2013年03月03日

フリーター、家を買う。 なぜ、こっちの方が感情移入できるんだ?

フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)
著者:有川 浩
幻冬舎(2012-08-02)
販売元:Amazon.co.jp

以前紹介した「三匹のおっさん」の作者・有川浩(ありかわ・ひろ、女性)の他の作品を読んでみた。

三匹のおっさん (文春文庫)三匹のおっさん (文春文庫)
著者:有川 浩
文藝春秋(2012-03-09)
販売元:Amazon.co.jp

「三匹のおっさん」では、同じ年代のおっさんの話なのに、だいたい予想したとおりのストーリーだったので、感情移入できなかった。意外にも、こちらの作品の方がストーリーに引き込まれ、一気に読めた。

小説のあらすじはいつも通り詳しく紹介しない。そこそこの私立大学を卒業した主人公・武誠治は、新卒入社した会社の新人研修で違和感を感じ、会社になじめず3か月で辞める。

それからはコンビニのアルバイトなど、1年以上アルバイトを点々とした後、最終的に夜間工事のガテン系アルバイトに、いわば安住の地を見出し、就職活動をしながら工事のアルバイトを半年ほど続けた。

作業員仲間と打ち解け、きつい現場になれてきたら、作業長=工事会社の社長から採用の話を持ち出され、その土木工事会社に業務部主任として採用となる。

やっと就職できた会社で、誠治の評価はうなぎのぼりに上がる。

入社してすぐ手書き・ワープロの書類をすべてパソコン処理に変え、給与計算で外注していたコンサル費用もカットし、さらに費用を見直して、在庫費用の大幅削減策を打ち出す。

社長の指示で、元バンドマンのフリーターと、東工大土木科出身の現場監督志望の女性という、両極端の2人の第2新卒を採用し、彼らが会社の戦力となることで、さらに誠治の評価が上がる。

一方、隣近所から20年あまり、いじめられ続けてきたという過去を持つ母親が、誠治がフリーターをしていた間に、うつ病になってしまい、通院・薬漬け生活を余儀なくされる。

その家に住んでいると、母親のうつ病が治らないと考え、中堅商社マンで「経理の鬼」と呼ばれる頑固な父親を説得して、自分のためた貯金も頭金として提供し、新しい家を買う。というようなストーリーだ。

後半は、2人の後輩が加わることでストーリー展開にひねりを加えていて面白い。

この本のなかでわからない部分があった。

それは、事務所の前に置かれていた捨て猫の対処の場面で、誠治の思いやりに後輩女性が気づき、誠治が「ごめん、ノーカン」と言う。

しばらくやり取りが続き、後輩女性が「困らせたくないので今はノーカンにします。でも、諦めてない武さんは間に合ってます。絶対にお母さんのこと、間に合ってます。」と言う場面だ。

「ノーカン」は、「ノーカウント」のことで、たぶん「忘れてよ」という意味だと思うが、いま一つ使い方がよくわからない。まあ、どうでもよいことだが…。

ともあれ、感情移入できる大変面白い小説だった。


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Posted by yaori at 00:32│Comments(0)TrackBack(0) 小説 | 有川浩

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