2012年06月29日

10年後に食える仕事 食えない仕事 「フラット化する世界」の日本版

10年後に食える仕事、食えない仕事10年後に食える仕事、食えない仕事
著者:渡邉 正裕
東洋経済新報社(2012-02-03)
販売元:Amazon.co.jp
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日経新聞の記者、IBMコンサルタントを経て、インターネットニュースMyNewsJapan.comを立ち上げた渡邉正裕さんの本。渡邉さんは1972年生まれ、慶應SFC出身だ。ブログもある

この本は東洋経済新報から出しているので、「週刊東洋経済」でも特集されている。

週刊 東洋経済 2011年 8/27号 [雑誌]週刊 東洋経済 2011年 8/27号 [雑誌]
東洋経済新報社(2011-08-22)
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図書館で借りて読んだ。図書館の蔵書3冊に対して予約が70件と、依然として人気のようだ。

内容は、このブログで紹介したトム・フリードマンの「フラット化する世界」を日本にあてはめたものだ。

フラット化する世界〔普及版〕上フラット化する世界〔普及版〕上
著者:トーマス・フリードマン
日本経済新聞出版社(2010-07-21)
販売元:Amazon.co.jp
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この本の最初にグローバル化時代の職業マトリクスが載っている。

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出典:本書4ページ

縦軸がスキルタイプ(技能集約的か知識集約的か)、横軸が日本人メリットで、それぞれの説明は次の通りだ。
1.重力の世界    : グローバルな最低賃金に収斂していく職業
2.無国籍ジャングル : 能力さえあれば世界のトップと競える職業
3.ジャパンプレミアム: 日本人でないとこなすことが難しい職業
4.グローカル    : 日本人の強みを生かしつつ、さらに付加価値をつけた職業

1.の重力の世界は、このブログで紹介した「ブルー・オーシャン戦略」の用語でいうと「レッド・オーシャン」で、赤がついている。世界最低賃金国との血みどろの競争を余儀なくされる職業だ。3.と4.は競争の少ない「ブルー・オーシャン」なので、青がついている。

具体的には次のような職業となる。

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出典: 本書57ページ

この本には「エリア判定チャート」がついているので、質問のYES/NOをたどっていくと、自分の仕事がどのカテゴリーか判定できるようになっている。

それぞれの領域の仕事の現状の割合は次の通りだ。全体の7割以上が重力の世界。世界に打って出られる無国籍ジャングルは3%、グローカルは5.5%と少ない。

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出典: 本書195ページ

読んだときに興ざめなので、詳しくは紹介しないが、それぞれのカテゴリーの代表的職業の特徴と日本における価値、世界におけるポジションがわかりやすく記述してあり、非常にわかりやすい。


中国にはサービスという概念がない

中国で「サロンde千華」という美容サロンを経営する村上千賀子さんの話が興味深い。

「この国にはサービスという概念がないから、美容院でスタッフが客とケンカして、すぐに暴れるの。
中国客は『私を綺麗にして』といきなり言って、セットが終わって気にくわないと全部崩してしまってやりなおし。それでも日本人にやってもらうのは、ステイタスなので、また来ます。
『ありがとうございます』とにこやかに帰って、二度と来ないのが日本人」

日本人は客としても厳しいのだ。

丁寧さと勤勉さは日本人ならでは。中国人はきめ細かな仕事が苦手で、すぐに「差不多(チャブドゥ=だいたいおなじ)」と言う。中国人にみそ汁の味を教えても、3日しか持たないという寿司職人の話もある。

これに似た話は、実は日本でも聞いたことがある。筆者の行きつけの中国料理屋は、何カ所も支店があるが、麻婆豆腐はどうしても本店と同じ物ができないという。教えても、中国人コックは自己流で変えてしまうのだと。


ITコンサルタントやSEは土着職業

EC(eコーマース)におけるITコンサルタントやSE(システムエンジニア)は土着職業だとして、楽天のビジネスを例に挙げている。

楽天には2011年秋の時点で約1000名の技術者が在籍している。三木谷社長は、社内公用語を英語とし、日本のベストプラクティスを海外で展開していく計画だが、中国で百度との合弁の「楽酷天」は結局撤退した。

中国の利用者は、気に入った商品を押さえて、チャット機能で価格交渉し、代金引換で受け取る。だから、サイトで売り上げが立っても、資金が回収できない「とりっぱぐれ」が続出した。

日本の感覚で作ったサイトは、全然ウケず、ユーザビリティも日中で違うことが分かった。

つまり日本のベストプラクティスは、日本の商習慣やカルチャーを共有していないマーケットでは通用しないという当然ともいえる結果になった。

プロジェクトマネージャーやSEが日本人だったので、日本の感覚を持ち込んで失敗したのだと。

楽天では2011年10月に35名の外国人新卒社員を採用した。2012年は60人に増やす計画という。日本で楽天のカルチャーを身につけてから、母国に帰ってサービスを指揮するのだ。比率は中国:インド:その他=4:4:2だという。

次に紹介する「内定とれない東大生」の編集者は、就活2勝58敗!の、扶桑社に勤める桜蔭・東大教養学部出身の女性だ。

内定とれない東大生 〜「新」学歴社会の就活ぶっちゃけ話 (扶桑社新書)内定とれない東大生 〜「新」学歴社会の就活ぶっちゃけ話 (扶桑社新書)
著者:東大就職研究所
扶桑社(2012-03-01)
販売元:Amazon.co.jp
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「ドラゴン桜」の中では「人生のプラチナ・チケット」と言われた東大生でも就活に苦労している時代である。

ドラゴン桜(1) (モーニングKC (909))ドラゴン桜(1) (モーニングKC (909))
著者:三田 紀房
講談社(2003-10-22)
販売元:Amazon.co.jp
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この本を参考にして「ジャパン・プレミアム」や「グローカル」な職業を目指せ!というのは、就活生には難しい注文かもしれないが、このブログで紹介した海老原嗣生(つぐお)さんの「就職に強い大学・学部」も参考にして、是非ブルーオーシャンを目指して欲しい。

偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)
著者:海老原 嗣生
朝日新聞出版(2012-03-13)
販売元:Amazon.co.jp
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ちなみに筆者は、「品質管理」、「教育(コンサル型)」の仕事をしている。現在は「グローカル」だが、「品質管理」の国際規格化とともに、「無国籍ジャングル」にも進出できるかもしれない。

これもユニクロの「匠」のように、日本人の熟練者の役割として残る仕事だという。


ネット系のメディを本職としているだけあって図を多く用いて、ビジュアルでわかりやすい。

この本を読んだからといって、すぐに就活に役立てられる学生は少ないと思うが、読んでおいて得になる本である。


参考になれば投票ボタンをクリックして頂きたい。





Posted by yaori at 23:54│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | ビジネス

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