2013年09月14日

ブラック企業 若者を使い捨て、日本の将来を危うくする企業

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)
著者:今野 晴貴
文藝春秋(2012-11-19)
販売元:Amazon.co.jp

若者を使い捨て、日本の将来を奪うブラック企業についての本。

著者の今野さんは、中央大学法学部在籍中の2006年に学生や社会人を中心にNPO法人POSSEを立ち上げ、労働関係に関する相談を1,500件以上も受付けているという。

NPO法人POSSEでも「ブラック企業に負けない」という本を出している。

ブラック企業に負けないブラック企業に負けない
著者:NPO法人 POSSE
旬報社(2011-09-26)
販売元:Amazon.co.jp

あまり新しい情報はないが、ブラック企業に関する情報がよくまとまっている。大体の内容がわかると思うのでここをクリックして、目次を見てほしい。

このブログでは基本的に個別企業の例は挙げない。この本の目次を見ればわかるし、ブラック企業大賞というようなイベントも開催されており、これに名前が出てくるような企業がこの本でも取り上げられている。



今野さんが挙げるブラック企業のパターンは次の通りだ。

1.大量募集
初めから残業代を含んだ月収を公表して、報酬を誇張する手口や、「正社員」ということで学生を引き付け、実は「試用期間」の間に選別するという手口がある。

2.選別
入社後も選別が続き、資格を取れない者、店長になれない者は自発的に辞めざるを得ない環境に追い込む。選別に耐えられず自殺してしまった人もいる。そして選別からの脱落者を追い込む手口が、今野さんが「戦略的パワハラ」と呼ぶ、職場全体でパワハラを行い自発的に辞めざるをえないように追い込むものだ。

3.使い捨て
「営業手当」などという名目で、一定の手当てを払う代わりに残業代を払わない手口や、「裁量労働制」として年俸制にするなどで、残業代を払わない手口だ。マクドナルドなどで問題になった「名ばかり管理職」、「名ばかり店長」も同様だ。



36(サブロク)協定」の悪用で、異常な残業上限時間を決めるとか(たとえば月80時間以上で決めている例もあるという)で長時間労働を強いる。

そして「離職手続を取らせない」、「最終月の給与を支払わない」、「損害賠償請求で脅す」など、辞めさせないのもブラック企業の典型的パターンだ。

4.職場崩壊
セクハラがあったり、管理職がパワハラし放題。公私混同が激しい。整理整頓が全くできていないなど、職場崩壊もブラック企業の典型的なパターンだ。

ブラック企業の代表として取り上げられることが多いワタミの渡邉美樹社長の、「もう、国には頼らない」を以前このブログでは紹介した。



ブラック企業の代表格としてワタミが取り上げられるようになる前の2008年に書いたあらすじなので、渡邉社長以外の登場人物がほとんどいない等の変なサインには気づいているものの、従業員に対する姿勢は見破れていないところが残念に思う。

ただ渡邉社長の本はいろいろ読んだが、本に書いてあることは、まっとうで正しい主張が多い。しかし、会社経営理念は正しくても、働く人たちの福祉を考えない劣悪な労働条件では、世間からブラック企業と呼ばれることになるだろう。

たとえばワタミで早々に退社する人もいるが、順調に出世していく人も中にはいるはずだ。

この本を読むと、ブラック企業の実態がわかると同時に、なぜブラック企業が店長育成にこだわり、店長にふさわしくない者は早々にふるい落とすのか、ブラック企業側の理由もわかるような気がする。

結局外食産業や小売業などは、いわば「店長力」が企業の力なのだと思う。

現場の店長の接客、仕入れや販売促進キャンペーンなどの采配、アルバイトの使い方で、その店の収益や顧客満足度が変わる。その意味で店長は最も重要な役職で、店長にするために正社員を雇っていると言ってもよい。だから、店長にふさわしくない社員はどんどんふるい落とすのだと思う。

しかし、ふるい落とされる社員にとっては、堪ったものではない。人生が狂わされる結果となる。

企業は店長にとなれる人材を求め、社員はそこそこ働いて人並みの給料がもらえる待遇の良い職場を求める。企業と社員の期待のミスマッチ、それがブラック企業問題のすべてだろう。

今野さんを含め、マスコミなどがいくらブラック企業の実態を報道し、ブラック企業大賞などで、世間の注目度を上げても、ブラック企業とわかっていながら、それでも入社する若者はなくならないと思う。

成功したい、野心のある若者は店長、さらにはその上を目指す。実態がある程度分かった上で、入社するのであれば、もはや外部から言うべきことはないと思う。

この本に書かれているのは一部の実態だと思うが、若者がブラック企業に入社するのであれば、前もって、一部の実態は分かっておいてほしい。

その意味では、この本を読んだり、YouTubeで「ブラック企業」や「今野晴貴」で検索すると出てくる次のような映像を見て、その上で採用応募の判断をすることをお勧めする。




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Posted by yaori at 23:46│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | ノンフィクション

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