2010年08月18日

「婚活」現象の社会学 婚活はレッドオーシャン市場

「婚活」現象の社会学 日本の配偶者選択のいま「婚活」現象の社会学 日本の配偶者選択のいま
著者:山田 昌弘
販売元:東洋経済新報社
発売日:2010-06-11
おすすめ度:4.5
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「婚活」という言葉をつくった社会学者山田昌弘中央大学教授の近著。「婚活」という言葉は、山田教授が2008年にジャーナリストの白河桃子さんと共同で書いた「『「婚活』時代」が最初だという。

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書)「婚活」時代 (ディスカヴァー携書)
著者:山田 昌弘
販売元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2008-02-29
おすすめ度:3.5
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それから結婚情報サービス業者の間で広まり、NHKの「コンカツ・リカツ」というテレビドラマのタイトルでも使われた。

コンカツ・リカツ







山田教授は「パラサイト・シングル」、「格差社会」などの社会の風潮を表す言葉もヒットさせている。


オムニバス論文集という構成

この本はなか見、検索!に対応しているので目次をチェックして欲しいが、次のような構成となっており、山田教授と様々な大学の准教授、教授レベルの女性研究者の書いた論文を集めている。

序   「婚活」現象の広がりの中で       山田昌弘

第1章 「婚活」現象の裏側           山田昌弘

第2章 若者の交際と結婚活動の実態       村上あかね

第3章 結婚仲人の語りから見た「婚活」     小澤千穂子・山田昌弘

第4章 自治体による結婚支援事業の実態     大瀧友織

第5章 結婚活動ブームの二つの波        開内文乃

第6章 誤解された「婚活」           白河桃子

第7章 アメリカ社会から見た現代日本の「婚活」 石井クンツ昌子

コラム 中国の婚活事情             赦力(カクリキ)

終章  積み過ぎた結婚             山田昌弘


石井クンツ昌子お茶の水大学教授は国際結婚をしているのでアメリカ人の婚活、中国人留学生の赦力(カクリキ)さんは中国の婚活を取り上げており、広がりがある。


婚活はレッドオーシャン市場

婚活とは、一言でいうと女性が年収600万円以上の男性を配偶者として求める活動で、そのような男性独身者は人口の2−3%しかいない(年収400万円でも3割程度)。だから正社員や400−500万円以上の収入の男性に多くの女性が集中する「レッドオーシャン」市場というのが、今の婚活市場の実態だという。

「レッドオーシャン」とは、このブログでも紹介した「ブルーオーシャン戦略」で、競争相手の少ないニッチ市場のブルーオーシャンに対して、競争相手がうじゃうじゃいて血に染まっているような既存市場のことで、その現実は次の通りだ。

1.(何もせずに)待っていても理想的な結婚相手は現れない

2.妻子を養ってい豊かな生活を送ることができる男性の激減

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
著者:W・チャン・キム
販売元:ランダムハウス講談社
発売日:2005-06-21
おすすめ度:4.0
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山田教授は「女性は収入が高い男性を求め、安定した収入を得る若年男性が減少していることが未婚かの原因である」と1994年に発表し、1997年の結婚の社会学―未婚化・晩婚化はつづくのか (丸善ライブラリー)で世に問うたが、これほど長い間政策やマスコミから無視され続けたものはないと語る。

「仕事を続けたいから結婚しない」という「俗説」の蔓延を食い止めることはできなかったという。

ちなみに相手の男性に求める条件は、以前は3高だったのが、現在は3低に変化しているという。3低とは、低姿勢、低リスク、低依存だという。最近では3手だという。3手とは、手伝う、手を取り合う、手をつなぐだという。


