2014年05月10日

オーディション社会 韓国 敗者復活戦がない韓国社会



競争社会の割には、敗者復活戦がない韓国社会の問題点を明らかにした本。

著者の佐藤大介さんは、毎日新聞社を経て、2002年に共同通信社社員となり、2007年に韓国の延世大学に社命留学、その後2009年から2011年末までソウル特派員として勤務していた。

韓国の問題点を指摘する本は多い。

このブログでも「韓国併合への道 完全版」を紹介した日本に帰化した韓国人・呉善花(オ・ソンファ)さんや、元時事通信ソウル特派員の室谷克美さんなどが代表格だろう。

呉善花さんは、処女作の「スカートの風」以来、どちらかというと自分の反省を込めて、自分が体験した日本と韓国の差を様々な例で紹介している。それが韓国政府の怒りを買い、日本に帰化した後は、韓国からは入国拒否の扱いを受けている。







室谷さんは、もはや「芸風」が韓国嫌悪となっており、このブログでも紹介した「日韓がタブーにする半島の歴史」に続いて「悪韓論」、「呆韓論」などの本を次々に出している。



現在「呆韓論」を読んでいるので、こちらのあらすじもいずれ紹介する。

呆韓論 (産経セレクト S 1)
室谷克実
産経新聞出版
2013-12-05


船長や船員が一般乗客を装っていち早く逃げたなど、信じられない事実がどんどん出てくる「セウォル号」の沈没事故、ソウルの地下鉄衝突事故など、韓国の信頼度が著しく低下している。

韓国のテレビでは、船長の適切な対応で全員が助かった日本のフェリー転覆事故を報道して、「セウォル号」との差を報道している。



到底こんな国には住みたくないと思うのが人情だろうが、日本にとっては、韓国が隣国であることは変えられない。

きれいごとのように聞こえるかもしれないが、室谷さんのように、呆れて、「すべての問題の根源と責任はかの国の病にある」といって、避難ばかりしてつき合うことをやめて無関心になるのではなく、少なくとも実情は知っておくべきだと思う。

その意味で、この本は役に立つ。

参考になった点をいくつか紹介しておく。

★韓国のオーディション番組は、人口の4%が参加したといわれるほど人気だ。「スーパースターK」と、スーザン・ボイルを生んだ英国のオーディション番組「ゴット・タレント」の韓国版の「コリア・ゴット・タレント」の2つが特に有名で、スーザン・ボイルと同じように、見かけはぱっとしないが、歌唱力抜群の歌手を生み出している。

その代表格がホガクだ。

身長163センチのずんぐりした容姿で、幼いころに両親が離婚。一緒に暮らしていた父の健康が悪化したことから、中学生で学校をやめ、修理工をして生活費を稼いでいた。母の消息を探し当てたが、別の過程を持っており、再会することはできなかったという過去を持つ。



もう一人は、 チェ・ソンボンだ。3歳で孤児院に預けられ、暴力を受けて5歳で脱走。10年以上もガムなどを売りながら、路上生活をしていたという。



本家のスーザン・ボイルはこんな形で見出された。



韓国社会は競争が厳しく、敗者復活戦もない。ホガクやチェ・ソンボンが人気を集めた背景として「代理満足」(テリマンジョク)があるといわれている。代理満足とは自分が目標を成し遂げられなかった場合、本人に代わって、自分が感情移入できる出場者が目標を達成することで満足感を得られることだ。

★人生の競争は「教育」から始まる
韓国の教育熱はすごい。家計の5割が塾の費用という家庭もあるという。

英語教育熱が高まり、子どもと母親が、英語教育を学ぶために海外で暮らし、父親は韓国でせっせと稼ぐ「キロギアッパ」とよばれる居残り父親が5万人を超えるとも言われている。日本でいう「逆単身」だ。

★韓国は高校全入制
韓国では1970年代に高校入試が加熱し、中学浪人が増加したことから、今は私立も公立も一緒にして、高校標準化が行われ、生徒は学区単位の抽選の結果、各高校に振り分けられる。

韓国では私立といっても、教育の裁量権はなく、日本の受験校の様に中高一貫教育で、高校2年までで高校の全教程を完了するといったことはできない。

これによって、高校間のレベルの差はなくなったが、学校内の学力格差が問題となった。できる生徒は、低レベルの授業に満足できず、大学入試のために塾や予備校に通う結果となっている。

★しかし、実際にはソウル大学などの難関校へ入学するには特殊目的高校に入らないと難しい
高校標準化の例外として、特殊目的高校というエリート校が存在する。もともとは、科学、語学、芸術、スポーツなどの専門教育を受けるための高校だったが、現在は有名大学進学のためのエリート校となっている。

