わかりやすい解説で定評がある池上彰さんの世界情勢解説の最新版。
このブログでも紹介した1は2009年に発刊され、今回紹介する4は2013年5月の発刊だ。
池上 彰
角川SSコミュニケーションズ
2009-11
このシリーズはすべて読んでいる。毎回参考になることが満載で、大変役に立つ。まずは、
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ちょうど
前回ブログで紹介した「中国はもう終わっている」を読んだ後なので、中国関係の情報も参考になった。
中国の汚職はケタが違う。逮捕された薄煕来の蓄財は5,000億円近いと言われ、清廉といわれていた温家宝もニューヨークタイムズが、親族に2,150億円もの蓄財があると報じているという。
もちろん薄煕来も習近平も子供を米国に留学させている。ほかの多くの共産党の幹部も同様だ。
中国では腐敗した官僚のことを、「裸官」というそうだ。不正な口利きで蓄財し、子供を海外に留学させ、得たお金はマネーロンダリングで、留学先の国に送金する。万一に備えて家族や資産を海外に送り出し、自分だけが中国にハダカでとどまっているので、「裸官」というのだと。
これでは国のトップがこれでは、中国国民が不満を持つのは当たり前であると池上さんは語る。
中国では経済成長に陰りがみられ、「保八」が「破八」になっている。中国では地方政府の役人が、勝手に土地利用権を売って利益を上げている。これが汚職とバブルを引き起こしており、以前から不動産バブルが崩壊すると言われている。
この本ではゴーストタウンとなっている新築高層マンション群の写真を紹介している。
尖閣海域で中国の監視船の領海侵犯が昨年から頻発している。中国の実効支配のやり方は次のパターンなのだと。
1.領有権を主張する
2.漁民を送り込む
3.漁船団・監視船を送り込む
4.漁民保護の名目で海軍を投入する
5.上陸し、施設を建設する
これが南沙諸島、スカボロー礁等を中国が実効支配したやり方だ。
ベトナム軍が実効支配していたスプラトリー群島を1988年に中国軍海兵隊が攻撃したビデオがYouTubeに公開されている。ベトナム軍の輸送船を中国軍の駆逐艦が攻撃するシーンが紹介されている。
日米安保条約があるから中国は手を出せないだけで、米軍の後ろ盾がなかったら、間違いなく中国は尖閣諸島に上記のステップでアプローチするだろう。
もっとも日本側でも尖閣については領土問題は存在しないと公式発言しているが、実態として棚上げとしてきた。その証拠に、日本人の尖閣上陸は許されていない。また尖閣周辺の天然ガス開発でも、日本企業の採掘申し入れを日本政府は認めてきていない。
歴代首相は、「棚上げと向こうが言ったのだから、相手を刺激するようなことはやめよう」とやってきたのだと。
韓国の現代自動車の燃費虚偽表示問題。米国で人気の韓国車「エラントラ」は日本車より燃費がいい
(40マイル/ガロン)という触れ込みだったが、アメリカの消費者団体が調査したところ、実際には25マイル/ガロンだった。
燃費虚偽表示問題は
2013年末に和解が成立したが、韓国車のブランドイメージ毀損は免れない。
韓国はアベノミクスを批判しているが、円安・ウォン高で韓国製品の競争力が落ちていることのあせりがあったのかもしれない。
2012年12月の総選挙で自民党は大勝したものと思っていたが、実は3年前に自民党が負けた時よりも得票数は少なかったのだと。2009年が1,881万票で、2012年が1,662万票。実に219万票も減っている。
国民は決して自民党を勝たせたわけではないのだと。民主党に愛想をつかせ、「支持する政党がない」として棄権してしまった人も多かった。
アベノミクスはマスコミの造語で、レーガン大統領の「リーガノミクス」に由来するという。
レーガン大統領の経済政策は、当時の大統領予備選の対立候補だったブッシュ父から「ブードゥーエコノミー」と呼ばれたほど、経済学的には支持が少ない大胆な政策だった。
安倍首相の経済政策もどうなんだろうと、マスコミが疑問を持って名付けたのが「アベノミクス」なのだと。
その他の話題も大変参考になった。簡単に読めるので、一読をおすすめする。
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