2012年04月24日

本当に考える力がつく多読術 実践!多読術 結局、拾い読みじゃん

本当に考える力がつく多読術本当に考える力がつく多読術
著者:園 善博
三笠書房(2010-04-03)
販売元:Amazon.co.jp
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実践! 多読術  本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)
著者:成毛 眞
角川書店(角川グループパブリッシング)(2010-07-10)
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多読術の本を2冊ほど読んでみた。

推薦本の紹介以外は、あまり得たところはないので、詳しくは紹介しない。いずれも多読=速読=拾い読みである。つまりスキップして読んでいるから速読=多読できるのだ。

筆者はほぼ一日1冊のペースで本を読んでいるが、必ず通読する。ところが、「本当に考える力がつく多読術」という本を書いている園善博さんは、逆に通読は勧めないという。

いわば「合目的読書法」という感じで、まず目次を最初から最後まで読んで、どんな情報が得られるか想像する。その情報を得るメリットを書き出し、本を読み終えた自分がどうなっているのかイメージして書き出し、そのうえで本を読むのだという。

いわゆる「カラーバス効果」のような考え方だ。

筆者も、目次からある程度内容を予測して本を読んでいるが、このように得られる情報のメリットを予測し、それがどう自分に生かせるのかまでイメージして本を読んでいるわけではない。

筆者は通読して印象に残ったところにポストイットを貼って、あとであらすじにまとめてブログに書いている。通読と拾い読みの差はあるが、結果的には同じことをやっているのかもしれない。今度は園さんの方法も参考にして、得られるものをはっきり意識して読んでみる。

もっとも、読書は量が問題ではない。質、つまり本を読んで、本からどれだけのものを得られるかが重要であって、多読しても、それが右から左に流れて、すぐに本の内容を忘れるようであれば意味がない。

実は筆者は大学生の時に一日一冊をノルマにして本を年に300冊ほど読んだことがあるが、書いてある文字を目で追っているだけで、ほとんど本の内容を理解しないままで終わってしまった。

カフカの「変身」やカミュの「異邦人」など、読んだという記憶があるだけで、内容は出だしの部分しか覚えていない。

変身 (新潮文庫)変身 (新潮文庫)
著者:フランツ カフカ
新潮社(1952-07-30)
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異邦人 (新潮文庫)異邦人 (新潮文庫)
著者:カミュ
新潮社(1954-09)
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サルトルの「実存主義とは何か」などは、単に字面を目で追っただけで、全く内容を覚えていない。

実存主義とは何か実存主義とは何か
著者:J‐P・サルトル
人文書院(1996-02)
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この時の反省があるから、通読+ブログ備忘録にこだわるのだ。また、通読すれば、著者は次は何を書くのだろうというわくわく感を維持しながら本を読み切ることができる。

最初から当たりをつけて、拾い読みしては、このわくわく感=期待感が、フルに味わえないと思う。

成毛さん、園さん、松岡正剛さんのような多読本の著者のように、金をもらって本の書評を書いているわけではないので、一般読者はやはり本を読んで知識と感動を得るというのが、正攻法だと思う。

閑話休題。

ちなみに、園さんもカーネギーのことを書いている。「人を動かす」は今出版されている自己啓発本と内容がほとんど変わらない古典なので、園さんはカーネギーの原典しか読まないという。

人を動かす 新装版人を動かす 新装版
著者:デール カーネギー
創元社(1999-10-31)
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成毛さんは、買ったり貰ったりで、月に100〜200冊の本を手に取り、最後まで読み通すのはそのうち10〜15%だという。

成毛さんも、本に書き込むをするのではなく、参考になった個所にポストイットを貼っておくという筆者と同じ読み方をしている。

ただお金持ちの成毛さんならともかく、今度紹介する松岡正剛さんの「多読術」も含めて、多読本の著者は図書館の利用について一言も触れていないことが気になった。

多読術 (ちくまプリマー新書)多読術 (ちくまプリマー新書)
著者:松岡 正剛
筑摩書房(2009-04-08)
販売元:Amazon.co.jp
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図書館を利用しないで、一日数冊という多読が可能な人はよっぽど金持ちか、本に埋もれて生活しているような人だろう。著者として自分の本を売らなければならない立場にあり、出版業界や本の流通業界に気兼ねしているのだろうが、図書館利用について何も書かないのは片手落ちのように思える。

成毛さんの「実践、多読術」の1/3は推薦書の紹介で、様々なジャンルの本が紹介されているので、知的好奇心を刺激される。たとえば次のような本だ。

図説 科学で読むイスラム文化図説 科学で読むイスラム文化
著者:ハワード・R. ターナー
青土社(2000-12)
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チョコレートの真実 [DIPシリーズ]チョコレートの真実 [DIPシリーズ]
著者:キャロル・オフ
英治出版(2007-08-27)
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731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く (新潮文庫)731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く (新潮文庫)
著者:青木 冨貴子
新潮社(2008-01-29)
販売元:Amazon.co.jp
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ノアの洪水ノアの洪水
著者:ウォルター・ピットマン
集英社(2003-08-26)
販売元:Amazon.co.jp
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そのほかにも面白そうな本がいくつも紹介されていて参考になる。


多読家の流儀ではないかもしれないが、自分は通読を続けて行こうという気持ちになる「多読」本だった。



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Posted by yaori at 12:50│Comments(1)TrackBack(0) 読書 | カーネギー

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この記事へのコメント
4
初めましてたけ坊と申します。
多読の記事面白く読ませていただきました。私も同じく多読をしていますが、どの書籍にも図書館利用はあまりかいておらず、記事に図書館利用を書いていらしたので、コメントさせていただきました。
また、立ち寄らせていただきます。
Posted by たけ坊 at 2012年04月26日 09:59