2012年05月24日

地図と愉しむ東京歴史散歩 ブラタモリやクイズ番組のネタ

カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩
著者:竹内 正浩
中央公論新社(2011-09-22)
販売元:Amazon.co.jp
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先日、小田急の社員と小田急線のマニアがクイズで対決するという「ほこXたて」の番組があり、井の頭線は元々小田急線だったこと、戦前に私鉄連合での東京環状線構想があったことを知った。

またNHKの「ブラタモリ」で、荒川は実は大正時代から昭和初めに掛けて造られた巨大な放水路だったことを紹介していた。このようなネタを多く収録していてるのがこの本だ。

この本はなか見!検索に対応していないので、なんちゃってなか見!検索で、目次を紹介しておく。

1.石垣に刻まれた幻の水準点 
  町に残る標石
  近代的測量の誕生
  愛宕山で水準点を探す
  皇居東御苑に残る水準点

2.明治の五公園は今
  東京の公園/遊興地
  上野の山
  公園の誕生
  国家の祝祭空間
  大正・昭和初期の上野公園
  芝公園の盛衰
  深川公園と飛鳥山公園
  上野公園の今

3.市営霊園の誕生と発展
  寺院墓地から公営墓地へ
  多磨霊園の開設
  名誉霊域の三人(東郷平八郎、山本五十六、古賀峯一元帥)
  多磨霊園に文化人の墓を訪ねる

4.都内に残る水道道路の謎
  江戸の水道
  コレラと三多摩
  玉川上水と淀橋浄水場
  水道道路を散歩する
  村山貯水池と導水路
  山口貯水池と廃線
  水道施設と戦争
  各地の水道道路

5.生まれた川と消えた村
  利根川の東遷
  人工河川の誕生
  消えた学校
  両岸に残る傷跡を探して
  旧中川の閘門(こうもん)

6.幻の山手急行電鉄計画
  放射状線と環状線
  第二の山手線
  井の頭線の建設
  山手急行線の遺構
  幻の新線

7.軍都の面影を訪ねて
  二.二六事件と第一師団 ー 麻布・六本木
  近衛師団の遺構 ー 北の丸
  偕行社と水交社
  在郷軍人会と九段会館
  小石川砲兵工廠
  赤羽の陸軍施設群
  各地の練兵場
  駒沢練兵場を行く

8.未完の帝都復興道路
  大正通りと昭和通り
  挫折した復興都市計画
  マッカーサー道路と播磨坂
  モータリゼーションの洗礼
  首都高とオリンピック
  首都高の未成線・休止線を訪ねて

9.廃線分譲地と過去の輪郭
  地図に残った仕事
  主張する街路
  円周道路の謎
  廃線分譲地
  水域の記憶

カラー刷りで昔の写真や地図が多く掲載されており、読んでいて楽しい。印象に残った点をいくつか紹介しておく。

★愛宕山は江戸有数の高い場所だったが、標高はわずか26メートル。東日本大震災級の津波が来れば、東京23区は大半が水に浸かるということだ。

★多磨霊園の名誉霊域の三人は、東郷平八郎、山本五十六、古賀峯一元帥だ。古賀元帥は「海軍乙事件」で飛行艇がフィリピンに墜落して殉職した。海軍乙事件では不時着した飛行艇から日本のマリアナ沖作戦概要や暗号解読書がゲリラ経由米軍の手に渡り、日本軍の作戦が筒抜けになった事件である。

吉村昭が「海軍乙事件」という小説を書いている。
 
海軍乙事件 (文春文庫)海軍乙事件 (文春文庫)
著者:吉村 昭
文藝春秋(2007-06)
販売元:Amazon.co.jp
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★当初三多摩地区(現在の東京都の西半分)は神奈川県に属していた。明治19年にコレラが流行し、青梅市で多摩川に汚物を流したという報告が流れ、宮内庁が過敏に反応して東京府と警視庁に厳重な取り締まりを指示したが、三多摩は神奈川県だったので、東京府と警視庁の権限は及ばなかった。このことが原因で、明治26年に三多摩が東京府へ編入されることになった。

★荒川放水路の大工事

次が荒川放水路建設工事がまだ始まっていない明治42年の東武線堀切駅の周辺地図だ。

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次が大正10年の同じ場所の地図。すでに鉄道の付け替えは完了し、川の開削も上流から順次行われている。

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ちなみに荒川放水路が建設された時に、住民の間では都心側の堤防の方が高いという噂が流れた。実際には堤防の高さは同じだったが、堤防の幅が都心側が15メートル、左岸は11メートルで、都心を守るという設計があったことは当たっていたといいう。

現在は国道16号の地下50メートルに建設された首都圏外郭放水路が首都圏の放水路を形成している。

東京山手急行電鉄計画は昭和3年に敷設免許が交付され、小田急が中心となって進めた壮大な新線建設計画だ。ルートは大井町を始発として、下北沢、中野、板橋、田端、北千住、平井を通って、洲崎(東陽町)に至り、洲崎から東京駅までは地下鉄が運行することになっていた。

次が全体図だ。

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出典:上記図はいずれも本書から

しかし用地買収が進まず、結局計画倒れとなった。

★井の頭線も昭和20年代に吉祥寺から田無を経て、東久留米まで延伸する計画があり、だから井の頭線の吉祥寺駅は高架なのだ。ところが西武線も同じような計画があり、結局ケンカ両成敗でどちらの延伸計画も頓挫したという。

上記の目次で紹介した通り、参考になるネタが満載だ。

タモリは「タモリのTOKYO坂道美学入門」という本を出している。

新訂版 タモリのTOKYO坂道美学入門新訂版 タモリのTOKYO坂道美学入門
講談社(2011-10-25)
販売元:Amazon.co.jp
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昨年改訂されたばかりだが、こちらは坂道だけなので、名所・旧跡を訪ねるという意味では、「地図と愉しむ東京歴史散歩」の方をおすすめする。


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Posted by yaori at 12:35│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 歴史

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