会社で中谷さんの講演を聞いたので、著書を読んでみた。
中谷さんは中谷塾ということで、いろいろな対象のオーディエンスに講義している。
最近モバイルでも中谷塾を始めたそうだ。
YouTubeで中谷さんの1時間20分の講演が全編公開されている。中谷さんの講演がどんな感じがわかるので、時間があれば、見て欲しい。筆者が聞いた講演も、大変面白く、わかりやすくて説得力のある良い講演だった。
最初の登場から中谷さんは違う。帽子を斜めにかぶって、体にぴったりしたスリムなスーツで、颯爽と登場した。いかにもフィットという感じで、相当体を鍛えているのだと思う。
講演は「仕事は最高に楽しい!!〜楽しさは面倒臭さの中にある」というタイトルで、1時間15分の持ち時間をオーバーして、1時間半ほど熱弁をふるっていた。
仕事には意味が無くて単調な仕事と、難しい仕事がある。
単調な仕事は、「面白がる」ことが重要だ。工夫するのだ。空港の駐車場に案内するシャトルバスの運転手の話をしていた。
難しい仕事は、できないことを楽しむのだ。できるかどうか50:50の時が、一番成功する確率が高いという。受験でも、80%の合格確率の時はかえって危ない。
仕事にはJobとCareerとMissionがあるという。お金のためにするのがJob、自分の成長のためにするのがCareer、人のためにするのがMissionで、Missionが天職だ。
というような内容だった。
中谷さんは多作の人で、全部でもの860点の著作がある。著作リストはこんな感じだ。
出典:「なぜあの人の話は楽しいのか」
まずは「メンタツ」と呼ばれ、就活の定本となっているこの本を読んでみた。
いまさら就活について学んでも、筆者が生かす機会はたぶんないと思うが、興味深く読めた。
中谷さんの本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているので、
ここをクリックして目次と、この本のエッセンスが詰まっている最初の数ページを見てほしい。
特に疑問2.の「面接で言うべきことはたったの2つ。自己紹介と志望動機のみ。自己紹介が言えればトップ合格。」は、まさにその通りだと思う。面接官はその点が知りたいのだ。
自己紹介と志望動機については、150字くらいで書いてみることを勧めている。150文字で、だいたい30秒程度の話になる。面接では、相手からの質問も出る。2分版を用意して、質問があって、言い足りないということも起こる。
30秒で用意しておけば、尻切れトンボにならなくてすむ。時間が余りそうなら、30秒を1分にも5分にも引き延ばすのだ。逆に2分の話を、30秒で終わらすのはプロのアナウンサーでも難しい。
参考になる話が満載だ。たとえば、
★「社交性」、「協調性」、「好奇心」、「指導力」、「企画力」は自分からは使っていけない言葉だ。
★「同好会の幹事をやっていた」というのは有利か。
★「アルバイトをいっぱいやりました」というのは有利か。
★「勉強ばっかりしてました」というのは不利か。
★志望理由は会社のオベンチャラを言っていいのか。
★企画や商品開発の仕事をしたいと言ってもいいのか。
★「僕」が学生らしいのか、「私」と言うべきなのか。マナーでしくじると、中身を見てもらえない。
★プレエントリーシートは本番だ。書きにくい欄から逃げない。そこが一番差のつくところだ。”プレ”をつけているのは、油断させて素の姿を見るためだ。
★グループディスカッションでは、自分だけは抜け出そうと思わない。「この5人で通っていくんだ」というつもりで進めていく。困った意見をフォローしていくのがリーダーシップだ。お笑い番組でも、ちゃんとフォローのツッコミを入れるのは一番腕のある芸人だ。
いまさらではあるが、なんで落とされたのかわかった
もう40年近く前の話だが、筆者は就職活動では、あまり積極的ではなかったので、会社説明会も含めて訪問したのは7〜8社で、本格的な就職活動をしたのは3社だけだった。
そのうちの1社は面接で落とされた。
メーカーなのにリクルーターが法律の専門知識について質問してくるので、「ちょっと違うな」と感じていた。
だから自分から辞退しようと思っていた会社なのに、リクルーターが課長面接をどうしても受けてくれというので、課長面接を受けてしまったのが間違いだった。
その時に、出てきたのが、この本の84番目に出てくる疑問だ。
★「ほかに何か質問はありませんか」と聞かれたら。
筆者は、実は課長面接のときに、こう質問されたので、「次は健康診断か?」と聞いてしまったのだ。
この質問は面接で一番大事な質問なのだと肝に銘じろと中谷さんは言う。
そして、その真意は「あなたがわが社に対して一番関心のあることは何ですか」ということなのだと。
面接でもアウトだったと思うが、この本を読んで、さらになぜ落ちたのかわかった。
最後に中谷さんは、企業の人事部長様へということで、採用した学生より、採用しなかった学生の方が大切なのだと説く。落とされる学生の方が、何百倍も多く、その口コミ効果はTV CMどころではない。
採用されなかった人は、得意先か消費者になる。中谷さんも、博報堂にいたときに、「私もおたくの会社を受けまして」という人に何人も会ったという。
「ダウンからボクシングは始まる」、「就職界のゾンビ」になれと、中谷さんはエールを送っている。
巻末の付録には、お礼などの各種手紙の文例や、エントリーシートや履歴書の書き方サンプル、「面達ノート」(会社訪問の時に聞かれたこと、自分の答え、次回はこう答えようという比較メモ)などを載せている。
中谷さんは、学生相手に面接相談をやることもある。しかし、中谷さんの面接相談を受けるためには、まずどこかの会社の内定を取らなければならないという。就活を実際に経験した学生でないと、中谷さんの言うことの意味がわからないからだと。
たしかに就活生には大変役立つ実用的な本だと思う。
中谷さんも最初に言っている通り、就活のハウツー本の受け答え例などを暗記せず、採用面接のための準備の基本を学ぶことで、応用が利くように作られている。
就活の渦中にある人は不安ばかりで大変だろうが、多くの会社を見るチャンスということで、ポジティブに考えてほしい。中谷さんは、その会社の社風を知るためのテクニックを次の様に挙げている。
1.会社の中に入る。
2.トイレに入る。
3.社員食堂に入る。
4.会社の前の食堂に入る。
5.出社・退社風景を見る。
6.店舗を見る。
7.就活イベント以外のイベントに参加する。
8.会社の中にできるだけ長くいる。
その会社に入らなくても、社会人となって、その会社を知っていることが役立つ日もくるだろう。
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