2011年12月21日

日本の未来について話そう マッキンゼー編集の日本再生への提言

日本の未来について話そう日本の未来について話そう
小学館(2011-07-01)
販売元:Amazon.co.jp
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3.11後の日本の再生についてマッキンゼーが世界各国、各界の経営者、知識人、著名人などにインタビューし、あるいは寄稿を頼んでまとめた日本再生への提言集。

この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているが、すべての目次は表示されないので、「なんちゃってなか見!検索」で目次を紹介しておく。

はじめに 明るい未来を創るために ドミニク・バートン(マッキンゼー代表パートナー社長)

第1章 日本の再生へ向けて

3.11が予感させる「国家の地殻変動」 船橋洋一(朝日新聞社 前主筆)

がれきのなかに見えた日本の課題と未来 ヘンリー・トリックス(「エコノミスト」日本支局長

「ガマン」の力 トム・リード(「ワシントンポスト」前東京支局長

実行の時がきた ピーター・タスカ(評論家、アーカス・インベストメント創業パートナー)

日本よ、いますぐ目を覚ませ 長谷川閑史(武田薬品 代表取締役社長)

第2章 再び変化の時代へ

コスモポリタン国家への転換 イアン・ブルマ(作家)

変革へのギアチェンジ カルロス・ゴーン(ニッサンCEO/ルノーCEO)

モノづくりの時代を超えて 孫正義(ソフトバンク社長)

若者よ、日本を出でよ 柳井正(ファーストリテーリング社長)

「変化への抵抗」という錯覚 ジョン・ダワー(MIT名誉教授)

ジャパン・アズ・ナンバーワンはどこへ エズラ・ヴォーゲル(ハーバード大学名誉教授)

「失われた20年」からの脱却 デビッド・ザンガー

第3章 再建のための現状把握

過去から未来へのメッセージ スティーブン・ローチ(モルガン・スタンレー・アジ
ア会長)

7人のサムライを呼べ アダム・ボーゼン(ピーターソン国債経済研究所 シニア・フェロー)

数字で見る日本の競争力 クラウス・シュワブ

日本が世界の未来に向けて貢献すべきものとは 岩崎夏海(作家)

光(エネルギー)を絶やさないために ブルッキングス研究所

第4章 国際化への鍵

「日本企業のグローバル化」への具体的施策 マッキンゼー

グローバル企業への変身 前田新造(資生堂会長)

鎖国を解く グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン会長)

保守化する若者 山田昌弘(中央大学教授)

野茂効果 ロバート・ホワイティング(作家)

ベンチから見た日本野球 ボビー・バレンタイン(野球監督)

サッカーで見る日本 岡田武史(前サッカー日本代表監督)

第5章 日本外交政策の選択

日本に突きつけられた選択肢 ビル・エモット(「エコノミスト」前編集長)

米国の戦略的資産としての日本 マイケル・グリーン(ジョージタウン大学準教授 CSIS日本部長)

中国と向き合う 田中均(日本国際文化交流センター シニア・フェロー)

外交力のない国、ニッポン ポール・ブルースタイン(ブルッキングス研究所)

第6章グローバルな視座

パーフェクトブレンドを求めて ハワード・シュルツ(スターバックス会長)

米国中西部から極東へ ボブ・マクドナルド(P&G CEO)

社長 島耕作からのアドバイス 弘兼憲史(漫画家)

着眼大局、着手小局 坂根正弘(コマツ会長)

アジアのパイオニア ピーター・レッシャー(シーメンスAG CEO)

第7章 技術と思考のイノベーション

ガラパゴスからの脱出 関口和一(日本経済新聞論説委員)

Tシャツか着物か セナパティ・ゴバラクリシュナン(インフォシスCEO)

日本のハイテク企業を再起動させる4つのモデル マッキンゼー

シリコンバレーのDNA 南場智子(DeNA前CEO)

日本ゲーム産業のネクストミッション 稲船敬二(コンセプト社長)

独自性から強さを築く ジョン・チェンバース(CISCO CEO)、エザード・
オーバービーク(CISCOジャパン社長)

クリーン・テクノロジーの先鋒の地位を守れるか マッキンゼー

第8章 人材の「発見」と活用

リーダーの必須条件 柴田拓実(野村ホールディングス COO)

若者に席を譲ろう 岡田元也(イオン社長)

ワーク・ライフバランスと女性の活躍 小室淑恵(ワーク・ライフバランス社長)

