2012年10月06日

桐島、部活やめるってよ 小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウのデビュー作

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)
著者:朝井 リョウ
集英社(2012-04-20)
販売元:Amazon.co.jp
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小説すばる新人賞を2009年に受賞した朝井リョウのデビュー作。

朝井リョウさんは、1989年=平成元年生まれ。早稲田大学の文化構想学部を卒業したての新進作家だ。

今度紹介する大澤在昌さんの「売れる作家の全技術」の”偏差値の高い新人賞”として小説すばる新人賞が挙げられ、過去の受賞作としてこの本が紹介されていたので、読んでみた。

同じ小説すばる新人賞の過去の受賞作として、三崎亜記さんの「となり町戦争」も紹介されている。こちらも今度読んでみる。

となり町戦争 (集英社文庫)となり町戦争 (集英社文庫)
著者:三崎 亜記
集英社(2006-12-15)
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ところで、「桐島、部活やめるってよ」を紹介していた大澤在昌さんの「売れる作家の全技術」は大変面白く、参考になる本だった。今年、筆者が読んでから買った数少ない本の一つだ。

小説講座 売れる作家の全技術  デビューだけで満足してはいけない小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない
著者:大沢 在昌
角川書店(角川グループパブリッシング)(2012-08-01)
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近々あらすじを紹介する。大澤在昌さんは作家がある程度売れてくると「名前は知っているけど、読まないと決めた作家」という壁にぶち当たるという。

だから糸井重里のほぼ日で、無料で小説を連載したりして、「大澤在昌は知っているけど、読まないと決めた」人たちに、少しでも大澤作品を読ませようと努力しているという。

この「売れる作家の全技術」もまさにそんな「マーケットの底辺を拡大する」努力の一つだと思う。

現に筆者は、警察小説には興味はなく「大澤在昌という名前は知っているが、読まないと決めた」一人だったが、「売れる作家の全技術」を読んで興味をひかれたので、今度、大澤在昌さんの人気シリーズ「新宿鮫」を読んでみる。

新宿鮫 (光文社文庫)新宿鮫 (光文社文庫)
著者:大沢 在昌
光文社(1997-08)
販売元:Amazon.co.jp
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話が逸れたが、「桐島、部活やめるってよ」は今年映画化されたばかりだ



NHKの朝ドラの「どんと晴れ」に出ていた、神木隆之介君が主演をしている。

予告編を見る限り、映画と小説は別物のようだ。

小説の「桐島、部活やめるってよ」の目次はたったこれだけだ。

菊池宏樹(野球部の助っ人)         ………   7ページ
小泉風助(バレー部リベロ。桐島のサブだった)………  13ページ
沢島亜矢(ブラバン部長)          ………  47ページ
前田涼也(映画部)             ………  77ページ
宮部実果(ソフト部)            ……… 121ページ
菊池宏樹(前出)              ……… 167ページ

(カッコ内は役柄)

この小説の出だしは斬新で、タイトルの「桐島、部活やめるってよ」が最初の言葉となって(本文には出てこないが)、冒頭の菊池宏樹の「え、ガチで?」につながっている。

また表現も斬新だ。特に擬態語や擬声語(あわせてオノマトペと呼ぶ)に特徴がある。

たとえば小泉風助の章の出だしは。

「悲しそうな、残念そうな顔をしろ。耳元で俺が俺に囁(ささや)いた。
水色のTシャツと自分の肌の間を、薄く形を変えた風が、す、と通り過ぎていく。…」

それとか、
「風助!」、「肩に入っていた力がふ、と抜けて、すとんと地上に落とされた気がした。…」

「あ、
コートのど真ん中にゆっくりとボールが落ちる。」

というような感じだ。

小説のあらすじは、いつも通り詳しく紹介しない。上記の目次の男女数名の17歳の高校2年生が、バレー部のキャプテンの桐島が辞めたことで、すこしづつ歯車が狂うというストーリーを、登場人物の独白という形でオムニバス形式で綴っている。

小説では桐島本人は最後まで登場しないが、映画では桐島が出てくるような予感がする。

正直、おっさんの筆者には感情移入ができなかった。

筆者は高校2年まではサッカー部にいた。足首を捻挫したり、膝が痛くなり、それとボールセンスがなく周りを見回し、的確なパスを出すというようなことができず(要はヘタなので)、2年末で辞めて学業に専念したが、桐島のように「部活やめた」経験がある。

誰でも昔は高校生だったわけだし、体育祭や部活動の話なら、誰でも感情移入できるはずだが、この本の斬新なスタイルがそれを阻んでいるような気がする。

それと、あえて注文をつければ、作者の朝井リョウさんの写真は載せるべきではなかったと思う。

男言葉、女言葉がミックスしている小説なので、写真を出さず、あえて男とも女ともわからないようなミステリー作者にしておいた方が、良かったのではないか?

なにはともあれ、20歳で小説すばる新人賞を取るような抜群の文章力がある作家であることは間違いない。「桐島、部活やめるってよ」という作品では、感情移入は難しかったが、今後の活躍を期待したい。


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Posted by yaori at 01:47│Comments(0)TrackBack(0)小説 | 朝井リョウ

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