2014年4月27日再掲:
TBS系で「ルーズヴェルト・ゲーム」の放送が始まった。
昨年「半沢直樹」シリーズで、大ヒットを飛ばしたTBSが再度池井戸潤作品をてがけている、
詳しいあらすじを紹介すると興ざめなので、「ステルスモード」で簡単なあらすじを紹介した記事を再掲する。
2013年5月14日初掲:
ルーズヴェルト・ゲーム
著者:池井戸 潤
講談社(2012-02-22)
販売元:Amazon.co.jp
このブログで紹介した「下町ロケット」や「空飛ぶタイヤ」など、中小企業を題材にした小説の第一人者・池井戸潤さんの直木賞受賞第1作。
下町ロケット
著者:池井戸 潤
小学館(2010-11-24)
販売元:Amazon.co.jp
空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)
著者:池井戸 潤
講談社(2009-09-15)
販売元:Amazon.co.jp
タイトルの「ルーズベルト・ゲーム」とは、「野球の試合は8:7が一番面白い」という、野球好きのルーズベルトの言葉から取っている。
ストーリーは次のような展開だ。
創業者・青島毅(たけし)が一代で築き上げたイメージセンサーなどのカメラ部品や電子部品をつくる青島製作所は、売上高500億円の中堅電子部品メーカーだ。
野球好きの創業者がつくった青島製作所野球部は、かつては都市対抗野球などの常連で名門チームだったが、不況の影響もあり、最近は成績が低迷している。
そんななかでリーマンショックの影響で、青島製作所の主力顧客向けの売り上げが激減した。
需要が落ちている上に、半導体部品メーカーのミツワ電器がイメージセンサー市場に参入すべく、100億円以上の設備投資をして、安値で営業攻勢をかけているからだ。
野球でもミツワ電器は、青島製作所の監督を引き抜いた。監督はエースと四番バッターを引き連れてミツワ電器に移籍し、青島製作所野球部の戦力は一気にダウンする。
赤字の青島製作所に主力銀行が追加融資に難色を示す。最重要顧客のカメラメーカーが要求する高性能センサーは、いつ開発が終えるかわからず、先が見えない状態だった。青島製作所は、やむなく人員整理をふくむリストラに踏み切った。
青島製作所が緊急事態にある時に、重要顧客の社長の斡旋で、ミツワ電器社長から合併の話が青島製作所社長に持ち込まれる。
創業者の青島は会長としてなかば引退し、日常の業務はコンサル出身の中途入社の細川社長に任せている。
青島会長も細川社長も、「合併で規模を拡大して生き残るしか青島製作所が生きる道はないのでは」と思いはじめる。
人員整理で6億円のコスト削減を実現しようと努力するなかで、年間3億円も維持費がかかる野球部は銀行の圧力で廃部が決まる。
一方、ミツワ電器が仕掛けた合併の話は、ライバルつぶしと青島製作所のセンサー技術狙いとわかり、青島製作所の経営陣は合併提案を拒否する。
しかし、懲りないミツワ電器は、青島製作所が未上場で、少数の大株主が株式の過半数を握っていることに目をつけ、ミツワと合併すれば株式上場の道が開け、持ち株の利益実現が可能となると大株主に持ちかける。
欲に目のくらんだ株主は、緊急株主総会開催を要求し、株主総会で合併提案を拒否した経営陣を糾弾する…。
どんでん返しの連続で大変面白い。
青島製作所野球部も、廃部は決まったが、信じられない頑張りを見せて連勝を重ねる。実は、青島製作所の契約社員のなかに、高校時代に暴力事件で野球をやめたピッチャーの逸材が埋もれていたのだ。
彼の活躍と、以前は控え選手だった若手選手の頑張りで、青島製作所の選手たちは最後のミツワ電器との試合に、「ルースベルト・ゲーム」を…。
というようなストーリー展開だ。
前回紹介した「売れる作家の全技術」で、大沢在昌が、”小説のとげ”と呼んでいた謎や伏線が縦横無尽に張り巡らされ、ストーリー展開が心地よいテンポで進む。
まさにエンターテイメントだ。400ページ余りの小説だが、面白くて一気に読める。
別の池井戸作品が読みたくなる本である。
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