2017年05月07日

火花 ピース又吉さんの大ヒット作

火花 (文春文庫)
又吉 直樹
文藝春秋
2017-02-10


漫才コンビピースの又吉さんの大ヒット小説。やっと図書館の順番が来て借りて読んだ。

又吉さんは「火花」を読む前から気になっていたので、自伝の「夜を乗り越える」をまず読んだ。




「夜を乗り越える」で、文藝春秋社で後に「火花」の編集者となる人が、又吉さんの文章を評した言葉がある。

「又吉さんの文章は読んですぐに頭の中で映像化できる。実はそれはみんながみんなできるものではない。」

まさに、これが又吉さんの小説の最大の特徴だと思う。

小説のあらすじは、いつも通り詳しく紹介しない。

「火花」は、売れない30代前後の芸人の先輩神谷と後輩の徳永の話で、二人は別々の芸能事務所に所属し、別々の相方と漫才コンビを組んでいる。

神谷が「あほんだら」、徳永が「スパークス」という漫才コンビを組んでいるという設定だ。

又吉を思わせる徳永は、中学生時代からの相方の山下と漫才コンビを組んで、大阪から東京に出てきた。「あほんだら」の神谷も同じだ。

徳永は神谷を師匠として尊敬し、神谷から神谷の伝記を書けと命ぜられて、ノートに神谷の言動を書き始める。

ちょっとした仕事の後で、吉祥寺のハモニカ横丁の美舟などで飲み、酔っぱらって上石神井の神谷の彼女のアパートまで歩いて行って、転がり込むといった生活を続ける。

芸人の世界では、先輩が必ず後輩をおごるものなので、そのうち神谷は消費者金融からの借金で首が回らなくなる。

仕事は増えず、生活は安定しない。そんな徳永に、神谷が贈った言葉が面白い。

「徳永は、面白いことを十年間考え続けたわけやん。ほんで、ずっと劇場で人を笑わせてきたわけやろ。」

「それは、とてつもない特殊能力を身に着けたということやで。ボクサーのパンチと一緒やな。無名でもあいつら簡単に人を殺せるやろ。芸人も一緒や。ただし、芸人のパンチは殴れば殴るほど人を幸せに出来るねん。だから、事務所やめて、他の仕事で飯食うようになっても、笑いで、ど突きまくったれ。お前みたいなパンチ持っている奴どっこにもいてへんねんから。」…。

そんな神谷に最後に驚く展開がある。

タイトルの「火花」に関しては、「火花」を想起させるようなエピソードは出てこない。最初と終わりに熱海の「花火」の話が出てくるので、「花火」をもじったものだろう。

ちなみに、又吉さんが、中学生の時の友人と始めた漫才コンビの名前は「線香花火」だったという。

又吉さんの次の作品も読みたいという気にさせる小説である。


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Posted by yaori at 00:34│Comments(0)TrackBack(0)小説 

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