2013年10月05日

再掲 バナナの世界史 バナナ・リパブリックは衣料品ブランドだけじゃない

2013年10月5日再掲:

議会と大統領の対立で10月からスタートした新年度の予算執行が停止している米国のことを、「バナナ・リパブリック」と呼んで揶揄する人がいる。

政府がコントロール不能に陥っていることを指すのだろう。

しかし、発展途上国などのいわゆる「バナナ・リパブリック」と異なり、米国の場合には制度上の欠陥で予算に議会の承認を得られない場合の規定がないことが原因であり、これをもって「バナナ・リパブリック」と呼ぶのは、ジョークにしても的外れのような気がする。

1995年から1996年にかけてのクリントン政権でも、同じ事態が起こっている。

この「バナナ・リパブリック」?騒動と、バナップルを最近食べたので「バナナの歴史」を再掲する。

「バナナの歴史」の最後で、バナナの新しい品種として紹介されている「バナップル」を食べてみた。近くのスーパーで売っていたものだ。

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出典:スミフルホームページ

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出典:フルーツの殿堂 楽天市場店

味はバナナの中心にリンゴの粒が入っているような感じだった。

食感はバナナ、ほんのりとリンゴの味がするという感じで、普通のバナナよりだいぶ小ぶりだ。

筆者は近くのスーパーで買ったが、上記の「フルーツの殿堂」楽天市場店でも買える。いずれは日本中のスーパーで売られることになるかもしれない。

300〜400円で買えると思うので、一度試してみることをお勧めする。


2013年1月3日初掲:

バナナの世界史――歴史を変えた果物の数奇な運命 (ヒストリカル・スタディーズ)バナナの世界史――歴史を変えた果物の数奇な運命 (ヒストリカル・スタディーズ)
著者:ダン・コッペル
太田出版(2012-01-19)
販売元:Amazon.co.jp
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世界で一番生産量が多い果物であるバナナの歴史を通してバナナビジネスを描いた本。

世界のバナナ生産量は約1億トン。インドがダントツの1位で30%を占めるが、生産量のほぼ全量が国内で消費され、輸出にはまわらない。2位の中国も同様に国内消費用で、3位のフィリピンと4位のエクアドルが輸出バナナ生産の最大手だ。


バナナのジャイアント:ユナイテッド・フルーツ社

バナナは19世紀から貿易されていたが、現在のように大量に輸出入される商品となったのは、1899年に合併によって成立し、世界32カ国で事業展開したユナイテッド・フルーツ社によるプランテーション拡大によるところが大きい。

ユナイテッド・フルーツ社は専用船団と各地にバナナ倉庫を持ち、パナマ、ホンジュラス、グアテマラ、キューバなどの各地の自社バナナプランテーションで収穫したバナナを専用船で輸送し、米国やヨーロッパに置いた専用倉庫から消費地に出荷していた。


ユナイテッド・フルーツ社の政治力

1912年に米軍がホンジュラス、パナマなどに侵攻した事実は知らなかった。米軍の侵攻後、ユナイテッド・フルーツ社は鉄道建設の許可を得て、プランテーションを建設している。

コロンビア人のノーベル賞作家のガブリエル・ガルシア・マルケス「百年の孤独」には、プランテーションでストライキを起こした3,000人の労働者たちを軍隊が機関銃で殺す場面がでてくる。これは1928〜9年にコロンビアで実際に起こった事件だ。

百年の孤独百年の孤独
著者:G. ガルシア=マルケス
新潮社(1999-08)
販売元:Amazon.co.jp

ユナイテッド・フルーツ社はグアテマラで世界最初のバナナプランテーションを運営していた。

グアテマラのアルベンス大統領は1951年に反バナナプランテーション政策をとったので、ユナイテッド・フルーツ社は政治力を行使してアイゼンハワー大統領を動かし、大統領はCIAに政権転覆工作を命じた。アルベンス大統領は空港で服を脱がされ、下着姿でメキシコに亡命したという。

スパイ映画によくある、多国籍企業が開発途上国の利権を握り、利権を危うくする者をCIAを使って抹殺するというストーリーが現実に起こっていたのだ。

キューバではカストロ政権転覆のためのピッグス湾事件で、自社の船団を反カストロ勢力の輸送に供している。

ユナイテッド・フルーツ社がグアテマラとホンジュラスの独裁政権を支援してきたこと、またユナイテッド・フルーツ社からの依頼でCIAによるグアテマラ工作が実施されたことが、情報公開法により公開された一連の政府文書から明るみに出ている。


