2011年05月25日

日韓がタブーにする半島の歴史 新羅(しらぎ)の基礎は倭人がつくった?

日韓がタブーにする半島の歴史 (新潮新書)日韓がタブーにする半島の歴史 (新潮新書)
著者:室谷 克実
新潮社(2010-04)
販売元:Amazon.co.jp
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エキセントリックなタイトルなので読んでみた。元時事通信ソウル特派員の室谷克美さんの本だ。

室谷さんは、「韓国人の経済学」や「朝鮮半島」などの著作がある。

最初に韓国の金泳三大統領が1994年に来日した時の、天皇のお言葉を紹介している。

「貴国は我が国に最も近い隣国であり、人々の交流は、史書に明らかにされる以前のはるかな昔から行われておりました。そして、貴国の人々から様々な文物が我が国に伝えられ、私共の祖先は貴国の人々から多くのことを学びました」

室谷さんは、天皇のお言葉に代表される、半島経由で中国文化を学んだという「常識」にあえて異議を唱えるという。

「半島に初めて統一国家を築いた新羅の国づくりを指導したのは、倭人であり、新羅も百済も倭国のことを文化大国として尊敬していた」という。

その出典は韓国最古の正規歴史の「三国史記」(1145年完成。全50巻)に次のような記述があるからだという。

「列島から流れてきた脱解(タレ)という名の賢人が長い間、新羅の国を実質的に取り仕切り、彼が四代目の王位につくと、倭人を大輔(テーポ、総理大臣)に任命。その後脱解の子孫からは7人が新羅の王位につき、一方で倭国と戦いながら、新羅の基礎をつくった」

7世紀の中国の「隋書」にも新羅、百済が倭国を大国とみていたという記述があるという。

この本はアマゾンのなか見!検索に対応しているので、ここをクリックして目次を見てほしい。章題だけ紹介しておく。

序章  陛下の「お言葉」ではありますが

第1章 新羅の基礎は倭種が造った

第2章 倭国と新羅は地続きだった

第3章 国民に知らせたくない歴史がある

第4章 卑怯者を祀る(まつる)OINK(Only in Korea)

第5章 「類似神話」論が秘める大虚構

第6章 「倭王の出自は半島」と思っている方々へ

終章  皇国史観排除で歪められたもの

もともとは2倍くらいの分量があったものを、新潮社のアドバイスでコンパクトにしたものがこの本だという。

室谷さんは時事通信のソウル特派員から帰国した直後に初めての本、「『韓国人』の経済学」という本を書き、当時急成長を続けていた韓国経済の弱点を指摘したという。

1.韓国人は儒教に染まりきっているので「額に汗して働くこと」を蔑視しているから、まともな工業製品はできない。

2.その国の経済は統計数値をごまかしているので表面はピカピカだが、実は「外華内貧」だ。

新版 「韓国人」の経済学―これが「外華内貧」経済の内幕だ
著者:室谷 克実
販売元:ダイヤモンド社
(1989-01)
販売元:Amazon.co.jp
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「倭王(あるいは天皇)は半島から来た」と漠然と思っている人は特にインテリに多い。その根拠は江上波夫の「騎馬民族国家論」だろうと室谷さんは語る。

騎馬民族国家―日本古代史へのアプローチ (中公新書)騎馬民族国家―日本古代史へのアプローチ (中公新書)
著者:江上 波夫
販売元:中央公論社
(1991-11)
販売元:Amazon.co.jp
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2009年12月に韓国を訪問した当時の小沢一郎民主党幹事長は国民大学での講演で、江上説を敷衍して「天皇家の出自は朝鮮半島南部、いまの韓国」として、観衆を沸かせた。この時の映像がYouTubeにアップされている。



中国の正史も韓国の正史も倭王の出自について何も書いていない。それは書いていないのではなく、当然のことながら純粋倭人だからだと室谷さんは語る。

そもそも倭人は九州北部を中心とする列島だけではなく、半島南部にもいた。だから半島南部で発掘された遺骨と、九州北部の弥生人の骨格などがきわめて似ているという。


筆者の意見
これはあらすじブログなので、筆者の意見はあまり出さないようにしているが、この本については違和感を覚えるので、次に筆者の意見を書く。

上記で紹介した小沢一郎の発言をキャプチャー付きでYouTubeにアップした人も室谷さんも、日本人の大半(そして天皇家も)が半島が出自だというのは受け入れがたい説なのかもしれない。