家族を第一に 佐々木かをり(イーウーマン社長)

企業家と女性が拓く日本の未来 スティーブ・ヴァンアンデル(アムウェイ・コーポレーション会長)

教育改革の第一歩は、民間校長の登用 藤原和博(前和田中学校長、著述業)

第9章 文化の継承と発展

秋田犬の系譜 マーサ・シェリル(小説家)

目利きの文化 ベルナール・アルノー(LVMH CEO)

「ポスト・ラグジュアリー」の時代 タイラー・ブリュレ(「フィナンシャルタイムズ」コラムニスト)

日本美食革命 グゥエン・ロビンソン(「フィナンシャルタイムズ」記者)

外から見た日本ブランド論 クリストファー・グレイヴス(オグルビーCEO)

立体緑園都市構想 森稔(森ビル社長)

日本建築に宿る温故知新の心 鈴木エドワード(建築家)

たとえ多くが変わっても ピコ・アイヤー(作家)

おわりに 日本のロードマップーこれから20年の道筋 エアン・ショー(マッキンゼー日本支社長)


さすがマッキンゼーという感じで、様々な立場の人が、いろいろな見地から寄稿しているが、フォーカスが定まらない印象がある。この手のオムニバス論文集ではやむをえないところかもしれない。

あえて言えば、財政再建、移民問題、教育問題(向上心)が日本再生のカギとなるというのが、多くの論者の語るところだ。

この中でもっとも注目したのは、かつてベストセラーとなった「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を書いたハーバード大学名誉教授のエズラ・ヴォーゲルさんの「ジャパン・アズ・ナンバーワンはどこへ」だ。
 
Japan As Number One: Lessons for AmericaJapan As Number One: Lessons for America
著者:Ezra F. Vogel
iUniverse(1999-06)
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ジャパン・アズ・ナンバーワンジャパン・アズ・ナンバーワン
著者:エズラ・F. ヴォーゲル
阪急コミュニケーションズ(2004-12)
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筆者も会社に入ってすぐにジャパン・アズ・ナンバーワンを英語で読んだ。元々は1979年発刊なので、たぶん1980年頃だと思う。表紙は今は赤だが、出版された当時は同じデザインで青だった。

米国の傲慢な思い込みに対する警鐘として書いた本だが、多くの人がタイトルに飛びつき、マスコミが取り上げて、日本が世界一の経済国になるなどありえないと批判した。

ヴォーゲルさんは、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」でも日本が世界一の経済大国になるとは、ひとことも言っておらず、「日本という国はいろいろなことをたいていの国より上手にこなしている」と言ったまでだと語る。

そのヴォーゲルさんは、今の日本の将来を大変心配していると語る。

日本の根本問題は高齢化などではなく、日本には政治家が長期的視点に立って考えることができる制度が必要なのに、それが欠けていることが最大の問題だという。

毎年莫大な歳出赤字を垂れ流すシステムでは到底続けていけない。

日本にはかつて、たとえば経済産業省のような有能な人材から成るエリート集団が存在しており、かれらが1970年代を通じて一貫した将来計画を打ち出していた。ところが1990年代に各政党が崩壊すると、一貫性がなくなった。

かつては中曽根康弘首相(在任は1982〜1987年)のような強力なリーダーがいたが、いま強力なリーダーになりえる人材は河野太郎氏や林芳正氏くらいしかいないという。

中国に関しては、日本は中国に「戦後日本がどのように平和主義に転じたか、1980年代に日本がどれだけ中国を援助したかを、どのように国民に伝えていますか?」と問うべきだという。

高齢化については、ヴォーゲルさんは80歳だが、いまでも多少の仕事はしていると語る。肉体労働中心の昔ならともかく、頭脳労働の場合には60歳定年よりも5〜10歳ほど延長しても良いのではないかと。

日本は深刻な高齢化問題に直面しているとは考えていないとヴォーゲルさんは語る。


作家のロバート・ホワイティングさんの「野茂効果」や、十年前は海外比率は10%だったのが、今は40%以上となっているという資生堂の前田さんや、「コーヒージェリーフラペチーノ」や「抹茶ラテ」は日本発だと語るスターバックスのシュルツCEOの話、コマツの坂根会長の話も参考になった。

65人が寄稿する400ページあまりの本だが、興味ある論者のものをピックアップして読んでも良いと思う。


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Posted by yaori at 12:58│Comments(0) ビジネス | 経済