2012年07月02日

ふしぎなキリスト教 一神教って全然違う

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)
著者:橋爪 大三郎
講談社(2011-05-18)
販売元:Amazon.co.jp
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東京工業大学教授の橋爪大三郎さんと、元京都大学教授の大澤真幸(まさち)さんという二人の社会学者が、キリスト教とイエス・キリストについてQ&A方式で解説した本。

まずはユダヤ教、キリスト教の違いだ。

答えはほとんど同じだが、唯一の違いはイエス・キリストがいることだ。

キリスト教はいわば2段ロケットのようにユダヤ教をベースにし、それに使徒がまとめたイエス・キリストの言葉を加えている。ユダヤ教の聖典である旧約聖書がキリスト教にもそのまま取り入れられている。

ユダヤ教もキリスト教も神は「ヤハウェ(エホバ)」で、アッラーも同一の神である。神と人間の間をつなぐのが預言者だ。

神は自分に似せて人間をつくったが、神は人間には似ていない。いわば3次元と4次元の差のようなものだという。偶像崇拝はキリスト教、ユダヤ教、イスラム教では禁じられている。偶像は人間のつくったもので、神がつくったものではないからだ。

神は世界をつくったので、自然法則も一時停止できる。これが奇跡である。一神教であれば、科学と奇跡とは両立する。

神の作った自然の法則を理解するのは科学で、同じく神がつくった自然法則の例外が奇跡だからだ。つまり科学は奇跡を解明する必要はないのだ。

イエス・キリストは実在の人物か

イエスを処刑したローマの記録を学者がいろいろ調べたが、イエス・キリストの記録は見つからなかったという。イエスの記録は、聖書の福音書に記されているのみだが、イエスの言葉は比喩が豊富で、生き生きとして一人の人間としての一貫性が感じられるので、イエスは実在したと考えられている。

新約聖書は4つの福音書とパウロの書簡より構成されている。4つの福音書ではマルコの福音書が最も古い。マタイとルカの福音書はマルコの福音書と今は失われた「Q資料」を参照している。ヨハネの福音書は、ほかの3つとは内容が相当異なる。


死刑となったイエスの罪は?

イエスはモーゼの律法に違反した重大刑事犯なので、議会が逮捕して裁判にかけたところ、イエスが神を冒涜する発言をしたので死刑が宣告された。ローマ総督ピラトにも「これは本当に死刑でよいのか?」という迷いがあったという。

イエスは最後の晩餐で、12人の使徒に対して、「お前たちの一人が私を裏切る」と予言しているが。最近発見された「ユダの福音書」ではキリストは「ユダよ。お前は弟子たちの中で一番信頼できる。私を、銀貨で売り渡してほしい、これを頼めるのはお前だけだ」といわれ、ユダはその通り実行したことになっているという。

これについては、ナショナル・ジェオグラフィックで「ユダの福音書を追え」という本を出しており、「ユダとは誰か」という本もあるので、今度読んでみる。

ユダの福音書を追えユダの福音書を追え
著者:ハーバート・クロスニー
日経ナショナル ジオグラフィック社/日経BP出版センター(2006-04-29)
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ユダとは誰か―原始キリスト教と『ユダの福音書』の中のユダユダとは誰か―原始キリスト教と『ユダの福音書』の中のユダ
著者:荒井 献
岩波書店(2007-05-30)
販売元:Amazon.co.jp
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ペテロ以来代々法王の座を受け継いでいるバチカンは、すぐに声明を出したが、日本では全くニュースにならなかったという。

パウロはイエスの12人の使徒ではなく、生前のイエスには会ったこともない。しかし、あるときイエス・キリストに出会い、いったん目が見えなくなるが、ほどなく視力が回復し、それからの人生は福音の旅をした。


「聖霊」とは何かも面白い

キリスト教の教義は三位一体と言われる。三位とは神。キリスト、そして聖霊である。イエスは昇天し、次に降りてくるのは終末の時である。それまでの神と人間の連絡手段が聖霊だ。

聖霊が宿ると、人は外国語を話しだしたり、重要なことも教えてくれる。パウロに宿って、聖書に収録されるパウロの手紙を書かせたのも聖霊である。381年の第一回公会議でも聖霊が働いて、三位一体説を採用するという結論が出された。

言語も面白い。

イエスはヘブライ語を話しており、ギリシャ語はできなかった。しかし新約聖書はすべてギリシャ語である。ところがカトリック教会の元締めである西方ローマ教会はラテン語に聖書を訳し、それからはヨーロッパの聖書研究はすべてラテン語で行われることになった。

宗教改革は、神と人間の関係を正すこと。聖書は認めるが、教会や聖職者は認めない。聖書中心主義である。すこしでも考え方が違っていると、プロテスタントは別の宗派となり、多くの宗派が生まれ、時々集散・離合があった。

プロテスタントと資本主義の精神を論じたのがマックス・ウェーバーの有名な著書である。

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)
著者:マックス ヴェーバー
岩波書店(1989-01-17)
販売元:Amazon.co.jp
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豆知識としては、イスラム教では宗教音楽が禁止されているというもの初めて知った。

手軽に読めてキリスト教の基本を知るうえで役に立つ本である。


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Posted by yaori at 23:11│Comments(1)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 

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この記事へのコメント
橋爪大三郎のキリスト本は、非常に評判悪いので読まない方が良いように思えます。
Posted by いけ at 2012年07月09日 08:11