君に成功を贈る
著者:中村 天風
日本経営合理化協会出版局(2001-12)
販売元:Amazon.co.jp
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このブログで「成功の実現」という1万円もする本を紹介した中村天風の講演を集めた本。こちらは1,800円という手頃な値段がついているが、内容は充実している。
成功の実現
著者:中村 天風
日本経営合理化協会出版局(1988-09)
販売元:Amazon.co.jp
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この本の最後に中村天風について、次の様に紹介されている。
出典:本書272ページ
この本で中村天風は、まず「有意義な幸福な人生に生きるには、なにをおいても一番先に必要なことは何か」と聴衆に質問する。
答は「他人に好かれる人間にならなければいけない」だと。
どんなときにも「真心(まごころ)の親切」で接しなければならない。キーワードは、フランスの哲学者ベルグソンの言葉・「イフ・アイ・ワー・ヒム"If I were him"」だという。カーネギーの「相手の立場になって考える」と同じ事だが、「イフ・アイ・ワー・ヒム"If I were him"」の方が覚えやすいかもしれない。
最初の「幸福な人生に生きる」という章の項目とのタイトルは次の通りだ。上記のような説法が続く。
・他人に好かれる人になりなさい
・出世成功する人は、誰からも好かれる人である
・あまり好き嫌いのないようにしてごらん
・嫌いな相手には、つとめて親切にしてごらん
・自分のことをするときと同じ気持で、他人のことをしてあげてごらん
・何をする場合でも、現在恵まれていることに感謝しなさい
・つつましやかに感謝の念をもって生きるようになったら、どれだけ人生のスケールが大きくなるかわからない
・自分自身を自分自身が磨かない限り、自分というものは本当にえらくならない
この本の目次は、日本経営合理化協会出版局のホームページで紹介されているので、参照して欲しい。
ひと言で言うと、スティーブン・コヴィーが言う"PMA=Positive Mental Attitude"のすすめだ。ひょっとすると中村さんの方が元祖かもしれない。
いくつか印象に残った話を紹介しておく。
中村さんは軍事探偵として送り出された時に、当時の上官の川村中将に、「おめでとう。男、生まれて男一代。男らしく生きて男らしく死ぬ。うらやましいな。次は靖国神社で会おう」と言われたという。
死ぬことを恐ろしいと思わないから、ロシア兵に捕まって銃殺されそうになっても強い気持ちで生き抜けたという。
「こうなりたい」という状態を心の中に情熱の炎でもって、ありありと描く。そうすると「観念のダブルページ」というものがおこり、力が増すのだという。稲盛さんもこのブログで紹介した「生き方」で「思い続けると、成功への道筋が見えてくる。それもカラーで夢が見える」と語っている。元は中村さんの「観念のダブルページ」のようだ。
生き方―人間として一番大切なこと
著者:稲盛 和夫
サンマーク出版(2004-07)
販売元:Amazon.co.jp
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ひょっとして、稲盛さんのうどんをゆでる釜の話も、出所は中村天風かもしれない。地獄も極楽も長い箸でうどんを食べることは同じ。天国では長い箸を使って、向こうの人にたべさせてあげる。向こうの人も自分に食べさせてくれる。ところが、地獄では長い箸を使って、自分で食べようとするので、いさかいが絶えないという話だ。
クンバハカ法
心の乱れが起こると、神経系統はうまく働かなくなる。だから「感情なり感覚なりの衝動や刺激を受けた時には、第一番に腹に力を入れ、そのときにアットワンスに肛門の穴をしめて肩を落とす」のだと。
これで波の荒い日に船に乗っていても大丈夫だという。
これがクンバハカ法だ。
ひとつだけ残したいもの
面白い挿話が紹介されている。
ある町に悪魔が現れて「今日からお前たちのものをすべて俺が奪い取ることにする。しかし、悪魔にも情けはある。たったひとつだけ、残したいものだけは見逃してやる。明日までに残しておいて欲しいものを一つだけ書き出せ。それ以外のものは一切、俺が奪いさるからな」と言ったという。
「私はお金だ」、「私は食い物」、「私は家だ」、「私は名誉だ」とみんなてんでんに書き出した。
あなたならどうするか?
そして翌日になったらその町にはたった一人の人間しかいなくなっていた。
なぜか?
答えは続きを読むに書いておいたので、興味ある人は見て欲しい。
「日常の心得」が参考になる
最後に「日常の心得」として、中村さんの教えが4ページにまとめられているので、”なんちゃってなか見!検索”で紹介しておく。
出典:本書268〜271ページ
中村天風の本を図書館で借りるなら「成功の実現」、買うならこの「君に成功を贈る」だろう。
日本経営合理化協会出版局のホームページでもこの「君に成功を贈る」が月間ランキング1位、「成功の実現」が2位となっている。
字も大きく、1日で読める。
うさんくささを忘れて、人生の導師の言葉と思って読むと、頭にスッと入ると思う。図書館でもいまだに人気がある本だが、まずは図書館で借りて読むことをお勧めする。
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