2013年08月24日

聞く力 阿川佐和子さんのインタビューとっておきの話



週刊文春で900回を超える長寿インタビューコーナーの「この人に会いたい」で聞き役を務めている阿川佐和子さんの本。

「○○の力」という池上彰さんの本のシリーズを真似た様なタイトルなので、このブログでも紹介している池上さんの「池上彰の情報力」の様なコンテンツを期待して読んだが、冒頭から様子がおかしい。

池上彰の情報力
池上 彰
ダイヤモンド社
2004-01-29


はじめに阿川さんは自分がインタビューが苦手で、いまだにインタビューに出かける前は、ビクビクどきどきしていることを告白しており、自分が「新書」を出すような柄ではないと謙遜する。



池上さんのような報道記者の「聞く力」とは、差があって当然かもしれない。

いくつか「聞く力」のヒントもある週刊誌のコラムの裏話と思って読むと良いと思う。

いくつか印象に残ったポイントを紹介しておく。

4.自分の話を聞いてほしくない人はいない。

5.質問の柱は3本。

6.「あれ?」と思ったことを聞く
  たけしとインタビューした時に、たけしが頻繁におしぼりで目を拭いている。バイク事故の後遺症で目が乾くのだと。「まわりはさ、もう治ったと思ってくれているけど、俺の中ではまだ治っていないんだ。あれでもう、北野武は終わったって、俺自身、思ったもん」

「HANA-BI」はたけしの自身の体験から生まれた映画なのだと。



12.会話は生ものと心得る
鶴瓶にインタビューしていた時に、途中でスタッフから今話題の「みそぎ」について聞けと言われ、阿川がスタッフに対してキレた。それをとりなした鶴瓶のセリフが「ま、ええやないですか。トークは生ものやさかいに」だったという。

22.「オウム返し質問」活用法
俳優の西村雅彦さんにインタビューした時に、西村さんに「僕、人に『えっ?』て言われると傷つくんですよ。」と言われ、それ以来「えっ?」の使い方には注意しているという。「えっ?」が出ないように、オウム返しで答えるのも有効だと。

32.憧れの人への接し方
憧れの人ジュリー・アンドリュースと会ったときは、ジュリー・アンドリュースが出演した「メリー・ポピンズ」から、「スパーカリーフラー…」とかを歌って見せたという。他人の参考にはならないだろうが、阿川さんの人柄がわかるストーリーだ。





35.遠藤周作さんに学んだこと−あとがきにかえて
遠藤周作さんは、阿川さんのお父さんの阿川弘之さんの友達だったので、子供のころからの知り合いだった。信心深い反面、茶目っ気があって周りを明るい気分にしてしまうキャラクターだったという。

その遠藤さんがインタビューアとなる雑誌の対談で、阿川さんがアシスタントをしていたところ、ある時遠藤さんがインタビューを終えて怒っていたという。「ダメだよ、あの人は。ちっとも具体的な話が出てこないんだもの。ちっとも面白くない!」

具体性が大事だと教えてくれたのは、遠藤さんだったという。本でも同じで、このブログで紹介しているのは、すべて具体的な話だ。やはり具体性がないと話は印象にも残らないし、面白くない。


気軽な話題が満載で楽しめる。そして、「聞く力」を考えるためのヒントになる本である。


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Posted by yaori at 01:40│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | ノンフィクション

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