2012年07月04日

刑務所なう。 ホリエモンの獄中記半年分

刑務所なう。刑務所なう。
著者:堀江 貴文
文藝春秋(2012-03-15)
販売元:Amazon.co.jp
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ホリエモンの獄中日記。

このブログの初期ではホリエモンの本を何冊か紹介したが、その後ライブドア事件と有罪判決が起こり、ホリエモンは忘れ去られつつあった。このブログでもホリエモンカテゴリーは整理しようかと思っていたところだ。

2011年4月にホリエモンの実刑(懲役2年6ヶ月)が最高裁で確定し、2011年6月20日に東京拘置所に収監され、6月27日に長野刑務所(A級犯:初犯から懲役8年までの囚人)に移送された。

この本では6月20日から12月31日までの毎日3食の食事献立と、毎日の生活、新聞、ラジオ、映画、本などの感想を書いている。

ホリエモンは、獄中からもブログ(六本木で働いていた元社長のブログ)やツイッターメルマガを書いており、この本はそれらの投稿や獄中記を集めたものだ。

同じ東京拘置所経験者の佐藤優さんは「週刊東洋経済」の「知の技法・出世の作法」という連載で、ホリエモンのことを”自らの未来の夢を描き、それを実現するために実力をつけて、努力によって夢を実現するタイプの人=「工作人」の典型”と呼んでいるが、その意味ではこの獄中からの情報発信もユニークだ。

ホリエモンの住んでいる部屋の様子は、この本の表紙の反対側に載っている。

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出典:本書表表紙見返し

上の絵にはテレビがあるが、実際には長野刑務所に移ってから、しばらくしてテレビが入ったのだという。東京拘置所の畳はプラスティックの人造畳だが、長野刑務所の畳は天然畳で、気分が全然違うという。

普通は雑居房より、独居房の方が良いのではないかと思うが、ホリエモンは最初のうちは早く他人と話せる雑居房に移りたいと、一時はうつ状態のようになったという。

しかしこの本の最後の12月末になったら、最初に言われた「共同室より単独室の方が良いですよ。いずれ慣れますから。」という意味がわかってきたという。

佐藤優さんの「国家の罠」には、独居房にいてうつ状態になったという話はなかった。

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)
著者:佐藤 優
新潮社(2007-10)
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ホリエモンの精神状態がよくわからないところだ。

この本のところどころにホリエモンの刑務所生活を示すこんなマンガが載っている。

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出典:本書222〜223ページ

長野刑務所は全国でもトップ3に入るメシのうまい刑務所だそうだ。ただ独居房には暖房がないので、住環境としては北海道の刑務所の方が、冬は暖房があるので、快適だろうということだ。

毎日400円程度で、よくこれだけ工夫して献立を作っていると思わせる苦心の献立が毎日並び、元日などは記念食のようなものもでる。

このあたりは東京拘置所での食生活をレポートしていた佐藤優さんの本に通じるところがある。

結局ほぼ半年で体重は95.7KGから72.4KGに23キロも減り、だいぶスマートになったはずだ。

シャバでは、贅沢な暮らしをしてたぶん毎日飲み歩いていたホリエモンなので、禁酒と、いわばプロテインダイエット(おかずは食べるが麦飯の量は減らす)、適度な運動を続けると、これだけ体重が落ちるという実験レポートのようだ。

食べたいと思っていた念願のカップ麺(カップそば)が12月31日に年越しそばとして出てきて、これを食べたら胃が小さくなっていて全部食べられなかった話がでてくる。麦飯の量を減らして胃を小さくしたのが、ダイエット成功の最大の要因だと思う。

全部で500ページほどある本の中身については、詳しく紹介しない。

ところどころ出てくる、AKBのプロデューサーの秋元康さんが大王製紙の井川会長と同じくらいカジノにハマっているとか、鈴木亜美がフライデーされた相手も知っているとか、ネタバラシのたぐいの話や、宇宙開発が半分くらいの「時事ネタ評論」を除いては、あまり印象に残る話はない。

さすがに刑務所に収監されていれば、当然のことながら情報量は激減する。やむを得ないところだろう。

本屋でパラパラ立ち読みするか、図書館で借りて読むことをおすすめする。


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Posted by yaori at 23:58│Comments(0) 自叙伝・人物伝 | ホリエモン