2010年12月06日

アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書 アメリカ史入門に最適

アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書
著者:村田 薫
ジャパンブック(2005-01)
販売元:Amazon.co.jp
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会社で簡単なアメリカ史の本について聞かれたので、この本を推薦した。

この本はバージニア大学のハーシュ教授が小学生用に編纂した文学、歴史、地理、美術、音楽、数学・自然科学の6冊の教科書の中から、アメリカ史の部分を抜き出して一冊にしたものだ。

アメリカには教科書検定はなく、評判の良い教科書を現場の教師が使うというやり方で、ハーシュ教授の教科書は最も人気のあるものの一つだという。

この本は平易な英語の原文と日本語訳を対訳しているので、アメリカの小学生が学ぶ英語はどんなものかわかって面白い。

筆者は左側の英語で読んだが、わかりやすい表現で読みやすい。

難しいところは、右側の日本語訳を参照すれば良いので、英語の勉強もかねて、左側の英語版に挑戦して欲しい。


アメリカの旧跡

筆者は合計9年間アメリカピッツバーグに駐在したので、ワシントン、ボルチモア、ゲティスバーグには車でよく行った。

ピッツバーグからは車で4-5時間の距離だ。

家族で時々ニューヨークまで足を伸ばしたが、車でニューヨークまで行くと7-8時間かかる。

リンカーンの演説で有名な南北戦争の激戦地ゲティスバーグは、地域一帯がナショナル・セメタリー(国家管理墓地)となっており、そこら中に各州の記念碑や当時の大砲などが展示されている。

この本では、ピケッツ・チャージ(Pickett's Charge=ピケットの突撃)で有名なゲティスバーグでの戦闘についても紹介している。

各所に置かれた「星条旗の由来」とか、「自由の女神」、「チャップリン」、「ウッドストック世代」などのコラムも面白い。

小学生向けの教科書でもあり、フランクリン、ワシントン、ジェファーソン、ハミルトン、マディソンなどの建国の英雄は、それぞれ簡単に紹介されている。


過去の反省も盛り込まれている

アメリカは移民が集まって出来た自由と平等の国だが、南部の黒人は1960年代までは二級市民扱いされていた。日系人は第2次世界大戦中、収容所に隔離されていた事実も記述されている。

アメリカは海外では人権のために戦っていたが、本国では多くの罪のない人々の人権を剥奪したとはっきり語っている。

このブログで紹介したアメリカが第1次世界大戦に参入するきっかけとなった、ツィンメルマン電報事件も紹介されている。

決定的瞬間―暗号が世界を変えた (ちくま学芸文庫)決定的瞬間―暗号が世界を変えた (ちくま学芸文庫)
著者:バーバラ・W. タックマン
筑摩書房(2008-07-09)
販売元:Amazon.co.jp
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重要なイベントは写真入りで紹介

この本では重要なところでは写真を入れているので、どこが小学生に覚えさせたいかという編集方針がわかる。

たとえば第2次世界大戦の紹介で、写真が出てくるのは、つぎのところだ。

・ノルマンディー上陸
・真珠湾攻撃(詳しく説明されている)
・ホロコースト
・ガダルカナル島の浜辺(日本軍兵士の遺体が重なっている)
・日本人収容所
・Dデイ(ドイツ軍の機関銃陣地)
・Dデイ(アメリカ軍の上陸)
・ヤルタ会談
・フランクリン・ルーズベルト(エレノア・ルーズベルトの写真もコラムで紹介)
・硫黄島戦勝記念碑
・広島の原爆投下(被災後の原爆ドーム)
・長崎の原爆投下

ちなみに20世紀になって多くの人が戦争で死ぬようになった最大の原因は、機関銃という大量殺人兵器が登場したからであると述べている。

最近は日本の若者は日本とアメリカが戦争したことを知らない人もいるようだが、アメリカは小学生から真珠湾攻撃やホロコースト、原爆について学ぶのだ。

原爆の記述では、ドイツが負け、世界で日本だけが連合国と戦っていたが、それでも日本本国には2百万人の軍隊を温存し、日本国民も死ぬまで戦うよう訓練されていたので、アメリカの人的被害を防ぐために原子爆弾の投下をトルーマンは命じたと書いている。

そして日本政府は日本全体の破滅を避けるために、降伏したのだと。

第2次世界大戦後については、冷戦、マッカーシズム、朝鮮戦争、アメリカの黄金時代の50-60年代、ベトナム戦争、キング牧師の黒人解放運動、キューバ危機、ケネディ暗殺、宇宙開発、ウォーターゲート事件などが簡潔に紹介されている。

最後は1976年7月の独立200年祭でこの本は終わっている。


アメリカの短い歴史

それにしてもアメリカの歴史は短い。

この本は氷河時代に、当時は陸つなぎだったアジアからアメリカ・インディアンが動物の獲物を渡ってきた後、1万2千年前に氷が溶け、アジアとアメリカが分離したという歴史から書き始めている。

しかし、そのすぐ数ページ後は、もうコロンブスになる。

ピルグリムファーザースなどの初期の開拓者の話が数ページ続き、その後はもう1773年のボストン・ティーパーティだ。

ちょうどアメリカ中間選挙で、共和党の保守派を支持するティーパーティが勢力を拡大しているが、それの元祖である。


アメリカ人が自分の国の歴史についてどのように教わっているのかを知ることは、アメリカとビジネスをしている人には基礎知識として不可欠だと思う。

中学や高校で学んだ歴史のおさらいができ、英語の教材にもなる。2005年発行の本なので、本屋には置いていないかもしれないが、図書館には確実に置いていると思う。

一度もよりの図書館の蔵書検索で「アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書」でチェックして欲しい。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。




Posted by yaori at 01:01│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 歴史

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