2012年07月21日

TPP亡国論 大体予想通りの内容 日本の将来像はどう考えるんだ?

TPP亡国論 (集英社新書)TPP亡国論 (集英社新書)
著者:中野 剛志
集英社(2011-03-17)
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以前紹介した小林よしのりの「反TPP論」で、参考文献の一つとして挙げられていたので読んでみた。

ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論ゴーマニズム宣言スペシャル 反TPP論
著者:小林 よしのり
幻冬舎(2012-02-24)
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大体予想通りの内容だ。詳しくは紹介しないが、日本の最大の問題はデフレであり、1990年代バブル崩壊後の不況で、デフレを心配しなければならない状況にあったにもかかわらず、新自由主義的な構造改革を断行した。その結果デフレから脱却できずにいると中野さんは説く。

戦後の経済運営の歴史上、こんな初歩的なミスを犯した国はほかにない。だから戦後、日本以外にデフレを経験した国がないのだと。

著者の中野剛志さんは、1971年生まれの元経済産業相課長補佐で、エディンバラ大学の社会学の博士号を取っており、京都大学工学研究科助教を経て、現在は経済産業省に復帰しているという。

第1次オイルショックが1974年なので、生まれてこのかたインフレを経験したことがない人なので、わからないのだろうが、いま実効金利率が1%程度で済んでいるから、1,000兆円の国債残高でも大きな問題が生じていないのだ。

インフレとなってたとえば金利が5%になったら、利払いだけで国の財政は破たんする。

筆者がアルゼンチンに駐在していた1970年代末は、インフレ率が100%を超えている時代だった。超インフレ国のアルゼンチンに住んでいた経験がある筆者にとって、インフレは国民の財産をむしりとる国の政策だと思う。

なにせいままでの蓄えが、インフレ率100%だと1年で半減、2年で1/4になってしまうのだ。銀行に預ければ金利はつくが、インフレは下回るので、目減りすることに変わりはない。

ペソでもらった給料を、すぐにドルにしたり、金貨にしたりしていたが、それでもインフレには負ける。

日本でインフレ率100%という事態にはならないとは思うが、国民総資産1,400兆円とかいっても、5−10%くらいのインフレが起これば、数年で激しく目減りし、日本人の世界的地位も凋落を続けることだろう。

そうなるともはや挽回は不可能だ。

ところで、この本の最後は次の言葉で終わる。

「第三の開国?その前に、第一の開国が、まだ終わっていないのです。」

この意味は、日本はまだアメリカなどの陰謀から「自ら守る力」、「自立の力」を持っていないのだという。

農業問題については、反TPP論者の「食料自給率100%を目ざさない国に未来はない」と一緒に、このブログで紹介した浅川さんの「日本は世界第5の農業大国」もも紹介している。

賛否両論併記ということで、結局中野さんが何を言いたいのかよくわからない。

食料自給率100%を目ざさない国に未来はない (集英社新書)食料自給率100%を目ざさない国に未来はない (集英社新書)
著者:島崎 治道
集英社(2009-09-17)
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日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
著者:浅川 芳裕
講談社(2010-02-19)
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TPPに反対する人たちの論拠は農水省のTPPによる影響試算であることは、以前紹介した「TPPを考える」と同様だ。

TPPを考える―「開国」は日本農業と地域社会を壊滅させるTPPを考える―「開国」は日本農業と地域社会を壊滅させる
著者:石田 信隆
家の光協会(2011-02)
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中野さんは6月に経済産業省に復職したようだが、経済産業省の官僚としてどうやってTPP亡国論をブツのだろう?

この人は、どういう日本の将来像を持っているのだろう。ここをクリックして、目次を見ればわかるが、個別論だけで全体像がよくわからない。そんな印象を受ける本である。


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Posted by yaori at 22:39│Comments(0)TrackBack(0) 政治・外交 | 農業

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