2012年08月11日

ユダの福音書を追え ユダはイエスの忠実な使徒だった(DVD)

2012年8月11日追記:

「ユダの福音書」のDVDを図書館で借りて見た。

ユダの福音書 DVDブック ビジュアル保存版ユダの福音書 DVDブック ビジュアル保存版
著者:マービン マイヤー
日経ナショナルジオグラフィック社(2006-07-07)
販売元:Amazon.co.jp
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本では「ユダの福音書」の写本がエジプトで発見されて古美術商の手にわたり、古美術商の間でのやりとりや、途中で盗難にあったことなどの部分が長いが、DVDでは古美術商の部分はさらりと紹介し、もっぱらこの文書が本物かどうかの鑑定の部分をフォーカスしている。

特に一旦盗難にあった写本を古美術商が取り戻し、普通の貸金庫に長年保管していたので、乾燥による劣化のためバラバラになった写本を、1ピースごとに復元していく工程を詳しく紹介している。

イエスは著作を残さなかったため、使徒や信徒が30余りの福音書を書いた。それらの福音書を2世紀の神学者エイレナイオスが、最も人気のある4つの福音書を選んで新約聖書の基本をつくった。

除外されたそのほかの福音書は外典とよばれ、滅失したものも多い。この本では発見された古代エジプト(コプト語)の写本が、「ユダの福音書」に間違いないことを多くの学者がかかわって鑑定していく様子を描いている。

さらにDVDでは、他の福音書ではユダは裏切り者と描かれているか、「ユダの福音書」では、イエスが最も信頼する使徒として描かれている点など、ドラマ仕立てで描いており、ビジュアルで大変わかりやすい。

DVDの音声は日本語吹き替えと英語を選べるが、日本語吹き替えでも登場人物の発言は原語のままなので、このDVDを見て、福音書を「ゴスペル」と呼ぶことや、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネは、英語ではMark, Matthew, Luke, Johnとなることを知った。「いまごろそんなことを知ったのか?」と言われるかもしれないが、ともかく大変参考になった。

ちなみに、「マタイの福音書」は、英語で言うと"Gospel of Matthew"となる。もよりの図書館でDVDを貸し出しているなら、ぜひこのDVDもチェックしてみてほしい。

わかりやすくて参考になると思う。


2012年7月26日初掲:

ユダの福音書を追えユダの福音書を追え
著者:ハーバート・クロスニー
日経ナショナル ジオグラフィック社/日経BP出版センター(2006-04-29)
販売元:Amazon.co.jp
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イエスを裏切ってイエスが死刑に処せられる原因をつくったユダ

ユダはイエスを銀貨30枚で裏切って、群衆に引き渡した。群衆の裁判の結果、イエスは死刑となり、十字架にかけられて処刑される。イエスが群衆に引き渡される際に、ユダはイエスに接吻して群衆に誰がイエスかを示した。それがこの本の表紙にある絵だ。

この話は新約聖書のマタイによる福音書の第26章と、マルコによる福音書14章、ルカによる福音書第23章、ヨハネによる福音書第18章に、ほぼ同じ話として出てくる。

新約聖書で最も古いマタイによる福音書は第27章で、ユダはイエスを銀貨で売り渡してしまったことを後悔して自殺したとしている。他の福音書ではユダの後日談はないが、ルカによる福音書では、ユダにサタンが入ってイエスを裏切ったことを記している。

このように新約聖書のいずれの福音書にも出てくるユダの裏切り。しかし、その真相は、イエスがすべてを予想して最も信頼できる信徒のユダに自分を裏切ったようにみせかけさせた、というのがユダの福音書の内容だ。

ユダの福音書は3−4世紀につくられたものとみられ、古代エジプト語のコブト語で書かれている。パピルスに書かれたボロボロの写本が1970年にエジプトで見つかった。

この本では、エジプトで見つかった写本に、多くの古美術商が関与し、最終的にナショナル・ジオグラフィック協会が本物と断定するまでを描いている。

ユダがイエスを裏切ったのか、それとも裏切りに見せかけたのはイエスの指示なのかが、なぜ重要なのかは、日本人にはピンとこないところだ。実はユダヤ人がイエスを殺したという俗説がキリスト教徒には広く信じられている。

ユダはユダヤ人の象徴と見られており、ユダの裏切りによって、ユダヤ人がイエスを殺したという俗説につながるのだ。

筆者に言わせれば、イエスだってヘブライ語しか話せなかったユダヤ人そのものじゃないかと思えるが、そこは俗説の俗説たるゆえんで、ユダヤ人はイエスを殺したということで、全世界のキリスト教徒から嫌われる一因となっている。

ところが、このユダの福音書では、ユダはイエスから最も信頼を受けていたので、イエスに言われたことを、そのまま実行したとしている。こうなるとユダヤ人をイエス殺害の張本人ととらえるキリスト教の俗説は、なりたたなくなる。それゆえキリスト教世界では、この福音書は偽書であるという議論も根強い。

筆者はキリスト教徒ではないので、このユダの福音書のインパクトがわからないが、ユダ=ユダヤ人の象徴という俗説がある以上、世界のマスコミを支配しているユダヤ人は、キリスト教徒からのいわれなき誤解を解くために、今後ともユダの福音書を利用するのだと思う。

なにせ広く浸透している俗説なので、時間はかかるだろうが、聖書自体がユダヤ教の聖典である旧約聖書とキリスト教の聖典の新約聖書を合体させたものなので、ユダヤ人=キリスト殺しという俗説はいずれ解消するのではないか。

小型聖書 - 新共同訳小型聖書 - 新共同訳
著者:日本聖書協会
日本聖書協会(1996-01)
販売元:Amazon.co.jp
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そんなことを考えさせる本である。


参考になれば投票ボタンをクリックして頂きたい。




Posted by yaori at 16:45│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 歴史

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