2010年12月19日

一生モノの勉強法 京大人気教授の知的ノウハウ

2010年12月19日追記:

書店に行ったら「週刊東洋経済」で鎌田教授が書いていた「一生モノの古典」が、単行本になって出版されているのに気がついた。

座右の古典 ―賢者の言葉に人生が変わる座右の古典 ―賢者の言葉に人生が変わる
著者:鎌田 浩毅
東洋経済新報社(2010-11-12)
販売元:Amazon.co.jp
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アマゾンのカスタマーレビューで全部の題名を紹介しているものがあったので、それを引用させてもらうと、次のようになる。

1章
『論語』孔子,『幸福論』ヒルティ,『時間と自由』ベルクソン,『荘子』荘周,
『自助論』スマイルズ,『生きがいについて』神谷美恵子
2章
『ソクラテスの弁明』プラトン,『ホモ・ルーデンス』ホイジンガ,『人間性の心理学』マズロー,
『ミケランジェロの生涯』ロマン・ロラン,『神曲』ダンテ,『大衆の反逆』オルテガ,
3章
『風姿花伝』世阿弥,『知的生活』ハマトン,『春宵十話』岡潔,『職業としての学問』マックス・ウェーバー,
『学問のすすめ』福沢諭吉,『民主主義と教育』デューイ,『学問芸術論』ルソー
4章
『方法序説』デカルト,『野生の思考』レヴィ=ストロース,『サイバネティックス』ウィーナー,
『陰翳礼賛』谷崎潤一郎,『プラグマティズム』ウィリアム・ジェイムズ,『からだの知恵』キャノン,『風邪の効用』野口晴哉
5章
『ゲーテとの対話』エッカーマン,『人生の意味の心理学』アドラー,『フランクリン自伝』フランクリン,
『「いき」の構造』九鬼周造,『幸福論』バートランド・ラッセル,『メディア論』マクルーハン
6章
『新科学対話』ガリレイ,『コモン・センス』トーマス・ペイン,『コロンブス航海誌』コロンブス,
『古代への情熱』シュリーマン,『自省録』マルクス・アウレリウス,『バガヴァット・ギーター』ヒンドゥー教聖典,『人生論』トルストイ
第7章
『第二次大戦回顧録 抄』チャーチル,『孫子』孫武,『藁のハンドル』ヘンリー・フォード,
『ローマ帝国衰亡史』ギボン,『君主論』マキアヴェリ,『ジュリアス・シーザー』シェイクスピア,『韓非子』韓非
8章
『啓蒙とは何か』カント,『イタリア・ルネッサンスの文化』プルクハルト,
『森の生活』ソロー,『読書について』ショウペンハウエル

読んだ本が数点あるが、それ以外は読んでない本ばかりで、改めて鎌田教授の教養の広さに感心する。

筆者は「本は読んでから買う」のを通例としているが、この本はひさしぶりの「読む前に買った本」だ。鎌田教授の本を参考にして、紹介されている本も読んでみようと思う。

世の中には自分の読んでいない本ばかりだということを、思いしらされる本である。


2010年12月16日初掲:

一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ
著者:鎌田 浩毅
東洋経済新報社(2009-04-03)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

真っ赤な革ジャンと真っ赤なズボンなどといったドハデな服装で登場する京大の火山学の鎌田浩毅教授の勉強法。

はじめに鎌田教授のドハデ戦略について説明している。専門の火山の話を聞いて貰うにあたり、まず鎌田浩毅という人間に注目して貰うためにファッションに気を配っているという。

鎌田教授は「週刊東洋経済」で以前は「一生モノの古典」、現在は「ビジネスパーソンのための地球科学入門」という2ページもののコーナーを書いている。「一生モノの古典」のまとめかたには感服した。

たとえばシュリーマンの「古代への情熱」を紹介した2010年7月10日号では、音読、作文、毎日1時間というシュリーマンの語学勉強法を紹介するとともに、ビジネスパーソンに役立つ教訓3ヶ条として次を挙げている。

1.大きな目標を立て、完遂するまで忘れない
2.勉強は目的を明確にして始めるべきだ
3.発掘継続のためにおこなった情報開示と広告戦略を学べ

先見の明のある考古学者として、また自意識過剰な俗人として毀誉褒貶(きよほうへん)の多いシュリーマンだが、学問的な高い評価はゆらぐことがないと語る。人に限らず書物も、良い点を見て学べばよいと結んでいる。

