2011年11月02日

総理、増税よりも競り下げを! 衆議院議員 村井宗明さんの提言

総理、増税よりも競り下げを!総理、増税よりも競り下げを!
著者:村井宗明
ダイヤモンド社(2011-08-26)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

当選3回、富山一区選出の衆議院議員村井宗明さんの競り下げ(リバース・オークション)導入のすすめ。書店で目に付いたので、読んでみた。書店に並んでいる本にはこんな帯がついている。

scanner244











リバース・オークションについては、筆者は思い入れがある。

実は2度めの米国駐在の時にインターネット上のリバース・オークションサービスを提供しているピッツバーグの会社に投資して関係をつくり、共同で事業展開をするために日本に戻して貰ったのだ。

その会社から貰った日本語取材ビデオが次のものだ。



取材の条件としてビデオ公開の権利を貰ったということだった。

次が9分とちょっと長いが英語版のサービス紹介のビデオだ。



帰国後2年ほど電子部品や化学品原料などの様々な原材料でトライアルを重ね、リバース・オークションの事業採算を検討していた。

平均するとコストセーブは10%を超えたが、結論としてはリバース・オークション自体は国や地方公共団体中心に普及していくだろうが、商社として採算性が見込めないということでやむなく撤退した。

あれから10年経って、オークション自体は地方公共団体が税金の差し押さえで没収した美術品や様々な商品を中心に広く普及したが、調達コストを下げるリバース・オークションの普及は今ひとつのようだ。

この本では郵便事業会社でのリバース・オークション導入で、2010年上半期には141億円の予算のところ、13億円コストが下がったこと、なかには60%以上も予算より削減できた案件があったことを紹介している。

scanner245





出典:本書28−29ページ


少額随契で160万円未満は担当者の自由

国や独立行政法人には「少額随意契約」と呼ばれる制度があり、160万円未満の購入や250万未満の工事は担当者の自由に決められる。

2008年度に国が結んだすべての契約156万件のうち、89%の138万件は少額随意契約で、その実態は未公表で闇の中だという。

scanner246










出典:本書88ページ

160万円を超える案件でも、160万円以下に分割してしまえば、網の目をくぐることができる。実際に恣意的に分割して会計検査院が摘発した例が紹介されている。まさに氷山の一角である。

この本では文房具やコピー用紙を例にとり、官公庁がかなり高く物品を購入していることを報告している。たとえばコピー用紙の例ではグリーン購入法を満たすコピー用紙の民間価格はA4で0.54円なのに対して、官公庁の平均は0.677円で、民間よりも24%高く買っている。

各官庁がバラバラで購入するのでなく、まとまって共同購入という形を取ることでも、少額随意契約からはずれ、調達コストは下がる。

海外に於ける財政再建への取り組みとしては、英国の保守党・自由民主党連合政権の打ち出した2015年に財政収支を黒字化、そのために2011年度は医療費と海外援助を除いた政府全体の支出を19%削減するという予算編成を紹介している。

英国では公共機関の調達をサポートするBuying Solutionsという会社を通じてリバース・オークションを導入してきており、いままで平均14%コストを削減し、コスト削減額の合計は32億ポンド(4,000億円)に上る。

手法としては共同購入のためのWebカタログと、リバース・オークション、共同調達だ。Webカタログではサプライヤーの価格や条件が比較できる。またサプライヤー側にも、中小企業でも政府調達に参加できるというメリットもある。

インターネット・リバース・オークションは2010年は128の公共機関で実施し、コスト改善率は31%だったという。このオークションの仕組みはZanzibarと呼ばれている。

リバース・オークションが有効になる条件として次を挙げている。これがまさにキーポイントである。

1.供給市場に競争環境があること
2.調達の仕様が明確であること

この辺は米国駐在時代を含め1999年からリバース・オークションを研究してきた筆者がノウハウを持っているところだ。


日本での適用

民主党国土交通質問研究会では、日本でリバース・オークションサービスを提供しているディーコープの谷口 健太郎社長を招いて講演してもらったという。

会社のコストを利益に変える リバースオークション戦略会社のコストを利益に変える リバースオークション戦略
著者:谷口 健太郎
東洋経済新報社(2010-04-23)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

ディーコープでのリバース・オークションの国内導入例は次の通りだ。

scanner247











出典:本書145ページ

東大の小宮山前総長がインバーター蛍光灯の一括購入で半値近くなったと言っていたことがあるから、東大の導入例は蛍光灯かもしれない。

ディーコープはソフトバンクグループの会社で、筆者が日本でリバース・オークションのトライアルをやっていた2000〜2002年当時に名前は聞いたことがある。

筆者たちがあきらめた、リバース・オークション・サービスを続け、今や170人くらいの社員を雇用しているのは大したものだと思う。

ちなみに日本で過去、最もリバース・オークションを活用していたのはダイキンだと思う。しかしそのダイキンも、長年リバース・オークションを利用してコスト削減の効果が十分出たと思うので、最近はリバース・オークションをやっているのかどうかわからない。

すかいらーくなどは2001年当時は食材の調達にリバース・オークションを毎週何度も開催していたが、現在は多分やめているのだと思う。


リバース・オークションで2兆円国の歳出を削減

リバース・オークションを国の一般会計に導入すると、2兆円程度のコスト削減が期待できるという。

リバース・オークションが成功するためには、仕様の明確化とより多くの企業の参入が不可欠である。それを実現するためには、次がポイントになる。

・具体的
・オーバースペック禁止
・継続的な費用
・品質
・インターネット
・流動性
・匿名性
・見積期間
・手続きの簡素化

リバース・オークションサービス提供者への報酬は、固定費型と成果報酬型があり、村井さんは成功報酬型が効果が高いと考えていると語っている。

まさに筆者たちが陥った「採算性が見込めないので、事業撤退」というストーリーが繰り返されるようなシナリオが見えてくる。

この10年間日本のe調達は全く進歩していないと感じる。リバース・オークションは強力な武器だが、使い方が難しく、上記のような要件が揃わないと効果を発揮しない。

筆者はかつてリバース・オークションを日本に普及させるために帰国した経緯もあり、リバース・オークションが国や公機関の調達で浮上して欲しいという気持ちは強い。抵抗は強いだろうが、村井議員に期待するところ大である。


特記事項 IMFが進駐してくるとどうなるか?

日本政府が財政破綻して、IMFの管理下にはいると、どうなるか予測したネバダ・レポートというものがあり、国会で財務副大臣の五十嵐文彦衆議院議員が報告しているという。その内容は次の通りだ:

1.公務員の総数、給料は30%カット、ボーナスは例外なくすべてカット
2.公務員の退職金は一切認めない 100%カット
3.年金は一律30%カット
4.国債の利払いは5年〜10年停止
5.消費税の20%引き上げ。課税最低限を引き上げ、年収100万円から徴税を行う
6.資産税を導入し、不動産に対しては公示価格の5%を課税。債権、社債については5〜15%の課税
7.第1段階として、預金の一律ペイオフを実施
8.第2段階として、預金の30%から40%を財産税として没収

どの程度現実化するかは不明だが、IMF管理下にはいると、国民生活に大きな影響がでることは間違いない。参考になる情報である。


参考になれば投票ボタンをクリックして頂きたい。








Posted by yaori at 01:04│Comments(0)TrackBack(0) 政治・外交 | 経済

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/yaori/51744919