2013年02月24日

伝説の教授に学べ! 安倍首相の指南役・浜田宏一教授の講義

伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本
著者:浜田 宏一
東洋経済新報社(2010-06-25)
販売元:Amazon.co.jp

今や安倍首相の指南役として、安倍政権の政策のアドバイザー的な地位にある内閣官房参与・エール大学名誉教授の浜田宏一教授と、早稲田大学の若田部教授、それとカツマーこと勝間和代さんの鼎談(ていだん。3者会談)。

勝間さんは、経済学者ではないがインフレターゲット論をいくつかの著書で展開している。

日本経済復活 一番かんたんな方法 (光文社新書 443)日本経済復活 一番かんたんな方法 (光文社新書 443)
著者:勝間 和代
光文社(2010-02-17)
販売元:Amazon.co.jp

実際にデフレで苦しんでいる人たちの観点から経済をみることこそ、経済学の原点だと勝間さんの著書に教えられたと浜田教授は語っている。勝間さんの著書が、この鼎談のきっかけとなった。

浜田教授の安倍政権の政策に対する影響力については、最近の「ダイヤモンド」誌のインタビューが参考になる。

アマゾンのなか見!検索に対応しているので、ここをクリックして。目次の前に載っている浜田教授から日銀の白川方明総裁にあてた2010年6月の公開書簡を見てほしい。

この公開書簡は、浜田教授が昔の教え子の一人の白川総裁に向け、日銀を強く批判したものだ。

日銀は金融システム安定化や信用秩序維持だけを心配して、その本来の重要な任務であるマクロ経済政策という「歌」を忘れたカナリヤのようなものだと説く。

”不適切な金融政策で苦しみを味わっている国民のこと、産業界のことを考え、あえてお手紙する決心を致しました。”

”白川君、忘れた「歌」を思い出してください。お願いです。”という言葉で締めくくっている。

この本を読むまでは、日銀の「不作為による作為」により、デフレ解消が長引き、円高のために日本の産業界が大きなダメージを受け、日本経済の成長が止まっているとは筆者は考えていなかった。

しかし、次のようなグラフを見せられるとなるほどと思う。

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出典:本書35−37ページ

これらのグラフは、この本が完成する直前に亡くなった浜田さんの元同僚・内閣府経済社会総合研究所の岡田靖さんだという。他の主要国のドラスティックな金融政策に比較して、日銀はなにもしなかったといえるほど動きがないことがよくわかる。

白川総裁は、「日銀のバランスシートはもともと大きい」と言っているが、その発言が、官僚の責任逃れとしか思えないようなグラフだ。

浜田教授は、リーマン・ショックの震源地ではない日本が、震源地以上の被害を受けたのは、日銀が金融政策を怠っていたという理由以外には考えられないと語る。

日銀は、自分たちの政策が、人びとの経済状態に影響を与えるという認識が不足していると手厳しい。

たしかに2009年当時、サブプライム・ローン問題には最も縁遠い日本が、急激な経済の落ち込みを経験した。

筆者は、当時は、統計に表れる輸出以外にも、日本国内の取引でも(たとえばトヨタの系列部品会社からトヨタへの販売取引など)最終的に輸出に向けられるものが多いので、日本経済が大きな影響を被ったと思っていた。

この本の浜田教授による日銀批判を読んで、ひょっとすると日銀がデフレを野放しにしていたことが、日本経済の低迷に大きな影響があったのではないかという風に思えてきた。

現に、昨年10月頃から安倍現首相が、自民党が復権したら日銀の政策を変えさせると公言すると、一挙に流れは変わり、円安ー株高という基調に変わった。

株価が上がったことにより、国民全体の意識も変わりつつあり、青息吐息だった日本のエレクトロニクス業界なども元気が出てきている。

浜田教授の主張通りに物事が動いてきている。

浜田教授は、このブログでも著書を紹介した元・財務省の高橋洋一さんの「この金融政策が日本経済を救う」を高く評価している。

この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)
著者:高橋洋一
光文社(2008-12-16)
販売元:Amazon.co.jp

”すばらしい本で、高校生を対象にすると書いてあるだけあってとてもわかりやすく、みなさんにお勧めします”と推薦している。

今回、日銀総裁、副総裁の候補として、伊藤隆敏東大教授の名前が挙がっている。

伊藤隆敏教授は、2008年に日銀副総裁候補に挙がっていたが、当時の民主党が伊藤教授がインフレターゲット論者だという理由で、拒否した。

そのことが、いまのデフレと混迷を招いた遠因にもなっていると浜田教授は語る。伊藤教授は、論文でも議論で世界の一流経済学者と太刀打ちできる数少ない日本の国際レベルの経済学者の一人だという。

安倍政権の2%のインフレ率を目指す金融政策ならば、伊藤隆敏教授の出番もあるかもしれない。

ここをクリックして目次を見ていただきたいが、日銀批判以外には、浜田教授の経歴、早稲田大学の若田部教授による昭和恐慌と現在の比較などを紹介している。

浜田教授は、日銀はまるで「さるかに合戦」のサルだという。将来柿の木が育って、柿の実がなると国民をいいくるめて、おむすび(雇用や生産)を取り上げてしまっているのだと。

こうまで言われて日銀もアタマに来ているのだと思うが、いまや物事は、浜田教授の方に流れている。

日銀批判本はやはり副総裁候補として名前が挙がっている学習院大学教授の岩田規久男さんの本などもある。

日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)
著者:岩田 規久男
講談社(2009-08-19)
販売元:Amazon.co.jp

日本銀行 デフレの番人 (日経プレミアシリーズ)日本銀行 デフレの番人 (日経プレミアシリーズ)
著者:岩田 規久男
日本経済新聞出版社(2012-06-09)
販売元:Amazon.co.jp

この本は、浜田教授と若田部教授が、経済学者ではない勝間さんに講義するという内容なので、平易でわかりやすい。

日銀を擁護する人を入れると、議論の幅がさらに増したのではないかという気もする。なぜ日銀の白川総裁がこうまで批判されているのかが、よくわかり、参考になる本である。


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Posted by yaori at 01:52│Comments(0)TrackBack(0) 勝間和代 | 経済

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