2012年07月06日

内定とれない東大生 昔も今も就活の本質は同じだと思うけど…

内定とれない東大生 〜「新」学歴社会の就活ぶっちゃけ話 (扶桑社新書)内定とれない東大生 〜「新」学歴社会の就活ぶっちゃけ話 (扶桑社新書)
著者:東大就職研究所
扶桑社(2012-03-01)
販売元:Amazon.co.jp
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刺激的な題なので読んでみた。町田市立図書館にリクエストしたら、東京都立図書館の蔵書をまわしてくれた。題が題だけに、東大生や東大生の知人がいる人しか読まないだろうから、蔵書数100万冊を誇る町田市立図書館でも、この本は購入するつもりが無いようだ。

「東大就職研究所」まとめということになっているが、実際は内定が決まった現役東大生4人がアンケートなどの調査を担当して、東大出身ながら、就活で2勝58敗だったという教養学部出身の扶桑社の女性編集者と一緒にとりまとめたものだ。

このブログで以前、長男の東大入学式のことを書いたが、早いもので、その長男は今年就職した。多くの企業にES(エントリーシート)を送り、3年生の冬からは、ほとんど毎日就活していて、数多くの会社訪問やOB訪問をやっていた。

長男からは、運動部の先輩でも内定が取れずに留年した人がいると聞いていたので、正直半信半疑だったが、以前このブログで紹介した海老原嗣生(つぐお)さんの「就職に強い大学・学部」と、この本を読むことで大体全容がつかめたような気がする。

偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)
著者:海老原 嗣生
朝日新聞出版(2012-03-13)
販売元:Amazon.co.jp
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この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているので、ここをクリックして目次を見てほしい。

構成は次の通りだ。

第1章 東大最強「新」学歴社会の真実

第2章 東大卒「ない内定」その理由
    ここで5件の内定とれない東大生の例が紹介されている
    学部・性別は、法学部男性、文学部の男性3名、女性1名だ。

第3章 大手人気企業「内定長者」の素顔
    ここでは5件の内定長者の例が紹介されている。
    法学部の女性一人を除いて、全員男性、学部は文系学部、法学部、経済学部、文学部だ。

第4章 東大トップ層「日系企業離れ」の本音
    ここでは9件の例が紹介されている。
    経済学部の女性一人を除いて、全員男性、学部は法学部、経済学部、工学部、教養学部、大学院などだ

第5章 最強「東大女子」の時代はまだか
    ここでは3例だ。経済学部1名、理系学部2名だ。

終章  提言「就活」を再定義する


この本では、いろいろな事例調査や、採用コンサル会社HRプロの寺澤社長などから得られた結果を紹介しているが、ひと言でいうと次の通りだ。

★企業は公(おおやけ)には認めないが、実際には大学によって大体の採用枠を決めている。東大生はほかの大学に比べて優遇されていることは間違いないが、東大枠が決まっているので、東大生同士の争いになって、結局目立たない・パッとしない・志望理由のはっきりしないヤツは競争に負ける。

★東大でも就職に強い学部があり、東大生でも女子にはハンディキャップがある。

TBSの「ドラゴン桜」の公式サイトに「桜木格言」として収録されているものの一つに次のものがある。

「いいか学校ってのはな、いうなりゃキップ売り場だ。(中略)俺の売っているのは、東大行きという極上のプラチナチケットだ!これを買えば旅の始めは大変だが、後には見事な絶景と快適な列車が待っている。(中略)買わなきゃ一生ドンコウで、断崖絶壁を走るんだ。答えは買うに決まっている。」

東大入学は一般的には「プラチナチケット」と言われているが、ミクロで見ると上記のような事実がある。もっとも、これは大なり小なり昔からあったことで、今に始まったわけではない。

東大に関係のない人だと、「東大生のESは見ない」、「マイページは人事担当者が作成」など傲慢に思えるような話があるので、アマゾンのカスタマーレビューはボロボロだが、参考になる話もある。いくつか簡単に紹介しておく。

★就職サイト経由のエントリーが一般化するにつれ、企業はES攻めの自衛策として、応募条件に事業計画書の提出とか(CCC)を追加して、ESを難問化している。

たとえば、「50歳になったときホリプロで何をしていたいか」、「もし3000万円あったら、あなたはどのように使いますか(博報堂)」、「就活について考えていることを、川柳にしてください。(旭化成)」、「鳩山由紀夫、石川遼、東野圭吾にそれぞれ薦める本は何ですか。理由を書いてください(各一行)(講談社)」などだ。

