーチン・ルーサー・キングの"I have a dream"演説が紹介されている。 



(8)ビジョンをいきいきと描く
 ★ イメージがわく表現を心がける
 ★ 未来のイメージは具体的に語る
 ★ 前向きな言葉で話す
 ★ 感情を込める
 ★ 本心から話す

<実践のためのステップ>
 ★ 共通のビジョンを書く
 ★ ビジョンに命を吹き込む
 ★ コミュニケーション能力と表現力を磨く
   名演説を集めたDVDを参考にするのも一案だと。

デール・カーネギーやスティーブン・コヴィーが説くポイントも織り込んで構成していることがわかると思う。


万人のためのリーダーシップ

最後の「万人のためのリーダーシップ」で「誰でもすぐれたリーダーになれる」として、心構えをまとめている。

 ★ 組織でもっとも重要なリーダーはあなたである
 ★ リーダーシップは誰でも習得できる
 ★ 実践すれば必ず実を結ぶ
 ★ 自分のリーダーになることから始める
 ★ メンバーを高みにみちびくリーダーであれ
 ★ 常に謙虚であれ

エクゼクティブサーチ会社のエゴンゼンダー・インターナショナルの名誉会長エゴン・ゼンダーのアドバイスを紹介している。

「仲間の言葉に耳を傾けましょう。彼らはあなたよりも多くを知っています。一方下がって、自分を正す謙虚さを持つのです」

一流のリーダーは「ひとりでは何もできない」ことを理解している。それに対して、つかの間の成功に浮かれているリーダーは見栄っ張りでプライドが高い。

 ★ チャンスは「今この瞬間」にある
 ★ リーダーシップと人生の成功の秘訣は同じである

そして最終結論は次の言葉だ。

「リーダーの歩む道は決して平坦ではないが、どんなときも変わらず、最後までリーダーを支えてくれるものは愛だ。愛がなければ情熱は生まれない。もし情熱がなければ、どうして来る日も来る日も身を粉にして働くことができるだろう?

すぐれたリーダーになるための最大の秘訣。それは「愛」だ。リーダーであることを愛し、ともに仕事をしてくれる仲間を愛し、組織が提供している製品やサービスを愛し、それを使うことで組織に敬意を表してくれる顧客を愛し続ける

リーダーシップとは、頭ではなく、心で行われるものなのだ」


筆者もまさに同感である。


カーネギーやコヴィーの本に比べて、平板な印象があるが、ポイントを網羅した「教科書」なのでやむをえないところかもしれない。

監訳者の金井神戸大学教授が言うように、読んだことがなくとも「もぐり」とは思わないが、一度読んでみる価値はあると思う。


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Posted by yaori at 13:05│Comments(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 成功哲学