まさにバナナ・リパブリック

バナナ・リパブリックというと、現在はカジュアル衣料ブランドとして有名だが、本来の意味は、開発途上国の頼りない政府を揶揄した言葉だ。グアテマラの政権転覆は、まさにバナナ・リパブリックにおける多国籍企業の政治力を見せつける事件だ。

【Men's】BANANA REPUBLIC(バナナリパブリック)ボーダー鹿の子ポロシャツ(Gray)
【Men's】BANANA REPUBLIC(バナナリパブリック)ボーダー鹿の子ポロシャツ(Gray)



バナナの品種交代がユナイテッド・フルーツ社の没落のきっかけ

バナナはクローニングにより栽培されるので、抵抗力のない病気が発生すると大規模な病害が起こる。

現在世界各地で生産されているバナナは中国が原産とされているキャベンディッシュという品種だが、1960年以前は世界のバナナはグロスミッチェルという品種だった。

グロスミッチェルは1910年ごろパナマから広がったパナマ病という病気に耐性がなかったため絶滅した。

米国政府まで動かす政治力があったユナイテッド・フルーツ社だったが、当時のバナナプランテーションの主力品種のグロスミッチェル種にこだわったため、パナマ病の蔓延でシェアを落とした。

日本でもエクアドルバナナの代名詞として有名なチキータはユナイテッド・フルーツ社のブランドで、CMソングは全米で評判になったという。




スタンダード・フルーツ社はバナナの箱輸送で活路

一方、スタンダード・フルーツ社も1899年創業だが、ユナイテッド・フルーツ社よりは規模が小さく、マーケットシェアも長年20%を超えることはなかった。

しかし、グロスミッチェル種がパナマ病に侵される面積が拡大するにつれ、ユナイテッド・フルーツ社の業績は悪化し、1950年の66百万ドルの利益が、1960年には2百万ドルまで落ち込んだ。

これに代わって主要品種として栽培されたのがキャベンディッシュで、スタンダード・フルーツ社はキャベンディッシュに集中することで、マーケットシェアを一気に拡大した。

キャベンディッシュはこすれると黒ずんで柔らかくなるという欠点がある。これをスタンダード・フルーツ社は、箱に詰めて箱ごと輸送するというやりかたで解決した。これは”バナナ産業史上最大の技術革命”と呼ばれている。


ユナイテッド・フルーツ社の落日

落ち目のユナイテッド・フルーツ社は、1969年にユリ・ブラックというユダヤ人投資家に買収され、社名もユナイテッド・ブランズに変更された。

この頃パナマ、コスタリカ、ホンジュラスなどの中米バナナ輸出国が一致してひと箱あたり1ドルの「バナナ税」を課すことを決定した。バナナ版OPECをつくろうとして、「バナナ輸出国機構」設立の動きがあったのだ。

そんななかで1975年ユリ・ブラックは、ニューヨークのパンナムビルにある本社事務所の窓から飛び降り自殺した。

バナナ税を引下げさせるために、ホンジュラス大統領へ巨額のわいろを贈ることを決定したことを悩んでの自殺だったと見られる。

ユナイテッド・ブランズ社は1992年に投資家に買収され、チキータに社名変更したが、シェア低下・収益低下に悩まされ、とうとう2001年にチキータは会社更生法を申請した。1世紀以上も世界のバナナ生産と貿易を牛耳ってきたユナイテッド・フルーツ社の終焉だった。


未来のバナナ

バナナのゲノム解明は2001年に開始され、2012年に完了した。

遺伝子組み換えバナナは不稔なので、在来種との混合の恐れはない。ベルギーなど世界各地で品種改良が進められている。

現在はキャベンディッシュが世界各国で生産されているが、他にアップル・バナナとしてゴールドフィンガーという種類がある。

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これからもバナナの品種改良は進められ、近い将来は様々な味のバナナが登場することだろう。


バナナ業界を牛耳る多国籍企業の歴史とバナナの雑学が楽しく学べる本である。


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Posted by yaori at 21:29│Comments(0) ビジネス | 企業経営