2014年06月22日

税務署は見ている。 元国税調査官が語る税務調査の実態

税務署は見ている。 (日経プレミアシリーズ)
飯田 真弓
日本経済新聞出版社
2013-09-10


元大阪国税局管内の税務署で26年間税務調査官として勤務した飯田真弓さんの本。気になるタイトルなので、読んでみた。

プロローグで、「節税対策本ではありません。」と断っている。

節税対策本は、元国税調査官の大村大次郎さんの得意分野だ。筆者も大村さんの本を何冊か読んだことがある。



この本は節税本ではないが、税務調査の時はどこを見ているかとか、都市伝説の「税務調査が入ったら、おみやげを持たさないといけない」とか、「国税OB税理士は税務署に顔がきく」などは本当かなどの点を説明しており、参考になる。

税務調査は自分で事業でもやっていないかぎり、一般のサラリーマンには縁のない分野だ。なので、このあらすじも簡単に紹介しておく。

税務調査の時に見るべきポイントは、帳面ではなく、人柄だと。

飯田さんが最初に税務調査に行ったときに、統括官(課長)は「帳面は逃げへんのや。どんな納税者を調べに行くのが調査や!」と言っていたという。

「マルサの女」のモデルになった斎藤和子さんという国税OBの税理士も、その経営者が不正を働いているかどうかは、目を見ればわかると語っていたという。



「マルサの女」はYouTubeで全編公開されている。



たとえ税理士が同席していても、税理士にすべてを任せてはいけない。

調査官は経営者の人柄を見ているので、経営者より税理士が答える場面が多いと、「税理士に余計なことは話さない様に口止めされているかもしれない」という印象を与えて、かえって良くないという。


試験組税理士と国税OB税理士

以前は一定期間国税の組織に在籍し、在職中に簿記論と財務諸表の比較的簡単な研修を受ければ、「税法免除」となって、定年退職後は税理士として開業できる仕組みになっていた。

しかし平成13年に税理士試験制度がかわり、必須科目の簿記論と財務諸表については、かなりレベルの高い研修を受け、その後試験に合格しないと税理士資格を取得できなくなった。

だから今は、税務著に努めれば、退職後は全員税理士となれるわけではなくなった。

税理士資格は永久ライセンスなので、登録人数的には試験組税理士と国税OB税理士は半々だが、高齢の国税OB税理士もいるので、実際には試験組弁理士が多い。

最も気になるのが「国税OBは税務署に顔がきくのか」という点だが、昔はともかく、今はコネによってどうこうなる時代ではない。


「税務調査が入ったら、おみやげを持たさないといけない」のか

もう一つ気になるのが、いわゆる「おみやげ」だ。税務署員は手ぶらで帰るわけにはいかないので、何か見つかるまで調査する。調査を切り上げてもらうために、適当なところで妥協する必要はないと飯田さんは語る。

むしろ申告に絶対自信があれば、「修正申告に応じない」と主張するのが理にかなった行動なのだと。

申告是認(「申是」と呼ぶ)を勝ち取ると、次からは税務署は訪問しにくくなるのだ。

ところがおみやげを用意して、毎回修正申告に応じている会社は、税務署にとっては、「訪問しやすい会社」ということになる。

税務調査の対象となるのは、法人で5%、個人で0.8%だという。

飯田さんは、グレーな部分をおみやげとして残すのではなく、すべてガラス張りの経営をすれば、95%の会社になり、税務調査で煩わされることはなくなると語る。


税務調査ではどこまで調べるのか

この本では、飯田さんが実際に税務調査で調べたやり方が紹介されている。たとえば、現金商売の事業者では、車のダッシュボードの中にあった領収書の控えを見つけ出して、売り上げを過少計上していることがわかった。

飲食店などでは、テーブルごとの伝票、レジペーパーのロール、売上帳、現金を入金している金融機関の通帳をチェックする、さらにレジペーパーは、打ち直ししていないかどうか、レジペーパーの切れ目をつないでみるという。

そのほかにも税務署員が使う業界用語などが参考になる。税務調査が入りそうな会社は、一度読んでおくとよいと思う。


参考になったら、投票ボタンをクリック願いたい。






Posted by yaori at 01:51│Comments(0)TrackBack(0) 趣味・生活に役立つ情報 | ビジネス

この記事へのトラックバックURL