非常にコンパクトに要点をまとめた書評で、筆者にも大変参考になった。

この本はアマゾンのなか見!検索に対応しているので、ぜひ目次を見てほしい。

昼休みの活用法や通勤電車を英語塾として活用する方法など、実際的なアドバイスが並んでいることがわかると思う。


この本の構成

この本は次のような構成となっている。

第1章 面白くてためになる「戦略的」な勉強法とは

第2章 勉強の時間を作り出すテクニック

第3章 効率的に勉強するための情報整理術

第4章 すべての基本「読む力」をつける方法

第5章 理系的私見突破の技術

第6章 人から上手に教わると学びが加速する


それぞれの章が10前後の節から構成されているので、全部で55の節があり、それぞれが実践的なアドバイスだ。


勉強法のポイント

この本で鎌田教授の伝えたい肝心の点は次の2つに絞れると思う。

1.勉強するときは集中し、ONとOFFをはっきりさせる。集中するためには弛緩(しかん)する時間も不可欠だ。

2.勉強は場当たり的にするものではない。目標とそれに到達する工程をあらかじめ決め、締め切り時間を決めて「戦略的」に取り組む。


磨くべきスキル

勉強は単に知識を増やすだけではない、音楽や古典などの教養の両方が必要である。スキルとしては次の3つの能力を磨く必要がある。

1.コンテンツ能力 必要な知識を身につける

2.ノウハウ能力 仕事のやり方についての具体的なテクニック

3.ロジカルシンキング能力 データを論理的に組み立てて説得力ある結論を導く能力


もっとも困難なのは「努力すること」そのもの

鎌田教授は勉強でも仕事でも、最も困難なのは「努力すること」そのものだと語る。これには筆者も100%同感だ。

「努力すること」がきちんとできるようになれば、たいていのことは成就する。だから「努力が継続するシステム」の構築が重要だ。

たとえばイチローは「先に満足している」からヒットを打てるのだと。「一試合終わって良いヒットが打てたらそれで満足する」という。

小さな満足を得ることで、努力がおっくうではなくなり、もっと大きな努力を呼ぶ。もっと大きな満足をもたらすという好循環がでてきているのだ。

以前紹介した松井秀喜の「不動心」に「努力できることが才能だ」という言葉が紹介されていた。筆者はこの言葉は、まさに金言と思っている。

たとえば昼休みの食事の後の30分を毎日勉強に充てれば、積み重ねれば相当な時間になる。ビジネスランチでも良い。昼休みの活用の努力が、他人との差別化につながるのだ。


理系的試験突破の技術

なにせ入学試験の出題者であり採点者でもある大学教授だけに「理系的試験突破の技術」という章は大変参考になる。

「試験勉強は相手の意図を探ることから始める」というのは、まさに出題者ならではアドバイスだ。

大学入試のいわゆる「赤本」で、多くの高校生は最初の「傾向と対策」の部分を省いて過去問を解こうとする(そう言われてみれば筆者もそうだった)。しかし、実はこの解説のページに試験突破の重要な手掛かりが書かれているのだ。

この部分は予備校の教科主任のような立場の人が、過去20年間の過去問を研究して解説を書いているので、試験官が要求するポイントをとらえており、問題の傾向をつかんでいる。

大人の勉強に完璧主義は不要であり、「ドライに行こう」と。満点でもすれすれでも資格としては同じであり、効率主義で良いのだ。

テキストは最初から最後まで覚えず、ヤマを張る。模擬試験を利用してヤマの的中率を上げる。テキストで重要な点はどこか、重要なポイントを外さない判断力をいかに養うかが勝負なのだと。

情報は3段階で記憶する(1.熟読、2.音読、3.書いて覚える)とか、試験問題は第1問から解いてはいけない(解ける問題から解く。難問に取り組むより、見直しで5点、10点稼ぐ)とか、入試だけでなく、どんな試験の受験生にも役立つ実践的なアドバイスが満載だ。


鎌田教授もカーネギー信者

「第4章 すべての基本『読む力』をつける方法」の章では、次の写真が使われている。

一生モノの勉強法













出典:本書111ページ

なんと中心にカーネギーの「道は開ける」を置いている。

道は開ける 新装版道は開ける 新装版
著者:デール カーネギー
創元社(1999-10)
販売元:Amazon.co.jp
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この本のなかでもカーネギーの「人を動かす」の「人に好かれる6原則」をそのまま紹介している。

