2013年05月27日

マイナンバーがやってくる マイナンバー導入対策ガイドブック

2013年5月27日追記:

マイナンバー法が参議院本会議で可決され、5月24日に成立した。いよいよ日本でも2016年1月スタートで個人番号制度が実施されることになる。

一部の記述と資料をアップデートして「マイナンバーがやってくる」のあらすじを再掲する。


2013年3月5日追記:

安倍内閣で、通称「マイナンバー法」が3月1日に閣議決定された。既に自民党、公明党、民主党の3党が合意しているので、国会に提出されて、すみやかに成立することが見込まれる。

表などをアップデートしたので、再掲する。

なお、マイナンバーの配布時期は2015年中、利用開始は2016年1月からと、当初の案より1年遅れとなる見込みだ(消費税が10%となるのは、2015年10月から)。


2012年12月20日初掲載:



2012年8月に成立した消費税増税法案に基づく徴税と低所得者対策の「給付付き税額控除」、それと年金などの基盤となる個人番号・通称マイナンバーの導入対策ガイドブック。

マイナンバー法案は2012年2月に国会に提出されたが、政治の空転により審議されずに今に至っている。消費税は2014年4月から8%、2015年10月から10%に引き上げられるので、税と社会保障を支えるマイナンバーは、2012年年度中には成立させておく必要がある。

マイナンバーの導入スケジュールは次の通りとなっている。2016年1月からの運用開始に先立ち、2015年末までにマイナンバーが全国民と全法人に通知される予定になっている。

マイナンバーschedule





出典:内閣府 法案概要資料4ページ

米国の社会保障番号(Social Security Number)は民間企業が名寄せに使えるが、マイナンバーは民間企業の利用は禁止されている。将来の利用として今後議論されることになる。

マイナンバーが使われるのは社会保障、税金、そして健康情報の管理に当面は限定されるが、それでもマイナンバーが導入されることで、行政のムダがかなり削減されるだろう。

次がマイナンバーを利用する概念図だ。

総務省マイナンバー制度説明





出典:総務省資料

こうしてみると国民にとってたいしてメリットないように思えるが、いままで政府が縦割り行政のもとに、バラバラに徴税、社会保障、健康保険、生活保護などを運用してきたものが同一本人を特定して実施できる。

社会保険庁時代の5,000万件の「消えた年金」問題はじめ、日本では共通番号制度がないための弊害が数々生じてきた。こんなことはマイナンバー制度の元では絶対に起こり得ない。

国民にとっては、いままで別々の役所の窓口に申請しなければならなかったことでも、1か所の窓口でできるようになる。また、自ら申請しなければ受けられなかった給付が、将来は役所から自動的に「プッシュ型」で提供されるということも可能になるという。

一枚の個人番号カードが年金手帳、いずれは健康保険証にも使えるので、利便性もあがることが期待される。


もちろん所得税などの捕捉率もあがる。正しく申告している人にはまったく影響がないが、所得隠しが難しくなるので、公平性という意味では良いと思う。

マイナンバーのシステム構成図は次の図を参照してほしい。

scanner429






出典:本書108ページ

マイナンバーは一人に一つだが、利用するそれぞれの官庁では、個別の識別符号で管理することにより、すべての個人情報を特定の省庁の役人が名寄せすることを防ぐようになっている。

逆に、本人はインターネット上で提供される「マイポータル」で、自分の個人番号をどこの官庁が使ったか、利用状況をチェックできることになる。

個人情報の適切な取扱を担保するための仕組みとして、「特定個人情報保護委員会」(上記資料では「個人番号情報保護委員会」となっている)が、政府から独立した組織として設立される。

これは1995年の「EUデータ保護指令」により、EUから日本への個人情報の移送が禁止されていることを解消するための布石だろう。

マイナンバーでカバーされる分野で国に関するものは次の通りだ。

scanner427





出典:本書110ページ

地方公共団体でマイナンバーを利用する業務は結構多い。

scanner425










scanner426











出典:本書169ー170ページ

マイナンバーを整備・維持するための費用は次の通り見積もられている。

scanner428



出典:本書24ページ

上記は2011年10月の政府の見積もりで、ICカードでなく、紙の仮カードに変えたり、クラウドサービスなどを利用すると費用は圧縮できると思われる。

いわゆる「消えた年金」問題で、年金記録を照合するためのコストが2009年度に106億円、2010年度に427億円、2011年度736億円、2012年度も660億円費やされている。4年間で2,000億円もの巨額の予算が投じられているのだ。

マイナンバーを導入すれば、このような人手で年金記録を照合するという無駄な作業は、今後は発生しない。

法律が成立していないので、確定的なことは言えないが、元々三党合意があるので、自民党内閣となれば、すみやかにマイナンバー法は審議にかけられ、2012年度中には予算決定されることになるだろう。

企業のマイナンバー利用は前述のように禁止されている。

本人確認の手段としては使えるが、マイナンバーを使っての名寄せはできないという運用になる。

総務省マイナンバー利用






出典:総務省資料 16ページ

一方、税務と社会保障の関係で、企業も法人番号が付与され、社員の個人番号を登録して、納税記録に記載しなければならない。だから企業にとっては、マイナンバーは自社では利用できないのに、納税と社会保障の関係でシステム変更を余儀なくされて、費用だけが掛かるということになる。

マイナンバーメモ






出典:総務省資料(企業関連部分を追加)

住民基本台帳カードはわずか4%、650万人にしか普及していないのに対し、マイナンバーは最初から全国民分の紙の仮カードが送付され、希望者のみICカードに変更できるという形でスタートすることが予想される。

5,000万人分の年金が消え、上記のように2,000億円かけて年金記録を再調査しているが、いまだに2,000万人の年金記録が不整合のままだという。

マイナンバーが導入されれば、少なくともこのような先進国にあるまじき事態は防止できる。

企業にはマイナンバー導入のためにシステム改変等の費用がかかり、以前のY2K(西暦2000年問題)のようなシステム改編ブームが起こるかもしれない。

なお、医療関係でもマイナンバーの利用が当初より検討課題に挙げられている。

医療分野では2012年9月に厚生労働省が設立したワーキンググループが「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書」を出しており、マイナンバーとは異なる「医療等ID(仮称)」という別の仕組みを作るべきだと答申している。

医療等IDまとめ_ページ_2





出典:社会保障分野サブワーキングループ報告

図がなくて、文字ばかりの報告書で読みづらい。

要は医療関係の情報の流れは次の様になっており、税金や社会保障用のマイナンバーとは性質が異なる。

医療情報は万が一漏れると、本人に取り返しの出来ないダメージを与える恐れがあるものもあるので(たとえば病歴等)、マイナンバーのインフラは共用することも検討可能ではあるが、別の「医療等ID」や「医療カード」を導入すべきだという答申だ。

医療等IDまとめ_ページ_1






出典:「医療等分野における主な情報のながれ」(全55ページの報告書)


マイナンバーが導入されるとどういった影響があるのか、わかりやすく解説しているガイドブックで参考になった。

この本を購入するかはともかく、上記で出典として紹介した総務省の資料は目を通しておくことをおすすめする。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。





Posted by yaori at 09:20│Comments(0)TrackBack(0) 個人情報保護 | ビジネス

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/yaori/51843191