2013年12月16日

トコトンやさしい天然ガスの本 基礎知識を得るのに最適の本



図書館の新刊書コーナーに置いてあったので読んでみた。2013年9月25日に出たばかりの本だ。

近年「シェールガス革命」と言われている。世界最大の天然ガス消費国の米国は、5年ほど前は、いずれ天然ガス輸入国になるとみられて、液化天然ガスを輸入するターミナル建設のプロジェクトまであったほどだ。

ところが、水平掘削技術と水圧破砕技術の発達により、シェール(頁岩=けつがん。ページのように薄く割れる性質を持つ堆積岩)層からのシェールガス開発が可能になってくると、事態は一変した。

普通の天然ガスとシェールガスの賦存状況の違いは次の図がわかりやすい。

GasDepositDiagram



















出典:Wikipedia

ガスが岩盤に貯まったところに、上から垂直にパイプを下して掘削するのが普通の天然ガス。これは見るからに簡単だ。

それに対してシェールガスは、上からのパイプをシェール層に沿って、水平方向にも展開し、高圧の水を吹き込んでシェール層に閉じ込められていたガスを回収する高度な採掘方法だ。

現在では深さ2,000メートルほどのシェール層に、。水平に3,000メートルほどのガス井戸が掘られている。そしてこの水平部で水圧破砕を行うのだ。

これにより米国の天然ガス生産は飛躍的に増加し、数年後は米国はシェールガス輸出国になることが確実とみられている。

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出典:本書132−133ページ

しかし、シェールガス生産の問題点は、まさに上記のグラフで明らかになっている。

最初こそ、猛烈な勢いでガスが噴出するが、すぐに勢いが弱まり、なんと1年目の減衰率は82%だ。

10年間でガス井の可採埋蔵量の80%を回収する場合、1年目でほぼ半分のガスを回収し、あとの9年で残りの半分をチマチマ時間をかけて回収することになる。

つまり、生産量のコントロールが難しいのだ。多くの企業がシェールガス開発に走れば、一挙にガスが供給過剰となって、ガスの市場価格が暴落する。

一方、1年目の減衰が激しいので、ガス開発企業はガス供給量を保つためには、継続的に掘削を続けざるを得ない。

ガス田を当てれば、あとは自噴するので、寝ていても儲かるという従来型の天然ガスのビジネスモデルとは違うのだ。

こんなことがわかってきたので、米国のシェールガスの技術的回収可能量は2011年には862Tcf(兆cubic feet)とされていたが、2013年に、ほぼ半分の481Tcfに見直しされている。マセーラスガス田の回収可能量の下方修正が大きな原因だとされている。

大変参考になった。

そのほかにも、石炭からとれるメタンガス(Coal Bed Methane)、日本の千葉県などで生産されている水溶性天然ガスとヨウ素資源(日本は世界第2位のヨウ素生産国だ)、2013年3月に行われたメタンハイドレートの産出テスト、バイオマスによるメタンガスの製造技術など、興味深い話題をわかりやすく取り上げている。

この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているので、まずはここをクリックして目次と出だしの8章までの部分を見て欲しい。出だしに「天然ガス」とはどいうものか紹介されていて、これだけでも勉強になると思う。

天然ガスの基礎知識を得るには最適の本である。


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Posted by yaori at 00:11│Comments(0)TrackBack(0) ビジネス | 資源問題

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