そういう人にはこのブログでも紹介したIBMのジェノグラフィック・プロジェクトを紹介しておく。



YouTubeの映像は英語版のみだが、IBMのサイトの映像は小さい画面だが日本語キャプチャー付なので日本語字幕付きはIBMのサイトの映像を見てほしい。

要は筆者の言いたいのは、ジェノグラフィックプロジェクトで6万年まえにさかのぼれば「世界人類みな兄弟」が、標語ではなく事実だということがわかってきているのに、たかだか2千年前の日本人、そして天皇家の祖先が朝鮮半島から来たとか、いや元々日本列島だとか議論することが意味があるのかという点だ。

みんな元々6万年以上前にアフリカから各地に移り住み、その地に定着して環境に適応した。日本人も韓国人も、黒人も白人も出自はアフリカで同じである。

特に東日本大震災以来、世界各国が日本をいろいろな形で支援してくれているのに、祖先が半島から来た・来ないという2千年以上前のことに、いつまでこだわるつもりなのだろう。

その意味で、この本には強い違和感を持った。
  
筆者は駐在した国や都市(米国とアルゼンチン)には、良い点も悪い点もあるが、強い愛着を感じている。しかし中には駐在した国を徹底的に嫌いになる人もいる。この本の著者の室谷さんも嫌韓派のようだ。

しかしある国のことや歴史を紹介するなら、プラスの事実もマイナスの事実も両方紹介したうえで、極力客観的に評価を下すべきではないのかと思う。

室谷さんの本は、見方がワンサイドな点が残念である。

せっかくいろいろ資料を読み込んでいるので、室谷さんの説に反するたとえば江上教授の騎馬民族起源説などの資料も比較して紹介すればより良かったのではないかと思う。


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Posted by yaori at 12:56│Comments(1)TrackBack(0) 韓国 | 歴史

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この記事へのコメント
>要は筆者の言いたいのは、ジェノグラフィックプロジェクトで6万年まえにさかのぼれば「世界人類みな兄弟」が、標語ではなく事実だということがわかってきているのに、たかだか2千年前の日本人、そして天皇家の祖先が朝鮮半島から来たとか、いや元々日本列島だとか議論することが意味があるのかという点だ。

みんな元々6万年以上前にアフリカから各地に移り住み、その地に定着して環境に適応した。日本人も韓国人も、黒人も白人も出自はアフリカで同じである。

特に東日本大震災以来、世界各国が日本をいろいろな形で支援してくれているのに、祖先が半島から来た・来ないという2千年以上前のことに、いつまでこだわるつもりなのだろう。<

ところが、韓国の教科書では日本の文化は、古代においては野蛮人が暮らしていた日本列島に文明国の韓国が文化を全て教えてあげたという風に説明されているのです。偏狭なナショナリズムを戒めるのであれば、韓国に向かって言うべきではないでしょうか?
江上氏の騎馬民族征服王朝説は、現在学会では否定されており、支持する研究者はほとんどいません。しかし、小沢一郎に代表されるようにこの説を信じて韓国に阿る日本人は多いのです。仮に天皇家の先祖が朝鮮半島から渡ってきたとしても、そんなことを気にする日本人は多くはないでしょう。
ですが、高麗の正史に新羅の第4代王は倭から渡ってきた倭人であると書かれているのに、その事実を韓国のみならず日本の歴史学者までもが必死に隠蔽しようとするのは何故なのか?
室谷氏が最終章で述べているように、様々な政治的思惑が絡んでいるからに違いありません。
確かに、室谷氏の著書の記述には露骨な嫌韓感情がムキ出しになっている箇所があり、私もそれには違和感を感じました。
しかし、政治的な事情によって隠蔽されてきた史実を明らかにしたという点で、この本を高く評価しています。
Posted by わんこそば at 2011年08月08日 19:55