
著者:中島 孝志
潮出版社(2010-11)
販売元:Amazon.co.jp
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図書館の新着コーナーで見つけた本。
中島孝志さんの本を読むのは初めてだが、すでに200冊も著書、訳書を出しているという。
中島さんは年間3,000冊本を読み、有料書評ブログを開設している。このブログの特長は中島さん自身が書評を吹き込んで、音声でも販売していることだ。
月1,050円ということで、月25冊、年間300冊の書評をこの有料ブログに乗せている。
中島さんのブログで公開されている部分を見ると、その本の内容ではなく、中島さんがその本を読んで啓発されたこと、思いついたことを書いてある。
まさにこれが書評とあらすじの差だ。別に本を読んでいないから悪いというわけではない。あらすじは本を読まないと書けないが、書評は本を読まないで書いても良いのだ。
読書会は「掛け算読書」
この本のタイトル通り、単に本を読むだけでなく、読書会に参加したり、ブログ・ツィッターなどで書評や読書会の内容を公開することによって、同じ本を読んだ人同士の「ジャムセッション」のような、互いに刺激し合う効果を力説している。
一人の読書は「足し算」だが、読書会は「掛け算」であり、それぞれの参加者が持つ余計な情報・価値ある情報を出し合うことで読書の効果を乗数的に高めるのだ。
たしかに他人の書評、本についてのコメントを聞くことは、自分が見落としていた点を補完する意味でも有益だと思う。
アメリカでも読書会は盛んで、「ジェイン・オースティンの読書会」という映画にもなったベストセラーがある。
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出演:エミリー・ブラント
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(2009-11-04)
販売元:Amazon.co.jp
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ジェイン・オースティンは18−19世紀に活躍した英国の女流作家だ。

著者:ジェイン・オースティン
河出書房新社(2006-02-04)
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6冊の長編小説を出版しており、いずれもが何度も映画化されている。
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出演:ドナルド・サザーランド
UPJ/ジェネオン エンタテインメント(2009-07-08)
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読書会のルール
たとえば次のような単純なもので良いので、中島さんは読書会で必ず守るべきルールを事前に決めておくことを勧める。
1.課題図書は必ず読んでくる
2.無断欠席はしない
3.お互いに価値ある情報交換をすること。聴くだけ参加はご遠慮ください。
講師が一人で話すのは論外で、参加者は本の内容を知りたいのではなく、本に書かれていない関連情報を知りたいのだと。
中島さんはいくつも読書会を主催しているだけあって、事前に読書レポートを準備するとか、iPadを読書会で活用するとかの読書会の効果を上げるノウハウをこの本で紹介している。
日経電子版の活用法
「日経電子版を賢く利用しよう」ということで、記事をクリップして、分類できる機能も紹介している。
1.ワンクリックで最大100本まで記事を保存できる。
2.仕事や趣味などで最大10件まで分類ラベルを付けられ、情報整理できる。
3.バックナンバーが一週間分読める
4.登録情報や閲覧履歴をベースに読者の関心ある記事を勝手にピックアップし、「ランキング形式」で見せてくれる。
5.関心のあるキーワードを登録すると48時間以内にそのキーワードを含む記事を自動収集して記事の見出しをメールで知らせてくれる。
6.パソコンだけでなく携帯電話でも読める。
100件の登録件数を3月は500件にアップしたり、検索件数を25件から100件にアップしたという日経メルマガは受け取っていたが、この本を読んで検索とか登録の活用法がわかった。
筆者は日経電子版を購読しているが、実はあまり活用していなかった。日経電子版の使い方を紹介した日経電子版広報部というサイトがあるので、日経電子版の活用を研究してみる。
人生を変えたければ朝型生活
中島さんは朝早く起きて仕事の効率を上げることを、いくつもの著書で書いているが、この本でも朝読書を勧めている。

著者:中島 孝志
イーストプレス(2010-03)
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中島さんと同様に、朝5時半起きの効用を説いている本もある。

著者:遠藤拓郎
フォレスト出版(2010-04-06)
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実は筆者の職場でも東北関東大震災後、フレックスタイムを活用して、多くが8時始業に変えている。筆者も7時半すぎには会社に行っているので、平日は毎朝5時半に起きている。
今まで1時から2時前後に就寝という夜型の生活をしていたので最初はキツかったが、身体が慣れてくると朝型生活に変えることは大変メリットある。
「朝の1時間は夜の2〜3時間に匹敵する」と言われているそうだが、たしかに朝8時前から昼休みの12時まで、4時間以上あれば相当仕事がはかどる。
5時半起きでも、最寄りの駅に着くのは6時半頃なので、朝の通勤電車はそんなに空いていないが、帰りは4時半過ぎには会社を出られるので、ラッシュアワーの始まる前に電車に乗れることもメリットの一つだ。
中島さんはこの本で、「一日3分割法」を勧めている。午前4時から12時までの8時間は「過去の仕事」をこなす時間、12時から午後8時は「未来への仕事=投資」、そして午後8時からは自由時間だ。
1980年に旧ユーゴスラビアに出張したときに聞いた話を思い出す。ユーゴスラビアでも故チトーの方針で、まさに1日3分割法で、多くの会社や工場は6時から操業していた。6−14時が仕事の時間、14-22時が遊び・趣味の時間、22−6時が休息の時間というわけだ。
感動の涙を流すための読書
最後に、なんのために読書するかの理由を列挙して、「感動の涙を流したいため」というのも挙げている。
黒柳さんの亡くなった弟のことを書いた黒柳徹子さんの「小さいころに置いてきたもの」を紹介している。
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著者:黒柳 徹子
新潮社(2009-09-19)
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実は中島さんも小さいときに敗血症で亡くなった弟がいたそうだが、ほとんど記憶がないという。「あまりにも悲しいことや辛いことがあると、忘れることができるのかもしれない」と。
さすが年間3,000冊を読むだけあって、この本のあちこちで紹介されている本も大変参考になった。
中島さんは同じような内容の本を異なる出版社から数多く出版しているので、この本はあまり期待しないで読んだが、単なるノウハウ本ではなく、得るところの多い本だった。中島さんの他の本も読んでみようという気になった。
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