2011年06月27日

三度目の奇跡 日本復活への道 日経新聞の特集記事

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日本経済新聞出版社(2011-05-17)
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2011年元旦からスタートした日経新聞の連載シリーズ。

途中で東日本大震災と福島原発事故が起こり、当初の「平均年齢45歳の国の未来図」を描く特集が、大震災・原発事故からの復興を目指す記事に変わった。

参考になる情報が多く載せられている。印象に残ったものをいくつか紹介しておく。

★枝野官房長官は「復興庁創設」に意欲を示しているが、官僚は冷めているという。「ハコ作りに力を割いている場合じゃない。」「民主党政権は『形』にばかりこだわる」。これらは経済官庁幹部の発言だという。

各官庁の事務次官・局長レベルは民主党の動きの遅さにさじを投げているという話も聞いたことがある。

「いくら情報を官邸に集約しても、その後の指示が降りてこない」と官僚は語る。

この本には書いていないが、筆者の言葉では「ヘッドレス・チキン」。これが菅政権を形容する言葉だ。

★宮城県石巻市の「イトーヨーカドー石巻あけぼの店」は地震の影響で、建物が一部損壊した。しかし営業をやめたのは3時間だけだった。店頭で飲料水、カップ麺、乾電池など数十品目を販売したのだ。

「まさか開いているとは思わなかった」東北にあるイトーヨーカドー全10店舗は一日も営業をやめていないという。

★バングラデッシュからも日本への援助が寄せられている。日本は1972年にバングラデシュがパキスタンから独立して、先進国で最初に承認した。そのことを覚えている人々も多いという。

★バングラデッシュでは日本のベンチャー企業が活躍している。例えば納豆のねばねば成分を固めた水浄化剤「ポリグル」を売る日本ポリグルだ。

2007年のサイクロンの時に、現地にサンプルを送ったら好評で、ヤクルトレディに倣いポリグルレディを通じて売っているという。

★中国政府系のシンクタンクは、「人民元高を容認する『中国版プラザ合意』はありえない」としている。こんなジョークがあるという。「日本のことを研究するな。社会主義になってしまう」。

★陸軍の秋丸次朗中佐の「戦争経済研究班」は、陸軍きっての実力者で、当時の軍務局軍事課長の岩畔豪雄(いわくろひでお)に命じられ、1939年から日米開戦を前提に世界大戦の予測をした。

メンバーの有沢広巳(英米班)、中山伊知郎(日本班)、武村忠雄(独伊班)の報告は、「日本の生産力はもうこれ以上増加する可能性はない」、「ドイツはこれ以上の余力なし」。最終結論は「日本の経済力を1とすると英米は合わせて20。日本は、2年間は蓄えを取り崩して戦えるが、それ以降は経済力が下降線をたとり、英米は上昇し始める。彼らとの戦力格差は大きく、持久戦には耐えがたい」だった。

開戦直前の1941年半ばに陸軍首脳らに対する報告会が開催された。列席した杉山元参謀総長は「報告書はほぼ完璧で、非難すべき点はない」しかし、「その結論は国策に反する。報告書の謄写本はすべて燃やせ」。

「見たくないものは見ない」という態度が太平洋戦争の惨劇を招いた。1988年の有沢広巳死後に、遺品から秋丸報告書の一部が発見されたという。

いまこそ戦時の失敗に学べと日経新聞はいう。

★JA(農協)に頼らない人たちが増えている。コメリの出す「アグリカード」は、支払いは年1回、収穫月だけでよいという。カード保有者は4万人、コメリの売上高は3千億円で、JAの2兆円には及ばないが、存在感は小さくない。

★人材を輸出する韓国。
李明博大統領は「2013年までに5万人の海外就職、3万人の海外インターンシップ、2万人の海外ボランティアを育てる」グローバルリーダー10万人育成計画を打ち出した。

韓国人の若者が日本にも求職に来る。「韓国の就職は本当に厳しく、会社に入っても週末に自分の時間が全然取れない。日本企業は給料も労働環境もいいので、日本でずっと頑張っていきたい」という。

韓国では最低賃金が安いので、日本の若者のように「フリーター生活」で暮らしていくこともままならないのだという。

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、国民所得がピークだった1994年と2008年を比べると、平均的な日本国民はどんどん貧しくなっている。

                   1994年      2008年
一世帯当たりの年間平均所得  664万円      548万円
300万円以下の世帯比率     23.5%      33.3%
800万円以上の世帯比率     29.1%      21.3%

実際のグラフは次の通りだ:

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出典:国民生活基礎調査(平成21年版)

平均所得金額以下の世帯比率が増え、所得がより低い層が増加していることを示している。

2-2b





出典:国民生活基礎調査(平成21年版)

次は、以前紹介した大前研一さんが、近著「日本復興計画」で示していた図だ。

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出典:「日本復興計画」109ページ

先進国のなかで日本だけが国民所得が減少していることがわかる。

もっとも、これらのグラフだけから結論付けるのは事実認識を誤る危険がある。日本の場合、1994年の1世帯当たりの人員は2.95人だったが、2008年では2.62人になっている。

世帯数と平均世帯人員




出典::国民生活基礎調査(平成21年版)

同じ時期で、高齢者世帯が4百万世帯から9.6百万世帯に、単身者世帯は8百万世帯から12百万世帯に増えている。

筆者は平均世帯所得が減少している傾向として正しいとは思うが、為替相場とかインフレ率や世帯構成の違いなどを考慮にいれないと、Apple-to-appleの比較や正確な評価はできない。

主に年金で生活する高齢者世帯と単身者世帯が増えることにより、平均では日本人は貧しくなっているようにみえることも留意しておく必要があるだろう。

ちなみにこの点は筆者の会社の読書家の友人から指摘があったので付記したものだ。



その他にも参考になる事例が多い。簡単に読めるので、是非一読をおすすめする。


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Posted by yaori at 14:28│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | 経済

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