ウェブサイトも非常に凝っていて、楽しめる。

一度映画も見ようと思う。

著者:朝井 リョウ
出版:新潮社
(2012-11-30)
このブログで「桐島、部活やめるってよ」を紹介した朝井リョウの直木賞受賞作。

著者:朝井 リョウ
出版:集英社
(2012-04-20)
朝井リョウは、1989年生まれ。早稲田大学文化構想学部を卒業し、現在はたしか出版社に勤める兼業作家だ。
池井戸潤さんの「オレたち花のバブル組」のあらすじを紹介したが、朝井さんは「バブル期就職組」ではなく、なんと「バブル期誕生組」である。平成元年生まれだから、筆者の長男と同じ年齢だ。

著者:池井戸 潤
出版:文藝春秋
(2010-12-03)
「何者」には専用サイトが開設されている。
バイト先で一緒になったり、演劇などの活動で一緒になった御山大学の6人の男女就活生(留学や就職浪人などでみんな5年生)が、様々な人間関係を描く。
時折ツイッターのメッセージを挟んで、”今風”のテイストを出している。
主人公たちの会話を軸に話が展開する「どうってことないストーリー」ではあるが、大沢在昌の「売れる作家の全技術」で紹介されていた”小説のトゲ”(読み終えたあと、読者の心の中にさざ波を起こすような何か)がそこかしこに仕込んである。

著者:大沢 在昌
出版:角川書店(角川グループパブリッシング)
(2012-08-01)
「プライベートのメールアドレスがわかれば、それでアカウントが検索できたりするから。」
ツイッターの話だ。
「何者」という言葉も、いろいろな形であらわれる。
「桐島、部活辞めるってよ」で、新鮮な驚きを与えていたオノマトペの使い方も見事だ。
「ヴ、ヴ、ヴ、ヴ」
携帯電話のバイブの音だ。
広告会社のクリエイティブ試験のところがいかにもありそうで、リアルだ。
一番の歌詞が書いてあり、「二番の歌詞を考えろ」という問題と、物語の冒頭のみが書いてあり、「これは起承転結の起です。承、転、結それぞれを書いてください」という問題が出たという。
朝井さん自身の経験に基づく就活の分析もなるほどと思う。
「ESや筆記試験で落ちるのと、面接で落ちるのではダメージの種類が違う。決定的な理由があるはずなのに、それが何なのかわからないのだ。」
「就職活動において怖いのは、そこだと思う。(中略)自分がいま、集団の中でどれくらいの位置にいるかがわからない。…」
おっさんの筆者は、高校生の話である「桐島、部活やめるってよ」では全然感情移入できなかったが、「何者」では感情移入できる部分もあった。
就活の毎日を描いた作品なので、ストーリーの変化があまりないが、「売れる作家の全技術」を読んだ後に読んでみると、朝井さんのいろいろな工夫がわかる。
上記で紹介したYouTubeのインタビューでも、朝井さんは、じっくり構想を練って、話の構造を決めてから書くタイプだと語っている。
筆者のような「就活したのは、はるか昔」の人も楽しめる作品である。
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