2014年08月30日

重火器の科学 仮想敵国の嫌がる武器が最大の抑止力



自衛隊の武器補給処技術課研究班に勤務し、2004年に定年退官した かのよしのりさんの本。

図書館の新刊書コーナーに置いてあったので読んでみた。

大砲やロケット弾、地雷、手りゅう弾などの基礎が学べる。

かのさんは他にも「自衛隊VS中国軍」や「銃の科学」といった著書を書いているので、今度読んでみる。

自衛隊vs中国軍 (宝島社新書)
かの よしのり
宝島社
2013-03-09




最も参考になったことは、簡単で安上がりな兵器が最も防衛に適しており、周辺国はすべて普通に装備しているのに、日本はそれらを人道的見地から放棄したということだ。

たとえばクラスター弾だ。日本は2008年クラスター爆弾禁止条約に調印した。そして国土防衛用に配備していた多連装ロケット発射器から打ち出すクラスターロケット弾も廃棄した。

自衛隊は敵が上陸してきた場合、海岸に密集しているタイミングでクラスター弾で打撃を加える戦略だったが、みずからその有効な手段を放棄した。

一方、米国はじめ中国、ロシア、韓国、北朝鮮、台湾のいずれもクラスター爆弾禁止条約には参加していない。

日本は自ら安価で有効な国土防衛の武器を放棄したのだ。

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出典:本書90〜91ページ

そして対人地雷禁止条約にも調印しているので、地雷も廃棄した。こちらも米国、中国、ロシア、韓国、北朝鮮、台湾はいずれも調印していない。

人道的な見地から、これらの残虐な兵器を禁止するという趣旨は理解できるが、全世界の国、特に仮想敵国となりうる国がすべて参加しない限り、相手が嫌がる武器を自ら放棄して、防衛力を弱めるだけになるだろう。

日本には恐るべき地雷があった。

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出典:本書150〜151ページ

ショックを与えると本体が1メートル程度ジャンプして、空中で爆発し、250個の鉄球をばらまいて殺傷するという恐ろしい兵器だ。敵の兵士に与える恐怖感は絶大だろう。

中国の人民解放軍の兵士が持っている手りゅう弾は、直径3ミリの鉄球1,600個を飛散させる。

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出典:本書184〜185ページ

最近では小銃で実弾を使って、手榴弾や擲弾を発射できる。

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出典:本書188〜189ページ

もし中国軍が日本に侵攻してきたら、まずはクラスターロケット弾で自衛隊の陣地にクラスター弾を雨あられと降らせて打撃を与え、近接戦では小銃擲弾と手榴弾を使って日本の兵士を攻撃するだろう。

日本も反撃するだろうが、クラスター弾でダメージを受けた部隊は、はたして立て直すことができるのか?

ヒューマニズムの精神にはもちろん賛成だが、日本の仮想敵国である周辺国すべてがダーティな武器を持ち続ける以上、日本だけが放棄しては抑止力の低下はまぬがれない。

相手の嫌がる武器を持つことが、安価で有効な抑止力ではないのか。そんなことを考えさせられる本である。


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Posted by yaori at 01:35│Comments(0)TrackBack(0)趣味・生活に役立つ情報 | 自衛隊・安全保障

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