2010年10月14日

イワン・イリイチの死 クロイツェル・ソナタ トルストイの中編名作

イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)
著者:トルストイ
販売元:光文社
発売日:2006-10-12
おすすめ度:5.0
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ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」やトルストイなどの名作を新訳で出してヒットを飛ばしている光文社古典新訳文庫の一冊。
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
著者:ドストエフスキー
販売元:光文社
発売日:2006-09-07
おすすめ度:4.5
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トルストイというと「アンナ・カレーニナ」や「戦争と平和」という超大作がすぐに思い浮かぶ。
アンナ・カレーニナ〈1〉 (光文社古典新訳文庫)アンナ・カレーニナ〈1〉 (光文社古典新訳文庫)
著者:レフ・ニコラエヴィチ トルストイ
販売元:光文社
発売日:2008-07-10
おすすめ度:4.0
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戦争と平和〈1〉 (岩波文庫)戦争と平和〈1〉 (岩波文庫)
著者:トルストイ
販売元:岩波書店
発売日:2006-01
おすすめ度:4.5
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トルストイとドストエフスキーの作品は超大作が多く、読むが大変だ。その点、この本は2作で330ページ程度で手軽に読める。どちらの作品も人間の心理を鋭く追及する作品で、コンパクトながらも読後感は重厚なものがある。

例によって小説のあらすじは詳しく紹介しないが、「イワン・イリイチの死」は、帝政ロシアの上流階級の法律家のイワン・イリイチが、ちょっとしたケガから内臓病になり、死をみつめて妻との結婚や過去を振り返り自問自答するというストーリーだ。

最後の部分にはこんな文句がある。

「恐怖はまったくなかった。死がなかったからだ。

死の代わりにひとつの光があった。」

(中略)

もはや死はない。」

そしてイワン・イリイチは死ぬ。

たぶん自分が死の病に冒されたらこの本をもう一度読むと思う。


クロイツェル・ソナタは、ベートーベンのクロイツェル・ソナタが作品中に演奏される場面がでてくるので、それにちなんだ作品だ。



たまたま汽車で乗り合わせたロシアの上流階級の男が、妻との結婚生活が破綻し、妻を殺したことを告白する。

その男は、自ら妻に紹介したイケメンヴァイオリニストがアラフォーの女ざかりの美貌の妻といい仲になると、出張を早く切り上げ帰宅し、妻とヴァイオリニストとの逢瀬の場面に踏み込み、嫉妬に狂って美貌の妻を刺殺してしまうというストーリーだ。

この作品の中では、思うようにいかない結婚生活に悩み苦しむ主人公の葛藤が克明に描かれており、世界3大悪妻といわれたトルストイの妻ソフィアとの結婚生活を思い起こさせる。

どちらの作品にもアヘンが医者の処方により治療用に、あるいは上流階級の人間が気分を紛らわせるために使われている話が出てくる。当時はそういう時代だったのだ。

ちなみにトルストイとその妻ソフィアの晩年を描いた映画「終着駅 トルストイ最後の旅」が9月から公開されている。



自分自身振り返って、いろいろな意味で考えさせられてしまう作品だった。


手軽に読めるトルストイの作品。そして訳もいい。ちょっと時間ができたときに読む本としておすすめする。



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Posted by yaori at 23:57│Comments(0)TrackBack(0) 小説 

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