女性の結婚形態

女性の結婚形態は次の3タイプに大別できるという。

生存婚 : 地方の高卒女性に多い、自活できる職業も見つけることが難しく、男性に稼いでもらわないと生きていけないタイプ。

依存婚 : 短大卒の女性に多い、とりあえず就職したが、寿退社を理想とし、専業主婦を望むタイプ。

保存婚 : 大卒女性に多い、男性には家庭の仕事を分担してもらい、自分の専門的な職業を続けたいタイプ

地方の高卒女性にかぎらず、婚活をしている女性の結婚の目的が、この「生存婚」タイプが多いという。恋愛のような自然な出会いの結婚にはこだわりをもたないので、ロマンティク・ラブ・イデオロギーの終焉と呼んでいる。

そして結婚=生まれ変わりと捉えており、「生まれ変わるならばいまよりも幸福に」、「生まれ変わって不幸になるのなら、結婚しない」という考えが多くなっているという。

女性研究者のレポートばかりだからか、男性についての記述は少なく、女性に厳しい現実をつきつけている印象がある。


少子化の主因は結婚の減少

日本では結婚希望を抱いている人は未婚者の9割程度おり、これは20−30年前から変化はなく、夫婦の出生児数も40年前から2.2から2.1で推移している。

しかし2005年の統計では、30ー34歳の男性の半分、女性の4割が独身(離婚者含む)で、男性35−39歳の未婚率は1970年の5%程度から30%に、女性でやはり5%程度から18.4%にまで上がっている。

結婚する人が少なくなったことが、少子化の主因なのだ。


未婚化・少子化の解決策は欧米諸国のような共働き可能な社会

他の先進国(フランス、北欧、米国)などの例を見ると、いずれも「専業主婦時代」→「女性の社会進出および中流男性の没落」→「家計を支えるため共働き家庭」というシフトが起こっており、女性の社会進出を支えるために社会が子育てを負担している。

結婚形態の変化はこの本で次のようにまとめている。

結婚形態変化






日本の場合は、中流男性の没落が起きているのに、女性の社会進出が遅れている。その一つの理由は、「おサイフは妻が持ち、夫はお小遣い制」という日本、韓国、台湾にしか見られない特有のシステムのせいではないかと共著者の白河さんはいう。

結論としては、「年収600万円男性との結婚」から「夫婦合算で600万世帯へ」理想を変えていくことだと。

”稼ぐ女”と”愛される男”が婚活の鍵を握るという。


アメリカの婚活

アメリカ人と結婚している石井クンツ昌子がアメリカの婚活を説明している。アメリカでは、積極的な人は、何歳になっても新聞で相手求むと広告を出す人がいる。

欧米では会社のパーティなどもカップル出席が基本なところが多いので、パーティに誘って正式につきあい始めることもある。

筆者もアルゼンチンの研修生時代は独身だったので、会社のクリスマスパーティなどには相手に困った。結局甲斐性がなく、一人で出席したが、スペイン語の先生とか、下宿の隣の家の娘さんとか、誘おうかと迷ったものだ。

アメリカは様々な相手とつきあうことが多く、恋愛期間は平均して約10年だという。


中国の婚活

中国では恋愛相手と結婚相手とは別と考える若者が多いという。中国の3高は、高学歴、高い給料、高い職位だという。(日本は高身長だが、中国は容姿は重視しないという)。

結婚する際に親が援助するので、親の意見も重要だ。月収2500元(4万円程度)なのに、マンション購入で約60万元(850万円)、結婚相手の女性の家族に渡す礼金が3万元から5万元(50万円から85万円)、結婚式や披露宴などで3万元(50万円)かかる。合計で約68万元(約1,000万円)かかるので、親から援助して貰うからだ。

中国では「剰男剰女」と称しているそうだが、学歴の高い女性と、経済力のない男性の未婚率が高くなっている。中国では結婚は「経済」第一と考えられており、そのように公言されているという。


婚活の現状がよくわかって参考になった。婚活中の人には、わかりきったことかもしれないが、婚活では「ブルーオーシャン戦略」はないと思うので、自分を磨き、いろいろな機会を自らつくり、地道な婚活を続けて伴侶を見つけ、新たな人生に踏み出して欲しいものだ。


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Posted by yaori at 12:46│Comments(0)TrackBack(1)趣味・生活に役立つ情報 | ノンフィクション

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