2010年08月26日

瞳の奥の秘密 アカデミー賞外国語映画賞受賞のサスペンス映画

2010年8月26日追記:

昨日アルゼンチン時代の研修生仲間と会ったら、なんとこの映画を日比谷シャンテで見ようと思って行ったら、満席で見られなかったと言っていた。

午後3時過ぎの上映で、250席くらいある劇場のはずだが、その後の上映も満席だったという。

上映が始まって、人気が出てきているとは聞いていたが、これほどまで人気が出ているとは知らなかった。

水曜日でレディスデイということもあると思うが、それにしても人気があることは間違いないと思う。

大人が楽しめる良くできた映画なので、事前に予約して見ることをおすすめする。


2010年8月25日初掲:


昨年のアカデミー賞 外国語映画賞はアルゼンチン映画の「瞳の奥の秘密」が受賞した。ちなみに前年の2008年の外国語映画賞は日本の「おくりびと」が受賞した。

次が予告編だ。



8月14日に映画が封切られてすぐに見に行った。

25年前に起こった殺人事件を取り扱ったサスペンス映画なので、「良い映画」というよりは、「良くできた映画」だ。

ひさしぶりにアルゼンチンのスペイン語を聞いて、なつかしかった。

スペイン語ができる人でも、アルゼンチンのスペイン語はtu(youの親密型)の代わりにvosを使い、活用も異なるのでちょっと面食らうことだろう。ちょっとした優越感に浸ってしまった。


設定は1974年、イザペル・ペロン大統領の時代ということで、筆者が駐在していた当時のことを思い出させる。

イザベル・ペロン大統領はホワン・ペロン大統領の3番めの奥さんで、ミュージカルにもなったエバ(エビータ)・ペロンがペロン大統領の2番目の奥さんだ。

当時は左翼テロが横行し、テロ鎮圧のために軍部が力を持ち始めた時代で、後に2万人ともいわれる蒸発者が発生したのもこの時代だ。

筆者駐在中に、経済大臣がテロリストに襲われるという事件があった。筆者の会社のオフィスがあったビルも、ロケット砲弾を打ち込まれたが、幸い不発だったという話を聞いたことがある。

少しでも政府を批判する発言をしたりしていると、警察に秘密裏に引っ張られ、そのまま帰ってこないというケースも頻発した。

裁判も経ないで、拷問死させたり、飛行機からラプラタ川に突き落としたりして、殺人を行ったという当時の経験を告白する人も出てきている。


例によって映画の詳しいあらすじは紹介しないが、アルゼンチンの刑事裁判所に務める職員が、25年前に起こった殺人事件を題材に小説を書くという設定だ。

25年前の話と、現在の話、そしていろいろな登場人物の話を錯綜させて、黒沢映画の「羅生門」を思わせるシーンもある。

若い男優が50代くらいの年配者に扮するメーキャップや、アルゼンチン一部リーグのラシン(英語でRACINGと書いてラシンと呼ぶ)のサッカー場で犯人を捕まえるシーンのカメラワークもすばらしい。

さすがアカデミー賞外国語映画賞を獲得した作品だ。



上映している映画館が限られているが、もよりの映画館を探して、是非一度見て欲しい映画である。


参考になれば投票ボタンをクリックして頂きたい。





Posted by yaori at 00:57│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 映画

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