2016年05月16日

「タレント」の時代 求められる人材とは



東大院卒で、大手通信会社研究所勤務後独立して、人事・組織関係のコンサルティングをやっている酒井崇男(たかお)さんの本。

なぜアップルやグーグル、トヨタは成功し、なぜ日本の電機・半導体・通信・IT企業は完敗してしまったのか。

酒井さんは、それは売れるモノやサービスを生み出す「タレント」とは何かを理解し、価値を生み、利益を生むとはどういうことかを理解していたかか否かの違いだけであると。

日本の賃金相場は次のように分けられる。

1.知識を伴わない定型労働 −−−時給1,000円

2.改善労働を伴う非定型労働 −−−年収300万円〜500万円

3.知識を伴う定型労働 −−−年収400万円〜600万円

4.複数分野の知識を伴う創造的知識労働 −−−年収1,000万円〜数億円

ある仕事を分解して、それぞれの割合を掛け合わせたものが給与の目安になる。

いわゆる士業は3.で、ほとんどの公務員や準公務員は実質1.のハタラキしかないが、中央官庁に勤めている役人の中には、国の政策をまとめあげるような4.の仕事をしている人もいる。

日本では年収的には3,000〜5,000万円もらっていても不思議ではない優れたタレントが、年収600〜1,000万円くらいしかもらっていないこともある。

大手電機メーカーのエンジニアなどに多く、そのためサムスンやアップルなどのような企業が、ピンポイントで優れたタレントを簡単にヘッドハンティングできたのだ。

タレントの特徴は、創造性と非定型性で、それらは知識を目的的に組み合わせる能力である。「知識を獲得する力」の強さがタレントの必要条件であり、別の言葉でいうと「地頭」となる。

現在最も貴重なタレントは、「広くて深い基礎知識があり、2つか3つの専門分野を持っていて、目的的に知識獲得をしながらアナリシス(分析)、シンセシス(統合)を繰り返し、答えを出す人」だという。

タレントの例としてトヨタの主査制度を取り上げている。主査制度は、人材のタレント性にまで踏み込んだうえで運用されている制度だ。

トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎は、戦後すぐ将来を見越して戦前・戦中の航空技術者を多く採用した。

たとえば、初代パブリカと初代カローラの主査を務めた長谷川龍雄氏は東大の航空工学科を卒業した後、立川飛行機に勤務し、20代でB29撃墜用の異形の戦闘機キ94の主任設計者を務めていた人物だ。

キ94の最初の試作機は次の本の表紙となっている。前後にプロペラが付いている多分唯一の機種だ。



2番目の試作機、キ94−兇鷲當未侶舛鬚靴討い襦



日本陸海軍機大百科 2012年 6/13号 [分冊百科]
アシェット・コレクションズ・ジャパン
2012-05-30



映画「風立ちぬ」のモデルとなった零戦の主任設計者の堀越二郎さんも同じく東大の航空工学科出身で、三菱航空機に勤務した。



航空工学では、機械、電気、制御、流体、素材、材料加工技術などバラバラの専門技術をシンセシス(統合)して、目標性能を発揮する戦闘機というシステムを設計・開発していたのだという。

酒井さんのいうタレントとは、いわゆる「T型人間」のことを指すのだと思う。

具体例が少ないので、あまり印象に残らない本だが、自分のキャリアが「T型」となっているか見直すにはよい本だと思う。


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Posted by yaori at 07:51│Comments(0)TrackBack(0)ビジネス | 成功哲学

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