2015年12月01日

アー・ユー・ハッピー? バリバリのビジネスマン・矢沢永吉



先日紹介した「成りあがり」に続く矢沢永吉(永ちゃん)の独白録。

「成りあがり」に続くといっても、「成りあがり」は永ちゃんが28歳の時の本で、「アー・ユー・ハッピー?」は永ちゃんが51歳の時の本だから、その間23年間もブランクがある。

「成りあがり」は図書館で借りた本を読み終わらないうちに購入したと書いたが、この本も同じだ。

全くぶっとんだ。

前作は、永ちゃんの生い立ちから、キャロルが売れる前の下積み時代を経て、わずか3年弱のキャロルの大躍進と、早すぎる解散、そしてE.YAZAWAとしてソロシンガーとなって独立した永ちゃんが、年間150ステージをこなすまでの道のりを描いている。

それから23年経ち、「アー・ユー・ハッピー」では、ビジネスマンとしての永ちゃんを描いている。

成功した永ちゃんの姿ばかりではない。

1980年代に、永ちゃんはマネージャーによる横領事件に巻き込まれた。早い話が、ピンハネだ。永ちゃんには150万円のギャラを50万円と言って、100万円をネコババするという手口だった。

永ちゃんは警察沙汰にはしなかったという。

次に永ちゃんが巻き込まれたのが、オーストラリアのゴールドコーストで、永ちゃんの世界戦略のための音楽施設を建設するというプロジェクトで、永ちゃんの部下が永ちゃんをだまして30億円を横領したオーストラリア事件だ。

これはオーストラリアで詐欺事件として刑事裁判になり、被告の2人はオーストラリアで1年程度服役した。この本の末尾に実名と顛末が書かれている。

永ちゃんの離婚についても書いてある。

糟糠の妻すみ子さんと離婚して、再婚したのはマリアさんというクオーターの女性だ。

マリアさんと知り合ったのは「成りあがり」を出すちょっと前の1977年だ。

スーパースターとして成功はしていたが、すみ子さんからは家には仕事は持ち込むなといわれ、すみ子さんや家族との気持ちの隔たりを感じていたころだった。

すみ子さんは、「私は朝8時に家を出て、夕方6時にちゃんと帰ってくる男と一緒になりたかった。」という。

夜中の酒が増えていった。さびしかったのだと。

1980年ころからマリアさんと一緒にロスで生活しはじめ、結局すみ子さんと離婚したのは1989年だ。

前作同様、この本には糸井重里が協力している。

実はこの本の原稿は10年前にできあがっていたが、なにか違うという感じがあり、その時は糸井さんと永ちゃんが話して、お蔵入りすることにしたのだという。

それから10年経って出版した。

この本ではビジネスマンとしてもバリバリの永ちゃんの姿を紹介している。

日本の外タレ招聘ビジネスは一部の興行会社が独占している。出入国管理局の許可が既得権化していたのだ。

永ちゃんは政界に顔の利く実力者に頼んで、出入国管理局長と3者面談し、外人タレントの招聘権を取った。永ちゃんのバンドのメンバーは永ちゃん自身が選んで呼んでいるという。

日本国内のコンサートツアーも、キョードーなどの音楽事務所に地方の興行を仕切ってもらって、ブラックボックス化していたのを、一部自分で手掛けた。弁当の仕出しから、ケータリングまですべてやった。キャラクターグッズも当初は他人に任せていたが、今は自分の会社で手掛ける。

すべて「なめんなよ」というメッセージだ。

猿の調教師は、まず猿の頭をかじって、「オレがボスだぞ」っていうことを教えるという。そうすると猿は調教師のいうことを聞くようになるのだと。人間も、一発かじられなきゃ気がつかないときがあると永ちゃんは語る。

この本で、永ちゃん流の「倍返し」が出てくる。

テレビドラマの半沢直樹で有名になった「倍返し」で、半沢直樹の場合はリベンジという意味だが、永ちゃんの場合は違う。



オーストラリアの30億円詐欺事件で、巨額の負債を負った永ちゃんに対する銀行の目は厳しかったという。だから、永ちゃんはすぐに「倍返し」をするようマネージャーに指示した。

月々の返済額を倍にするのだ。

そうすると当然、予定より早く返済が完了する。あわてたのは銀行だ。永ちゃんのような優良融資先を失ってはならないと、態度が変わったという。

永ちゃんが権利関係を意識するようになったのは、永ちゃんが崇拝するビートルズの影響だという。読んでいたビートルズの本に、著作権や、フィルム権、肖像権とかが出ていたのだと。

前作「成りあがり」では、年間150回ものコンサートをこなしていた永ちゃんだが、この本では年間5〜6カ月程度しか音楽をやっていないと語る。

音楽を離れると、音楽が恋しくて、より一層のパワーがでるのだと。

その他にロスでの暮らしぶりや、アメリカで持っている大型クルーザーの維持費が日本とは比べ物にならないくらい安いことなどを語っている。

最後にウェンブリーで行われた世界のスーパースターを集めた” SONGS AND VISIONS"コンサートで、ロッド・スチュアートとかボン・ジョビと一緒に歌ったことを語っている。



筆者は永ちゃんの曲もほとんど聞いたことが無いし、ファンでもなんでもないが、永ちゃんの本には感心する。

是非一読をおすすめする。


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Posted by yaori at 12:54│Comments(0)TrackBack(0) 自叙伝・人物伝 | ビジネス

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