資生堂名誉会長の福原義春さんが勧めていたので読んでみた。
資生堂の120周年記念に取引先などに配布したという。
本自体はいたってシンプルだ。約40ページ、解説もいれて52ページの本で、1時間もかからずに読める。
アニメで短編映画化されている。次は最初の1/3の部分だ。
実写版で映画化もされている。
プロヴァンスの人里離れた荒野にエルゼアール・ブフィエという一人の老農夫が羊を飼って住んでいた。一人息子を失い、妻も亡くなって、ひとりぼっちで静かに暮らしていた。
1913年にたまたまプロヴァンス地方を歩いて横断していた筆者は、3日めで水がなくなり、渇きでたまらなくなった時に、当時55歳の老羊飼いに出会った。
水をもらい、羊飼いのきちんと整理した小屋に泊めてもらって、翌日は羊飼いがどんぐりの実を荒地に植えるのを見ていた。
鉄棒で土に穴をあけ、そこにどんぐりの実を一つずつ植えるのだ。
それまで3年かけて10万個の実を植えて、そこから2万本の芽が出たが、半分はネズミやリスにかじられたりして、成長しなかったという。
でも1万本の樫の若木が育っている。
それから第1次世界大戦がはじまり、筆者は5年間兵役に就いた。
戦争が終わり、プロヴァンスにもどってくると、老農夫は依然として樫を植え続けており、樫の森は自然林のように成長していた。
最後に筆者が老農夫と会ったのは、第2次世界大戦の終わった1945年だ。老農夫は87歳になっていた。
そして30年余りのうちに、森はさらに成長し、山は緑で覆われていた。人々も住み始め、この地帯で1万人の人が住むようになっていた。
30年前は人が住まない荒野だった場所が、立派な村や町になった…。
というようなストリーだ。
読後感がなんともいえない。幸福な気分になってくる。
1989年発行の本なので、あまり本屋では売っていないかもしれないが、図書館なら、どこでも置いていると思うので、ぜひ近くの図書館で借りて読んでほしい。
忙しい毎日を忘れることができる本である。
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