★ネット企業Rに内定した法学部の女性の話。大学3年の夏から就活生向けセミナーを開いている主なベンチャー企業ーライブレボリューションスローガンジョブウェブなどのセミナーに参加し、「ロジカルシンキングとは」などを学んだ。

★同じ女性の話。就活は準備がすべて。練習以上のものは出ません。ぶっつけ本番では失敗します。友達に話している姿を動画に撮ってもらって、フィードバックをお願いしたり、「自己PRしてください」など必ず聞かれることは、練習しないのは怠慢。今の就活で問われているのは、そういうことだと思います。

さすが「内定長者」らしく、理にかなった実践的な考え方だ。

★就活を勝ち抜くコミュニケーション能力は次の二つ。
・論理的に話す力
・非言語コミュニケーション(ぼそぼそと話す、自信なさげな表情など) このブログでも紹介した「人は見た目が9割」という本を紹介している。

人は見た目が9割 (新潮新書)人は見た目が9割 (新潮新書)
著者:竹内 一郎
新潮社(2005-10)
販売元:Amazon.co.jp
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★東大就職研究所が、最後にたどりついたキーワードは「謙虚さ」だという。東大に入っても好奇心を持ち続け、果敢にチャレンジし続ける姿勢が評価されているのだと。その通りだと思う。個人もPDCAをまわして継続的に改善(向上)するのだ。

★東大法学部や経済学部の学生のなかでも外資系企業の存在感は非常に高く、かつての司法試験、公務員試験を目指したトップレベルの学生の就職先となっている。外資系希望者の就活サイトは、アルファリーダーズインフィニティ・キャンパスだという。これらのサイトは存在自体が知られておらず、偏差値ピラミッドでいけば、早慶まで?だという。

★東大と提携している中国トップの精華大学に1年間交換留学に行った学生の話。僕は最初は「東大の学生だ」と自己紹介していたが、途中から東大というのをやめた。自分はTOEFLで85点で、英語はまあまあできるほうだと思っていたが、中国の学生はTOEFL110点でまあまあという感じ。恥ずかしくて東大とは言えないと。英語ができる中国人学生に聞いてみたら、高校の授業はすべて英語だったと。日本の教育はこのままではマズいと思った。

★外資系企業では自分の意見をきちんと伝えようとするヤツが勝つ。もっとも外資系企業と日系企業両方から内定もらっている人は少ない。その意味では、外資系企業内定者も「内定とれない東大生」である。日系企業は、昔と変わらず、「従順で、何かを命じれば期待通りにはこなす」程度の人間が欲しいだけではないのかというのが、東大就職研究所の本音(逆襲)だと。

★最後に東大教養学部出身で就活2勝58敗だという扶桑社の女性編集者が、自分の就活を振り返って語っている話が、反面教師で参考になる。この女性は:
・大学3年の10月に片っ端から就職サイトに登録した。
・多くの東大生が行かないと口をそろえる大規模合同会社説明会に足を運んだ。
・東大生限定の説明会には行かなかった。
・マニュアル本に則って自己分析をして、その結果からメーカー、出版のキーワードに引っかかった企業に片っ端からESを送った。
・面接では「こう見えても東大生なんです」と言わんばかりの道化を演じていた。

つまり「パターン化された就活」に疑いもはさまず突っ走っていたのだという。だから採用側もマニュアル通りのいわば思考停止の東大生に”NO”をつきつけたのだろうと自己分析している。


就職サイトができて、一度つくったESを電子的に何社にでも送れるようになったという差はあるが、就活の本質は昔も今も変わらないと思う。そんなことを感じる本である。


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Posted by yaori at 00:05│Comments(1)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | ビジネス

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この記事へのコメント
昔っから超一流大学の就職事情はほとんど変わっていないように思えます。ひとことでいうと、私の場合は「楽勝」でした。あんなに「いい大学に入って、本当に良かった」と噛みしめた時期はありませんでした。一方で、同級生で「連戦連敗」している人も「たまに」いて、見ていて不思議な感じがしました。でも、ならしてみると「みんな楽勝」ムードであったことに変わりがありません。なお、昨今の外資崇拝は、もうすぐ無くなるだろうし、あの法科大学院というバカな制度も早くやめて、元に戻した方がいいと思います。
Posted by いけ at 2012年07月08日 23:34