1.誠実な関心を寄せる
2.笑顔を忘れない
3.名前を覚える
4.聞き手にまわる
5.関心のありかを見抜く
6.心からほめる

人を動かす 新装版人を動かす 新装版
著者:デール カーネギー
創元社(1999-10-31)
販売元:Amazon.co.jp
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鎌田教授もカーネギー信者だったんだ。

天才マーケッターの西川りゅうじんさんも、カーネギーの本は擦り切れるほど読んだと言っていた。「自己啓発はヘンなのも多いけど、やはりカーネギーに始まり、カーネギーに終わる」。その通りだと思う。


大変参考になった本だが、詳しく紹介していると長くなりすぎるので、その他参考になった点をいくつか紹介しておく。

★「締め切り効果」で時間の流れを制御する
たとえばインターネット検索なら、あらかじめ15分と締め切りを決めて実行する。トリンプの吉越前社長の「デッドライン仕事術」のように効率をアップさせるのだ。締め切りを決めないと、漫然と1時間以上も検索に費やすというようなことになりがちだ。

デッドライン仕事術 (祥伝社新書)デッドライン仕事術 (祥伝社新書)
著者:吉越 浩一郎
祥伝社(2007-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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★大学の講義法も「3分間スピーチ」から学んだ
鎌田教授は「冠婚葬祭のスピーチは3分でまとめろ」という解説書を参考にして、講義も3分ごとの話を積み上げるようにした。これによって聞く方の興味が持続するのだと。

筆者もセミナーなどで講演することがある。さっそくこの「3分間スピーチ」術を実行してみる。

★入門書は最低3冊買う(そのうち一冊は新書)

★不得意な分野は児童書を見よ
鎌田教授は「ジュニア新書」はもっとも高度な表現が求められると語る。文系の人には、理系の「プリマー新書(ちくま書房)」や「ジュニア新書(岩波)」が良いという。

実は筆者も図書館で借りて児童書の世界偉人自伝全集で、チャーチルの自伝を読んでいる。

チャーチル (昭和41年) (世界偉人自伝全集〈1〉)
著者:チャーチル
小峰書店(1966)
販売元:Amazon.co.jp
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チャーチルの伝記は新書でも出ているので、こちらも図書館で借りた。

チャーチル―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 増補版  (中公新書)チャーチル―イギリス現代史を転換させた一人の政治家 増補版  (中公新書)
著者:河合 秀和
中央公論社(1998-01-25)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


まだ読み始めていないが、児童書の方が写真や図も多くて新書より情報量が多い。鎌田教授が児童書をすすめる理由が納得できる。

★鎌田教授の推薦するテレビ教養番組
次が鎌田教授の推薦するテレビ番組だ。
・「世界一受けたい授業」日テレ 鎌田教授も火山の話で登場したという
・「プロフェッショナル 仕事の流儀」NHK
・「爆笑問題のニッポンの教養」NHK
・「課外授業~ようこそ先輩」NHK
・「美の壺」NHK教育

その他、本の書き込み法(これは筆者は絶対にやらない)、書店を利用するメリット、文房具について、クリアファイルについてなど、知的生産の道具の説明も参考になる。

鎌田教授は、一瞬「2ちゃんねるか?」と思わせるような構成のホームページをつくっているが、ブログとかインターネット利用法は一切出てこないところが、最近の本にしては珍しい気がする。

読者の役に立つようにという熱い思いと気遣いが感じられる。面白く読めて、かつ著者の親切心が伝わってくる良著だ。


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Posted by yaori at 01:27│Comments(2)TrackBack(0) 読書 | カーネギー

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この記事へのコメント
日本人に関する '有ること' と '無いこと'。

感性があって、理性がない。
感想を述べるが、理想を語らない。

現実の内容はあるが、考え (非現実) の内容はない。
事実は受け入れるが、真理は受け入れない。

実学 (技術) は盛んであるが、哲学は難しい。
実社会の修復はあるが、理想社会の建設はない。

現実の世界は信頼するが、非現実の世界は信じない。
現実の内容を再現すれば、それは模倣である。
考え (非現実) の内容を実現 (現実化) すれば、それは創造である。
模倣力はあるが、創造力がない。

「今ある姿」を語るが、「あるべき姿」は語らない。
私語・小言は好むが、公言・宣言は好まない。
歌詠みは多いが、哲学者は少ない。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

Posted by noga at 2010年12月18日 16:05
人の生きる 幸せについて 考える
どういう条件から どんな立場から どんな時代から
どういう状態が 本当の幸せなのだろうか。人生研究会(名前検討中
Posted by 謎の三文字☆村石太 愛知県からです at 2010年12月22日 11:56