実際、韓国の最難関校のソウル大学の合格者出身高校のトップ20はほとんど特殊目的高校となっている。

高校標準化ではあるが、できる子は特殊目的高校に入学するために、激しい受験戦争を戦っているのだ。ちなみに、プサン他4校ある科学英才学校の倍率は15倍だが、入学後は寮費は無料、授業料も安い。実際にはほとんどの生徒が奨学金を得ていて、実質負担はゼロだという。

★就職のためにボランティア活動証が金で買える
韓国では就職競争も激しい。英語ができる、ボランティア活動に従事した、部活動のリーダーだった等の「スペック」がないと、大企業には就職できない。

だからボランティア活動に従事したという証明書を出してくれる団体を紹介するブローカーが、多数活動しているという。大体日本円で30〜50万円の登録料で正式の活動証明書がもらえるという。

★「八八万ウォン世代」
韓国の就職事情は厳しい。「スペック」をそろえて、みんな大企業や安定している公務員を目指す。しかし、2010年の185大学の卒業者25万人のうち、就職できたのは52%の13万人だ。半数は就職ができない。やむをえず非正規雇用労働者となる者も多い。

正規労働者と非正規労働者の賃金は大きな差がある。正規労働者では平均1,400円の時給が、非正規労働者では平均800円である。

1997年のIMF主導の改革で、2万社を超える中小企業が倒産し、200万人が失業した。このしわ寄せを受けているのが若者だ。1990年には雇用全体の27%が若者だったが、2000年には23%、2010年位は15.3%まで落ち込んだ。

そんな韓国のワーキングプア世代について書いた「八八万ウォン世代」がベストセラーになっている。




★大企業は弱者を救わない
韓国の2010年の企業数は335万社、このうち従業員300人未満の中小企業が99.9%を占め、300人以上の企業は0.1%に過ぎない。

雇用全体でも79%が中小・零細企業だ。

さらにサムスンなど超大企業は、毎年5〜10%のパフォーマンスの悪い従業員を切り捨てている。大企業に入ってからも、激しい競争に晒されるのだ。いったん切り捨てられると敗者復活の道はほとんどない。

1997年の通貨危機の際に、韓国は財閥の経営改革や金融機関の再編などに踏み切り、輸出主導で2年たたずに景気回復にこぎつけ、「IMFの優等生」と呼ばれた。その結果、GDPにおける貿易依存度は88%と世界でも最も高いレベルだ。

輸出中心型企業を中心とする大企業の労働者の平均月収は2011年で42万円、一方、中小企業の正社員の平均月収は26万円で、格差は拡大している。

★お住まいはどちら?
最後に韓国での「住所」というブランド力について紹介している。ソウルでも江南(ハンナム)地区は高級住宅地として有名で、 ハンナムスタイルというPSY(サイ)のヒットソングにもなっている。



日本も、ある程度は、住所はブランドになる。たとえば、関西なら芦屋、東京なら田園調布とか成城学園などだ。しかし、大きい家が相続税対策で小分けされ、小さな家やアパートになっているので、住所=ブランドがだんだん薄れている。相続税課税強化で、今後もこの傾向は続くだろう。

筆者の故郷の神奈川県藤沢市鵠沼も、昔は大邸宅ばかりだったが、今は普通の込み入った住宅地になってしまった。昔の面影はほとんどない。

★家庭崩壊と自殺大国
最後は、「家庭崩壊と自殺大国」というタイトルで、韓国はOECDで自殺率一位であることを紹介している。

特に高齢者の年金が充実していないので、高齢者の自殺が多いのが特徴である。また、有名人の自殺も多い。

元巨人軍の趙 成Α淵船隋Ε愁鵐潺鵝砲留さんの女優チェ・ジンシルが自殺したことは知っていたし、この本でも紹介されている。しかし、趙 成自身も2013年1月に自殺していることをウィキペディアで知った。

たしかに「自殺大国」なのかもしれないが、複雑な思いだ。


この本を読んで、韓国人を応援したいという気になる人は少ないと思う。「セウォル号」事故を見ても、韓国人に生まれなくてよかったと思う人が大半だろう。

しかし、様々な競争を勝ち抜いたきた韓国人のなかには、当然、世界でもトップクラスの人材もいる。今度紹介する「呆韓論」のように、バカにして呆れているだけでは、足をすくわれる。

この本では兵役のことを一切触れていないが、筆者は兵役こそ、韓国社会に緊張感と規律、そして馬力をもたらしているのではないかと思っている。

もちろん中には脱落者もいるが、幼いころから自らを鍛え抜き、厳しい競争を勝ち抜き、兵役も経験して、緊張感のある人生を生きてきた韓国人トップエリートは侮れない。彼らはハングリーでワールド・クラスの競争力がある。それが筆者の持つ韓国人の印象である。


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Posted by yaori at 21:12│Comments(0)TrackBack(0)韓国 | ノンフィクション

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